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まったく、なにすんだ

「やだよー。 やっぱり帰りたくないよー。 怒られるよー。 兄様のとこ戻ろうよー。 このまま講義行こうよー」

「もう、わがまま言わないでください。 ダメですよ」

「タキナ、代わりに謝って来てよー」

「子供ですか? 一緒にいますから大丈夫ですよ」


 タキナが嫌がるボクの手を引っ張って廊下を無理やり引きずっていく。

 おぉ、アイシャ発見。

 手を大きくふってアピールだぁ。

 きたきた。


「おはようアイシャ」

「おはよ」

「一緒に行こぅ」

「ん」

「アイシャ、ごめんなさい。 ユフィはミネルバ様の所に行かないといけないの。 だから……ね」

「んー? ん」


 顔を近づけるアイシャに、タキナがそっと口づける。


「ん」

「えーー。 助けてよぅ」

「しかたない」

「裏切り者ーーーーーーー」


 ぷぅーーーー。


 


「ただいまぁ……」

「ユフィ……おっかっえっりぃー」


 きゃー、ミネルバ青筋たってるぅー。

 美人は怒ると怖いから嫌だぁぁぁ。


「おうおう、面倒事押し付けて遊び回ってんじゃねーわよー。 大変なんだからねー(クーンが……(小声))。 お陰で寝る時間もないじゃない(クーンが……(小声))」

「みんなクーンじゃんかっ」

「まぁ、ユフィいても役に立たないけどねー(あたしも……(小声))」


 むぅ、否定できない。


「とりあえず人が出せないから講義行ってきてー。 話は夜にしよう」

「しょうち」


「タキナ行こっ」

「はいっ」

「タキナ制……。 やっぱりそのままでいい」


………………


 あれ? なんか訓示台がおっきくなってる。

 台ってゆーか、もうステージだよね。


「おはようみんなぁー。 今日の担当はボクだぁー」

「えーー」「パウラ教官はぁ?」「クーン様が素敵よねー」「いやいやカトレアちゃんかイヴちゃんしょ」「…………」「……」「顔は良いけど胸が……うがっ」

 

 あれぇ? 最近は空から石が降ってくるんだねぇ。

 天気良いのに、危ない危ない。


「でぇ、サポートはタキナさんでぇす」

「おおぉぉぉぉ」「美人……」「かわいい……」「…………」「……」「足ほせぇー……」「そんなパートナーズルいぞー……ぐほぉ」


 あら、雷だねぇ。

 天気良いのに、危ない危ない。



「今日の講義なんだけど、みんなには高速移動を覚えてもらいます。 出来る様になれば攻撃にも回避にも使えるし、斥候や伝令にも使えるからね。 これからは防御、受ける、流すに加えて回避方法なんかにももっと幅を持てる様になって欲しいんだ」



「とりあえず、タキナとアイシャで端まで魔法もありの全力で行って折り返しでここまで勝負してくれる?」

「ん」「畏まりました」


 二人が並んでスタートの合図でダッシュする。

 速い。

 二人とも身体強化のみ。

 距離にもよるけど速さ勝負なら身体強化の一択が基本。

 アイシャの速さはクラスでは三位以内。学院でも上位に入るはず。

 タキナも当然負けてない。うん、負けてない。

 うん、かわいい。あぁ、かわいい。

 ちょー、かわいい。


「うんうん。 アイシャの勝ちだね。 もう一度。 タキナ、ちょっと。 ……………………」

「はい。 お任せいたします」


 

 先ほど同様にアイシャの先行で折り返す。

 違うのはここから。

 アイシャのペースは変わらないけどタキナはペースを落として姿勢を低くして身構える。

 彼女の後ろに構成陣が光る。

 風属性魔法フォーミダブルストーム。

 ただ強い風を出すだけだから汎用性が高くて自身の加速に使用する人も少なくはない。

 魔法の多重発動は演算に手間取るから身体強化の方が疎かになっていったん減速する形になる。

 ボクの様に一瞬で多重に演算できるのがチートなのだ。


 ゴワァァァァ。

 風の音と共に彼女が急加速して、瞬時にアイシャを追い抜く。

 まずは予定通り。

 ゴール手間から彼女は減速を始めるけど止まらないんだなぁ。

 オーバースピードになるのを承知で指示したからね。

 痛みを耐えて無理矢理止まるか、姿勢を維持したまま数キロ飛び続けて減速を待つかの二択。

 

 ボクがタキナの進路に立つので心配の声があがる。

 もう止まらないのはみんな解ってる。

 さぁ、刮目せよっ。

 ってほどじゃないけど実際チート無しじゃ大変な作業。

 巨大な水球を目の前に作り出して彼女を受け止める。

 問題はここから。

 勢いが強ければ水は地面とかわらない。

 彼女には身体の防御強化のみに専念させて、後の事はボクが演算調整する。

 勢い、表面圧力、水と身体の内部圧力。

 勢いを殺しながら一切負荷がない様に彼女の身体を優しく包み込む。

 よし、完璧っ。


 水の中から彼女を放出して、ふわりとお姫様抱っこで受け止める。

 軽くて柔らかい。


「大丈夫?」

「はい。 問題ありません」


 顔が近くて朱くなる彼女が愛おしい。

 見つめあってそのまま近づいて目を閉じる……いてっ。

 脳天チョップがボクを襲う。


「えっちな雰囲気」


 プンプン。まったく何すんだ。

 水球をアイシャにぶつけておく。


「いて」


 大きいけど柔らかくポヨポヨした風船みたいにしてるからダメージはない。

 アイシャが猫の様に遊び始めたので良しとする。


 向こうに転がって、みんなが楽しそうに水球で遊び始めたのでしばらく好きにさせておく。

 こんな遊びもなかなか無いからねっ。

 みんな子供みたいでかわいい。

 優しくないセカイで忘れがちだけど高校生ってこうだよねぇ。


 みんな水球に目が向いてる隙にタキナの唇を奪う。

 はぁ、柔らかい。


「もぅ、真面目に講義してくださいっ」

「いつも真剣だよ。 好きだよ、タキナ」

「はい」


 もう一度しっかり唇を重ねる。

 幸せ。

 エヘヘへ。


 ちゃんと意識がこっちに向いてないのは確認してるよっ。

作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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