パウラさんは不器用……
「ユフィ様。 私も行きたいのですっ」
……うーん。
予定はしてなかったんだけど、カトレアも教官をやりたいと言い出した。
彼女は14才でクロエと同じだけど、見た目は凄く幼くて小学生に間違えられるタイプ。
「などと申しておりますが?」
「連れてってやれ、二等兵。 問題ない。 実力はお前もわかってるだろ」
「誰が二等兵かっ? いい加減もういいよぉ」
「まだ、ご褒美が足りな…………。 おい、こら、まて二等兵っ!」
ダメだ。
あの日以来パウラに遠慮がない。
ミネルバの前でも危機探知が反応するって、どんだけだよぉ。
貴族なんだから慎めよぉ。
「だぁきぃだぁーーー、パウラがいじめるんだよぅ」
「よしよし、大丈夫ですよ。 私がついてますよっ。 でも、姉様が完全に心を許したって事ですね。 いつものニコニコしてるだけの笑顔の姉様は一切気を抜いていませんから」
「それならもう少し普通に優しくして欲しいよぉ」
「姉様は不器用ですからね」
タキナが頭を撫でてくれながら、パウラの話を語ってくれる。
パウラはドラゴンナイト、レッドグラント家の長女として心許せる相手もなく武を極める修練だけの孤独な幼少期をすごした。
だった一人で両親に愛される事もなく、才ある子供を拾ってきたのでは? との噂もあったらしい。
おしゃれも、恋も、女の子らしい事は一切無縁で武人として生きてきた彼女が、第二騎士団に入隊して自分より小さな少女に仕えて初めて本物の愛を知る。
だから、パウラにとってのミネルバは自身より大切なかけがえのない存在で第二騎士団こそが家族。
「ユフィ様を愛してしまったから、失いたくないんでしょう。 ですから……、お嫌でしたら。 ちゃんと伝えれば……、もう近づいてこないと思います」
「……………………。 わかった……。」
わかんない。全然わかんない。
わかんないけど、ミネルバの部屋に……。
「ミネルバちょっとごめんね」
「どうした、二等兵? やはり、つづ…………」
パウラの胸ぐらを掴んで勢いよく頬を叩く。
そのまま引っ張って顔を寄せて軽く唇を合わせる。
長く……、唇の感触を忘れない様に……。
唇を離して彼女の頭を抱く。
「バカパウラ……。 舌いれようとすんなっ……。 離れて行かないから……」
頭を撫でながら優しく……優しく……。
「なぁ……、ユフィ……。 膨らみがなくて気持ちよくな……」
バシィィィィィィィィィィィィ。
「バカパウラっ! もう、帰るっ!」
翻すボクの手を掴んで引き戻して、胸に引き込まれる。
「ほら……、こっちのが良いだろ?」
彼女の良い匂いがして、落ち着く。
「しってるしっ……(小声)」




