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あれ? ボクがおかしいの?

「ユフィ様。 夕食の準備を致しますので、こちらでお待ち下さいますか?」


 頷きで返してテーブルに付くとハーブティーを用意してくれる。

 温かさが体に染みて落ち着く。


「……ねぇ、これ何いれたの?」


 動き回っていたメイドさん達の動きが止まって、ハーブティーを入れてくれた娘の顔が青くなる。

 近づくと耳まで真っ白になって後退る彼女を壁際まで追い詰める。


「ボクを殺すつもりだった?」

「も、申し訳……ございません。 お許し下さい……」

「質問の答えになってない」


 耳を咥えて舌で弄ぶのを震えながら耐えて、頬が朱く染まってきた顔はとてもかわいい。


「ねぇ……。 逆にご褒美になっちゃう?」


 ……ん? 場の雰囲気がおかしい。

 普通なら心配や恐怖を感じる場面だと思うのだけどお前達何か期待してやしないか?

 振り返って睨みつけるけど堪えたニヤけ顔のまま目を逸される。



「おい。 責任者っ」

「…………」

「せきにんしゃっ」

「……はい。 ユフィ様……メイド長のゼニスでございます」

「説明して、何の薬?」

「申し訳ございませんでした。 夜のお薬でございます。 フェルミナ様は初心ですので、誰かをお連れした際には入れる様に、前々より指示しておりました。 そんなに直ぐに効果が出る物ではないのですが……」


 あー、なんかごめんなさい。

 ほぼ自前です。

 ボクに薬は効かないと思いますので……。

 それにもう必要ないと思いますよ。


「それは男の方に使う物じゃないですか?」

「フェルミナ様が自分でお連れになったのはユフィ様が初めてです。 それにユフィ様は求婚なされたとか? フェルミナ様は継承位も高くありません。  娶って頂いて幸せになる道を探せないものか? とは考えております」

「それは可能なの?」

「フェルミナ様を攫って逃げてはいただけませんか?」

「それはフェルミナに拒否されたんだ……。 国と民を捨てては逃げられないって」

「フェルミナ様は王族としての誇りをお持ちですから、この戦争に勝たなければその様な道を模索する事すら出来ませんか……」

「うん、先ずは勝たないとね」


 フェルミナはみんなに愛されてるんだなぁ。


「でもお薬はどうかと思いますけどぉ? いきなり手打ちにされたらどうするのさっ」

「ユフィ様はその様な事はされないと判断致しました。 治まらないのでしたらそのまま発散頂いても……」

「要らないよっ」


 さっきの彼女の目が見開かれる。

 

「違うよっ。 君はかわいくて素敵だよ。 でもフェルミナの話した処でそれはおかしいからっ」

「大丈夫かと」

「ボクが大丈夫じゃないよっ」

「続きは無いそうですよ。 残念でしたねノエル」

「はい……」


 何言ってんだこの人?

 そんな上目遣いで見るんじゃない。

 とてもかわいいけど別に残念じゃない。

 うん、残念じゃない。



「フェルミナ様遅くなってますね。 先に食事にされてもよろしいのではないかと」

「大丈夫、待ってるよ。 この辺りの事って分かる?」

「でしたらちょうどノエルがよろしいでしょう。 ノエル、ユフィ様のお相手をして差し上げて」

「はいっ」



 近いよ。

 隣の椅子を勧めたけど、椅子を動かして座って胸を押し当ててくる。


「さっきはごめんね」

「ユフィ様……続き…が頂きたいです」

「みんなを愛してあげられるほど心に余裕はないかなぁ」

「愛を求めてはおりません。 一時満足いただければそれで十分でございます」

「ねぇ、その物言いはフェルミナの相手に対しては失礼じゃないかな?」

「そうでしょうか?」


 ノエルの頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

 あれ? ボクがおかしいの?


「違うかもしれないけど、ボクは心が伴ってないと嫌かな」

「心を込めてご奉仕させて頂きます」

「ボクの心の問題かな」

「そうでございますか……」


 残念そうな彼女の頬に小さく口を付ける。



「ごめんね。 ノエルはこの辺りに詳しいの?」

「はいっ。 少し北の集落の出身です。 …………。 …………」


 貧しい集落では人減らしが行われて見目麗しい者は貴族や裕福層に奉公にでる。

 ノエルは集落から出されて直ぐに貰い手が付いて教育の後にフェルミナ付のメイドになれたのは非常に幸運。

 貰い手がなくて売り飛ばされたり娼婦になる道の方が多い。


 ファーレンもジュノーも奴隷制度は無いけどこんな時代設定だから仕方ないのかもしれない。

 怒りしか湧いてこないけど短慮な行動に出ても後の責任がとれないから何もできない。

 このセカイ全てを治めるなんてできる訳ないし。


 メイドとして夜の教育もあるそうで、自信があると興奮気味に語るからデコピンで返す。

 あんな話をされたら余計そんな気にならないし。


 ちなみにこの辺りの事はまったく無知だった……。



 お茶を飲みながら彼女の話を聞いてもフェルミナは戻ってこないので居室で魔法の確認をする事にしたんだけど、付いて来ようとするノエルを魔法で眠らせてゼニスに返しておく。


 ほったらかしだったけど、行き当たりばったりだと次は死ぬかもしれないから、死なない為に勝つ為に可能性のある事は試しておかないとね。


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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