悪い女はボクだね
「ユフィ様。 まだ起きて……あら、この愛らしい生き物は何でございますの?」
「おかえりフェルミナ。 この子達は雪の妖精だよ。 もうすぐ消えちゃうけどね」
「それは残念でございますね。 私にも頂きたいくらいですのに」
「ごめんね。 ずっとボクの魔力を消費してるから、また欠乏症で倒れちゃうよ」
フェルミナが戻って来たのは真夜中でずいぶん疲れた顔をしてる。
ボクは倒れても良い様にベッドに寝転んだまま魔法の確認作業をしてた。
夕食は食べてないけどもう要らないんだって。
ボクを見つめる瞳にいつもの強さは無くて寂しさが見える。
「おいで」
「はい……」
「よしよし、良い子良い子」
彼女の頭を抱いて優しく髪を撫でる。
求められるまま唇を重ねて指を絡め合う。
優しいけど激しくてボクを欲しがっているのを強く感じる。
「ユフィ様。 私、幸せです。 例え一時でもタキナ様より私を選んでくれた事が嬉しくて……今、ユフィ様を独り占めしている事に喜びを感じてしまっております。 悪い女でございますね」
「悪い女はボクだね。 半端な気持ちでふらふらしてるからフェルミナに余計な気持ちを持たせちゃって……。 姉様に覚悟決めろって言われたんだけど、選べなくて……。 やっぱりフェルミナも大切にしたくて……」
また唇が重ねられる。
彼女の瞳には涙が溜まってるけど優しくて……ただただ優しくて甘くて……。
眠気に逆らって頑張ってる顔がかわいくてつい唇を合わせしまう。
眠そうな顔で返してくるのが嬉しくて、いつまでも唇を重ね合う。
「お風呂入ろっか」
「こんな時間にでございますか? 町に入りますか?」
「ううん。 ここに用意しちゃっていいかな?」
「はい……?」
「ユフィ様は変な物までお持ちですね。 それよりも収納魔法まで規格外だなんて」
「フフフ。 庶民の生活には必要なんだよねっ」
「そうなのですね」
「さっ、洗ったげる」
「はいっ」
洗ってあげるんだけどこれは大変。
ロングの巻き髪を濡らすと足首くらいまであるね。
これは時間かかるよ。
艶々すべすべだねぇ。
「良い石鹸でございますね?」
「ミネルバはこうゆう物や化粧品にお金かけてるからね」
「泡立ちが良くて気持ち良いです」
二人で寄り添って湯船に浸かる。
お風呂はホッとするねぇ。
「時間かかっちゃったね」
「嬉しいです。 ありがとうございます」
「もうどうでも良くなってしまいそうです。 ユフィ様と毎日こうして過ごせたらどれほど幸せでしょう……」
「一緒に逃げちゃう?」
「出来ません」
「なら、頑張らないとね」
「ユフィ様……もうお帰り下さい。 私は今日の幸せだけで十分でございます」
「ボクはまだ満足できない。 ボクは欲張りなんだっ。 だから全力で頑張るよ。 タキナ怒るだろなぁー。 怖いなぁー」
「ご一緒に怒られましょう」
「一緒にね」
「はい」
サッと髪を乾かすけど、さらツヤストレートの彼女も素敵。
「朝に軍議って言ってたね? もう少し眠れるかな?」
「それは私は昨日聞いておりますので大丈夫でございます。 このままご一緒にいさせて下さい」
「うん」
ベッドで良い匂いに包まれて幸せ。
彼女は寝ないといけないのに、ずっとちょっかいを出してくる。
心配しちゃうけど、当然嫌じゃない。
「もう寝なさい」
「ユフィ様……好きです」
「うん……ボクも好き」
「では、もっと愛して下さい」
「うん……」




