ガキの恋愛じゃ済まねぇんだよっ
「サシャ姉。 ジュノサイザーってどれくらいの強さ?」
「ユフィちゃん。 もう少し勉強してから行動しましょうねぇ」
一般的に魔装機は中以下、神器は上。
神器が一括りに上とされているだけで強さは比較する事は出来ない。
ジュノー、ファーレン、ミネルバのバハムートは神器なので上。
ジュノーやファーレンは強いには強いけど強すぎない代わりに眷族を増やす能力がある。
クラスドラゴンは中の上。
ジュノサイザーは中の中。
ジュノスの強さは下の上。
敵方で確認されてるシャレード型は下位に入る。
魔装機の操作システムのお陰で騎士の能力が大きく勝敗を左右するが、ジュノスでジュノサイザーを倒すなどなかなか起こりえない。
ジュノサイザークラス一体で数十体のジュノスクラスを葬ったなんて話の方が普通だろう。
中位以上の神器、魔装機の情報は、その数が勝敗の鍵になるから、厳重に秘匿される。
ファーレンは神器二体以上の保持とドラゴン種の生息地である事が周知の事実なのでそう簡単には手出し出来ない。
王族が神器を持ってる様な感じだけどその土地の神に認められた人間が王になったと言うのが正しい。
死にかけたけどジュノスとジュノサイザーに触れる事ができたのは非常に幸運だった。
ミネルバに何度か手合わせを聞いたけど却下されてたんだ。通常時は魔装機を出す事すら許されないんだって。
戦況と地形の説明を受けてレクチャーは終了となる。
アシェ達は明日の朝の軍議には参加するけど今日はもうフリーらしい、と言うかフリーの予定だったのに問題児のお陰で呼び出されたそうだ。
保護者は大変だねぇ。
話はおわって日も暮れたしいつまでもフェルミナがいないのは問題なので眠っている彼女を起こす。
「おはようフェルミナ……」
彼女の綺麗な髪を弄りながら声を掛けると薄く目を開いた彼女はゆっくりと唇を重ねてくる。
ちょっとお姉様達の目があって気まずいのだが受け入れるとサシャの助け舟が入る。
「……コホンっ」
「これはアシェ様、サシャ様見苦しい処をお見せ致しました」
フェルミナは気にならないみたい。
「フェルミナ殿下。 愛し合うのは構いませんがこの娘はすぐ流されてしまうのでもう少し周りを気にしていただけたら幸いでございます」
「心に留めておきます。 では、皆様退出をお願い致します」
「殿下、もう日も暮れております。 今の状況下では看過いたしかねます」
「もうその様な時間ですか? 進言感謝致します。 一度戻ります。 ユフィ様……待っていて下さいね」
アシェに目線を送ると頷くので肯定の返事を返す。
「アシェ様はどうされますか? ご一緒に食事などいかがでしょうか?」
「少ししたら船に戻りますので、本日はご遠慮いたします」
「わかりました。 では、また後日に……楽しみにしております」
「承知致しました」
姉様達と一緒に敬礼のままでフェルミナの退室を待つ。
王女様だもんねぇ。
距離を意識すると急に寂しさを覚えてしまう。
「ユフィ。 お前ファーレンとジュノーどっちに付くんだ?」
「どっちって……」
「中途半端ならもう帰れ。 嫌なら覚悟決めとけ。 ガキの恋愛じゃ済まねぇんだよ」
「はい」
フェルミナを護りたい。
彼女が望むからジュノーも護りたい。
でもファーレンを出るなんて考えられない。
選ばないといけないの?
選べないよ。
姉様達を見送りに居室を出てテントの入口までくる。
待合室にはメイドさん達が整列していて、ボクはお客様として扱ってくれるみたい。
「明日の軍議の後で顔だせ。 言う事あったら伝える」
「はい……」
去り際にアシェが頭を抱いてくれる。
「悩むなっ。 中途半端は許さんけど本気でやってダメなら逃げてこい。 例え敵同士になってもあたし達はお前を見捨てないっ」
「ありがとうアシェ」




