どこのセカイでもやっぱり恋話
コンコン。
ノックの音に布団の中で伸びしながら返事を返す。
ラスボスチートで頭が起きるのは早い。と言うか多分寝なくても大丈夫っぽい。寝るけどね。 たーっぷり寝るけどね!
「はい、はーい。 どなたですかー?」
扉の向こうにいたのはフリルさんでしたぁ。制服じゃない白のワンピース姿がとてもキュートでかわいいねっ。まるでどこかの貴族のご令嬢様だよっ。制服姿だって凛々しくてかわいいんだけどね。
ボクを見て呆れた様子のフリルさん。
「おはようじゃないの。 まさか寝てたの? もう夕方なんだけど?」
ギルドの仕事は朝からから昼すぎまでなのだ。
「テヘペロッ。 どうせ数日はゆっくりするつもりだったしね〜。 さぁ、どぞどぞ? 今日はどだったぁ?」
フリルが部屋に来るのは初めてじゃない。
お馴染みさんでなければネイさんかステラが伺いにきてくれるからね。
今日は朝からギルドに騎士団がきてボクの登録票や実績、支払い票なんかを確認して、職員に聞き取りも行われたらしいけど、詳しい理由は教えてもらえなかったそうだ。
アッハッハー。
「ユフィ、大丈夫? 何かあった? 悪い事言う様な職員はいないけどよほどの事だよ」
「そだよねぇ。 フリルご飯はぁ? じゃあ、一緒に食べよ。 貰ってくるね〜♪ あー、飲むよね?」
フリルも最初からそのつもりで来てる。
食事は部屋でも食べれるけどセルフサービス。ネイさんに食事を頼みステラからぶどう酒(ボクでもジュースみたいに飲めちゃう甘いやつ)のボトルとコップを受け取って部屋にもどる。
少し飲んで雑談してから食事を受け取りに降りていく。今日は飲むよ〜♪人と一緒に飲むお酒は美味しいね。食事をとりながらお互いのなんやかんやを話してたらボトルが空いたので、皿を返して新しいボトルと干し肉、野菜スティク、薄揚げ芋(ポーテーチー♪)なんかを貰ってくる。ポテチは塩が高いので薄味だけどやっぱり美味しい、蜂蜜をかけたりもするよ。
………………
「この辺でそんな目立ってたなんてユフィは間違ってはないね。で、あの赤髪のアクセルと騎士団長の息子の二人を相手にして倒しちゃったと。 それは騎士団は大慌てな訳だ……。 でも、いきなり斬り掛かられるなんてね。そんなに殺気でも出してたの?」
「普通だよぅ。 フード被ってたから怪しいと言われたらそうなんだけど」
「そっか。 実際はわかんないけどアレクシア王女の周囲の人間ってそんなに悪い噂は流れてないよね。 王女様と一緒だから気を張ってるのは仕方ないけどね。 で、アレクシア王女に気に入られて、また今度会う訳か? どうするの?」
「んー、どれもお断りかなぁ。 貴族とか勤めとか嫌だし」
「普通の人間なら泣いて喜ぶとこだよ。 考えてみても良いんじゃない? 待遇良いし今みたいに危ない事だってしなくてすむしさ。 で、良い男の話ばかりだけど、誰か気になったりはしてない?」
フリルは18才。もう結婚していてもおかしくない年齢。フリルは当然ながらギルド職員はモテる。モテまくる。毎日接する冒険者だって引き締まった体で稼ぎも街の人の比じゃないし、顔が良いのもわりといる。恋の話も少なくないけどフリルさんの最終面接までは残れない、高嶺の花子さんなのだ。がむばれ男子諸君! ボク? ……ボクはね……。色々とね……。あれだよね……。
「ならないかなぁ〜。世間知らずのお坊ちゃん達だし、貴族とかはないよねぇ」
「そっか……。 まっ、いいんじゃない……」
神ビジュのゲームのメインキャラなんだから、ちょー優良物件なのは間違いないけどドキドキはしない。ドキLOVEなのに? ボクのドキドキどこいった?
コンコン。
「ユフィー?」
「いいよー、はいってー」
仕事が終わったステラがやってくる。ステラは14才。肩くらいまでの栗色の髪で明るい印象の女の子。彼女はフリルが来てる時は手が空いたらすぐにやってくる。フリルは優しいからモテモテ。 話上手に聞き上手、出来る女性はステキ。
三人でお風呂に入るとフリルがボクとステラの髪を洗ってくれる。彼女の細い指が優しくて気持ちいい。さっと髪を乾かして寝衣を着たら三人で布団に潜り込むのだ。
話しの中心は恋話。フリルのエピソードは多い。ライトな話ばっかりだけどね。そもそもフリルの濃い話はイメージできないし聴きたくないかな……。
ステラだってモテる。宿のお客さんの中には優良物件もいるし気になる人はできる。客層は悪くないしボクやフリルがお勧めできる冒険者も泊まってるしね。かわいくてしっかり者だから、ネイさん達の許可がでれば結婚は早いだろね。
二人の寝息に安らぎを感じる。こっちに来てからの五年はあっと言う間だった。一人でいると寂しくなる時だってある。ほんとにフリルがいてくれて良かった。ずっと一緒にいてほしい。
朝は起こしてあげるつもりでいても、いつもフリルが先に起きる。なんで? ステラの朝は早いのでいつもより早い時間のはずなんだけど、頭に目覚ましでも入ってるの?
頭が重たそうな二人の状態異常を回復して浄化魔法をかけてあげる。
「ありがと。 ユフィはいいね、いつも平気そうで。 ステラ、頑張ってね」
といって、私とステラの頬にキスをしてくれる。デキる女性はステキ!
ステラはさっと着替えて先に降りていくので、ボクはフリルの朝の準備の間に下で朝食を貰ってくる。今日は野菜スティクと炒り卵。
「ユフィもそろそろお化粧くらいはしないと」
なんて言われるけど、このセカイの化粧品にはさすがにときめかないかなぁ。フリルだって化粧しない方がかわいいし。
野菜スティクをウサギの様にかじりながらフリルを眺めて待つ。……というか、いつまででも見ていられる。かわいいは神だ。
特に予定はないけどフリルと一緒に部屋をでてギルドまで送っていく。
フリルを送って市場でもぶらつくかな?




