ラスボスと学院生活と夜
学院生活は色々問題もありながらも、順調に楽しく過ぎていく。
毎朝、ロッカーが汚されてる事は別に気にしてない。
けど、ゴミを入れるのは汚いのでやめて欲しいのだけどなぁ。
精神年齢は二十以上だしぃ、ちよっとくらいは我慢しますよっと。
嫌がらせを一番気にしてるのはアレクシアかな。
自分のせいだと思ってるから周りに自制を促して、ボクの布教活動に注力してる。
気にしなくてもいいのに、ほんとにいい子だね。
自分ではそんなに嫌われてるとは思って無いけど、平民だし、妬みの種はあるし、指導が厳しいのも事実で、マジナ先生の方が圧倒的に人気がある。
ちょーっと、小さいだけなのにね、ちょーっと。
まだ大丈夫だよね?
今日の講義で遂にアレクシアは低レベ班を卒業となった。
剣技、魔技共に頑張っていて、ラスボスユフィーリアを倒す魔法のきっかけ程度は掴んできている。
もう初等の半数以上は高レベ班になって、卒業を待たずに目標の先生方に追いつきそうだけど、先生方もレベルアップしていて見てるこっちが楽しくなる。
高レベ班は中等部にも負けないんじゃないかな?
男子諸君がボクと会話できる様になった事も能力の底上げを感じるね。
デートのお誘いとか無いけど。
ねぇ、無いけど?
アレクシアやクロエは毎日の様にお茶会なんかに誘われて、親密度が上がってる子もいるのかなぁー?
まぁ、ボクにはたぁきぃなぁがいるしぃ、忙しいしぃ、姉様のお茶にだって行くしぃ、別に気にしてないしぃ。
でも、一番の成長株はエレノアかなっ。
ボクへの対抗心か? 貴族としてのプライドか? 泥臭いトレーニングにも良く耐えて、ぐんぐん成長してる。
そろそろ、新しい訓練方法も考えてみるかな?
イメトレは各自でやればいいし。
鬼ごっこで育つのは、瞬発力、持久力、判断力、スピード、魔力量。
やっぱり良い。やめられないなぁ。
よしっ、満を持して新しい刺激を入れてみよう。
姉様には三日置きにお茶に誘われるけど、相変わらずボクの席は膝の上なのだ。
ボクも重たくはないんだけどさっ、重たくはっ。
気を遣うから落ち着かない。
いつも廊下や階段で待ってるアイシャを姉様が引っ張ってきて、それからは彼女も一緒になんだけど、それでも膝の上から下ろして貰えず大爆笑される。
彼女の為に軽食も用意されて、ご満悦みたいなので良しとするけどね。
「ユフィって、ティファニア様の愛人なの?」
「ち、違うしっ! 気に入られてるだけだしっ!」
「ふぅ〜ん」
今日のティータイムはアレクシア達にクロエも一緒。
姉様の機嫌はマックスハートで、抱擁と頬キスを受けるアレクシア達も幸せそう。
クロエはまだ酔いから覚めてないみたいで、少女の目で姉様を見てる。
まだまだ、一番は姉様かなぁ?
キスに照れて目を泳がせてるアクセル達もなかなかに面白い。
エレノアが「不敬ですわ」とか挟んで来るけど、弄ると朱くなって怒るのが、かわいいからやめられないのよねぇ。
ひっひっひっひっ。
姉様はアレクシアと二人になるのは避けてるのか、禁止されてるのか。
寂しそうな顔でボクを見ながら腿をポンポンするのは止めて下さいねー。
行ける訳ないですよねー。
ボクにも少しは遠慮して下さいねー。
姉様が本部に泊まりにくる事も増えたんだけど、相変わらず何もさせてもらえず、何からなにまで姉様がやってしまう。
タキナと三人でベッドに入る様になったんだけど、タキナがボクを姉様の方に向かせるのがちょっとさみしい。
まっ、後ろから優しく抱きしめてはくれるけどさ。
なかなか寝付けなくて、そっとベッドを抜け出して、コートを羽織って部屋から出ていく。
これ、気配遮断を最大で行かないと、タキナが気づくんだよねぇ。
屋上に出てベンチに座って空を見上げる。
今日は月が無くて、星が綺麗。
ボクは月が嫌いになった。
このセカイの夜は深い。
いろんな事があったけど、いつも月が輝いていて、見られてる気がして吐き気を催す。
「ごめん、起こしちゃった? ちょっと眠れなくてさぁ」
「いえ、わたしも目が開いてしまっただけなので」
タキナが隣に座って温かいミルクを渡してくれる。
砂糖が入っていて甘さが染みる。
「風がお体にさわります。 そろそろ行きましょうか?」
「うん」
彼女が唇を合わせてくれる。
長く……、深く……。
優しくて……、甘い……。
タキナがボクに満ちていく。
エヘヘ。




