自惚れていた……
短めの文字数ですがひとまず目標にしていた50部を投稿いたしました。
長く連載されている方々の苦労を身にしみて感じます。
自惚れていた。考えてなかった。
ビルドは強かった。
みんな強いとは思っていたけど、ここまで……。
肉弾戦に限定するなら、彼女はラスボスユフィーリアを倒す実力がある。
総合力でボクが負けてるとは思わないけど、初見なら殺されてる可能性も0じゃない。
こんなボクだけど大切な人ができた。
でも今のボクじゃ、彼女を守れない。
………………
「ユフィ様、もう大丈夫ですから……」
「いいから、今日はこのまま……」
「はい……」
アイシャをビルドに任せて、タキナを部屋まで運ぶ。
彼女は遠慮するけど、何かしてあげられる事がすごく嬉しい。
靴だけ脱がせてベッドに寝かせるけど、衣服の乱れた彼女は魅力的で、その全てがとても愛おしい。
自然と吸い寄せられて、首筋に口を這わせていく。
抵抗のない彼女に唇を重ねて、指と指を絡め合う…………。
「タキナ、大好き」
「はい……、タキナもユフィ様が大好きです」
ボクはタキナを失いたくない。
………………
二人でさっと汗を流して、客室にむかう。
アイシャには、そのままビルドが付いてくれていた。
「ビルドありがとう。 後は見てるよ」
「OK。 じゃ、よろしくなぁ」
アイシャは傷が治され、体も拭かれてキレイなガウン姿でベッドに寝かされている。
「今日は頑張ったね」
そっと頭を撫でる。
倒れるまで頑張れる彼女が羨ましい。
「タキナ、もう休んでいいよ。 今日は疲れてるんだから」
「大丈夫ですよ。 このままお供いたします」
「じゃあ、一緒に寝ちゃおっ」
「それはダメですよ。 私が見てますから、ユフィ様がお休みになってください」
「いいの、アイシャはそんな事気にしないから。 さっ、でないとボクが眠れないから」
「わかりました。では失礼いたします」
彼女が目覚めたのは、次の日の明け方だった。
「あたし、死んだ?」
「ちゃんと行きてるよ」
「起きたら天国だった」
「ばか」
転がって来るアイシャを優しく抱いてあげる。
「晩ごはん、食べそこねた」
「起きたと思ったらそこ? 机に用意してあるから食べよっ」
「ん」
「おはようございます。 では、準備しますね」
「ん」
アイシャがタキナにも両手を広げるから、タキナと場所を入れ替わる。
意図を理解したタキナはそっとアイシャを包み込む。
今日だけだからね。
「タキナの方が柔らかい」
「うるさいっ。 返せっ」
机には五人分ほどの料理を用意してもらっている。
彼女はいつも三、四人分ならぺろりだからね。
タキナが温め直してくれて、お茶も入れてくれる。
朝から食べるにはすごい量だけどね、昨日の分まで食べるんだって。
「ミネルバなんだって?」
「自分の価値を示せって」
「価値かぁ……、どうするの?」
「わかんない」




