講義とアイシャと姉様と
実技講義の時間は二班に分けて行う事になった。
剣技については高レベル班がボク、それ以外はケンハマカー先生が基礎から教える。
高レベル組じゃないと男子は話もできないからね。
こっちの班はボクとアイシャ相手に掛り稽古と筋トレをメインで行う。
魔技講義は少し変わってくる。
ボクも基礎的な教えを受けたことが無いから、説明的な部分は一緒に受けて、実践練習の段階になったら二班に分かれて行う。
男子諸君には申し訳ないが耐えろ……、ではなく。ボクが精神耐性向上をかけると、少しマシになるそうだ。
まずはボクが代表的な属性の魔法を実演してイメージを高める練習……。
と、思っていたら一部が強い魔法を撃てなくなった。
なんで、どして?
検証の結果、自分の魔力が無いのに強いイメージを持ちすぎると発動すらしない。
10の魔力に8や9のイメージならいいけど、10の魔力に11や12のイメージを持ってはいけないのだ……。
すいませんでした……。
まぁ、マジナ先生も初見の事態だそうだ。
魔法が撃てなくなった生徒は魔力とイメージのすり合わせをしてもらう。
問題なかった生徒は、ボクとアイシャから逃げる鬼ごっこである。
肉弾戦あり、肉体強化あり、魔法戦闘あり、タッチされても動ける限りは続けてもらう。
クックック。
終わり際にはマジナ先生も鬼ごっこをしていたけど、わざと捕まる生徒が続出したので、タッチが雷魔法になった。
ってか、追いかける先生の楽しげな顔がなんかエロい……。
悔しいけど、男子諸君のやる気にはアレが必要みたいだね。
予定があえばミネルバや三人娘に参加してもらったら、すごく盛り上がる事間違いなしだ。
使える物は、僻まず使うよっ。
まだ、成長期だからね……。
おーい、だよねー?
講義終わりに先生方と打ち合わせ。
手法は理解頂いたので、当面はそのままで継続。
男子生徒から厳しすぎると苦情があるが、威圧のせいなので無視。
高レベ班からマジナ先生とあそ……、の指導が良いとの発言があったけど、却下だ、却下!
呼ぶのはパウラだけでがいいかもしれない。
「アイシャ、待ってたの? 今日は遊べないよ」
「別に暇だし、寮に帰るなら一緒だし」
「ありがとっ」
姉様の部屋へ向かう途中、すれ違いに敵意を幾度か感じる。
初めて見る顔だよね? 作法は守ってるはずだけど。
あっ、あれかな? 「どうして私の所に挨拶が無いねかしらっ? これだから平民はっ」って、やつ?
姉様に相談したら、さらに悪質になるイベントだね?
「ありがとっ。またね」
「ん、また」
コンコン。
「どなたかなー?」
「ユフィです」
「待ってたよ」
カチャ。 バタン。
……!?
部屋の扉を閉めた途端に、きつく抱きしめられる。
「ティフ……」「ごめん……。 ごめんね…………」
縋るように抱きつき、むせび泣く体をそっと抱き返す。
………………
コンコン。
随分とたったか。ノックの音で現実に引き戻される。
「だれ?」
「フェルミナでございます」
「帰ってくれる。 今日は用事があると伝えていたはずだけど?」
「しかし、お声が。 何かございましたか? 私でよろしければお力に……」「帰って」
「畏まりました……。 申し訳ございません……」
「お茶が冷めちゃったね。 温め直すよ。 座って。コーヒーがいいかな?」
寮の部屋だけど、さすがに豪華。派手さは無いけど良い物が揃っているのが見てわかる。
側付きはいないけど、部屋は綺麗に整えられている。
姉様が席に着いたけど、紅茶のカップが両方姉様の前?
「こっちにおいで」
姉様は少し憂いのある表情で、腿の上を手でポンポンしている。
「………………」




