告白……
「あたしも」
「やだよー。 入ってくんなよー」
アイシャがタキナとの間に入ろうとするからガッチリガードしておく。
「さみしい」
「タキナはボクのだもーん。 しらないもーん」
顔をうずめるボクの横からタキナがアイシャにも手を伸ばす。
「はい、アイシャ様も」
「タキナ優しい」
「んーーー、やだーー」
頬を膨らませたをボクを後ろから柔らかい塊が包む。
タキナのも小さくは無いけど、後ろの塊の破壊力には敵わない。
「なら、ユフィはあたしが貰おう」
「ダメですっ。 ミネルバ様には姉様達がいるじゃないですかっ」
「タキナはアイシャがいいんだろぅ?」
「私はユフィ様がいいんです。 アイシャ様なんておまけです」
「おまけ……」
「全く仲良いわねぇー。 アイシャおいで。 邪魔しすぎたら噛み付かれるわよ」
「噛み付かれたい」
「そうゆぅ事じゃないの。 ほらいくよ」
「んーー」
ヒッヒッヒ。
邪魔者はミネルバが引き取ってくれた。
「タキナ……」
「ユフィ……」
「ホールですんなっ、バカップルっ!」
「バカップルだって……。 ヘヘ」
「どうゆう意味ですか?」
「バカみたいに愛し合ってるって事。 タキナ、大好き」
「はい。 大好きです」
「ちがうわ、お花畑!」
「あーれー」
無理やり引きずられていくアイシャだけど、彼女はミネルバも大好きだ。
結局優しいし、彼女の部屋にはたくさんの軽食が準備されてる。
アイシャ、修練止めたら太るんじゃない。
「タキナぁ、二人でお茶しよっ」
「はい。 準備しますねっ」
今日はいつもの通りにお茶が終わったらちゃんと修練場へ。
当番はジェヘナとアイロニかぁ。
やっぱり姉様達に手合わせをお願いして正解。
ボクの熟練度もそうだし、アイシャはほんとに成長した。
ラーニングに加えて天性のセンス。
こないだまで伸び悩んでたのが嘘の様。
きっと彼女はボクに届く。
いつか、ボクを…………存在になる……。
以前の様に気絶して朝まで起きないなんて事はほぼ無くなったから、逆にお泊りができなくて不満そう。
頑張ったアイシャにはボクも優しくするしね。
それに比べてボクは成長を実感出来ていない。
動きは絶対良くなってるはずだから、ものさしが無いってのもあるだろうけど。
今日のアイシャも気絶はしないもののボロボロになって倒れ込む。
彼女の傍に寄りそっと頭を撫でながら回復をしてあげる。
「おつかれ、アイシャ」
「悔しい」
「大丈夫。 アイシャはまだまだ強くなるよ」
「クーンより?」
「ボクより……」
「ないね」
「ありえないなんて事はありえないんだよ……」
「ユフィ?」
「送るよ」
門限は無くしてもらったし、急な外泊でも大丈夫だけど、基本的には遅くなっても寮に帰らないといけない。
黄昏色に包まれた学院までの道。
夏が近づいて来て少し暑さを感じるほど。
そろそろ半袖でもいいかもしれない。
ただ、淑女は露出を減らさないといけないし、日焼け対策のためにアームカバーは必要かな。
庭園はいつも綺麗に手入れされていて、季節の花々に彩られてる。
いつもの道を逸れて、少し丘になったガゼポに足を向ける。
ちょっとそれるだけなのにアイシャは嬉しそう。
「デート」
「そだね……」
ガゼポのベンチに腰を下ろすと、彼女は傍に来て頭をあずけてくる。
ボクもあずけてしばらく彼女の匂いに浸る。
「ねぇ、アイシャ……」
「ん? 告白?」
「これから先。 もし……、ボクが……、タキナを……、みんなを傷つける様な事があったら……。 ボクを…………」
「……わかった」
日暮れはさみしい。
先を思うと無性に不安が襲う。
ボクはずっとみんなといられるかな。
タキナを……、アイシャを……、みんなを守れるかな……。
頬を湿らすボクに彼女はそっと唇を重ねる。
ただただ、ゆっくりと優しく。




