日常と講義室と
「おかえりなさいませ、ユフィ様」
「タキナぁ。 ただいまぁ。 あーん、会いたかったよー」
「はいはい、今日もよく頑張りましたね」
タキナの匂いと温もりが安らぎを与えてくれる。
今日はミネルバ達も全員揃って食事。
いつもの円卓のいつもの場所に座る。
上座がミネルバ、隣にクロエ、そしてボク。
三人娘の場所は決めては無いのかな?
だいたいはミネルバ側から、パウラ、カティア、カトレアの年齢順なんだけど違う時もある。
今日は、カティアが隣に座った。
最初の様に敵意剥き出しで接せられる事もなく普通に談笑を交えて食事ができる。
パウラは相変わらずニコニコしてるんだけど、話し始めると熱血漢で暑苦しかったりもする。
直ぐにバンバン叩いてくるから、勢いがつくと食事にならない。
カトレアが一番しっかりしてるね。
みんなの事を気にして細かいところまでよく気がつく分小言も多くて小さいおかんみたい。
そこが余計にかわいいんだけどねぇ。
三人娘とも随分仲良くなったもんだ。
タキナは、いつも給仕とボクの世話焼きに専念して、後でメイド仲間達と食事をとる。
仕事に誇りをもってるんだってさ。
メイドとして接せられると寂しさを感じる時があるけど、察した彼女は直ぐにフォローしてくれて、ミネルバが羨ましがるのだ。
クシシ。
お茶まで終わったらミネルバと二人の時間を作ってもらう。
昨日、今日の学園の事、教員扱いの事、姉様の事、これからの事。
姉様は五年位前に王宮を出て学園で一人暮らしを始めたそうで、ミネルバは今でも交流はしているけど理由は教えてくれないらしい。
王宮できな臭い話もないでは無いから政治的な理由ではないか? という噂が多いそうだ。
で、一番の問題はクロエの事だ。
ボクと一緒に行動していると、クロエがモテナイ!
ミネルバに似た本物の美少女なのに男が寄ってこれないのだ。
でも、それでいいらしい。 ボクより強い男でないとクロエはやれないって。
みんな、ハードル高くてごめんよぅ。
それに文官系男子君には突破の可能性が無いのでは?
大浴場でさっと入浴を済ませて自室に戻る。
ゆっくり入りたいけど、ミネルバが来るとちょっかいを出してくるから結局ゆっくりできないのだ。
自室に戻ったらさっとベッドに飛び込んで、タキナに向かって隣をポンポンする。
彼女はすぐに笑顔で応えてくれる。
お話して、本を読んでもらって、ゆっくり包んでもらう。
幸せ。
学校につくとすぐにアレクシアが寄ってくるから、一緒に取り巻きが付いてくるのが煩わしい。
「おはようユフィ」
「おはようアイシャ」
この集団に普通に入ってこれるアイシャはすごい。
横でエレノアがどうこう言ってるのも完全スルーだ。
アレクシアとエレノアが騒がしいので、クロエの隣を陣取る。
クロエが楽しそうなので特に言う事はないが。
「皆さん、騒がないで。 品がなくてダメですよ」
「あなたに言われたくないのですわよ! へいみんっ!」
ですよねぇ。
講義室に入ると少し雰囲気がおかしい。
変な目で見られるのはいいんだけど、これか……。
講義室にはそれぞれに鍵付きのロッカーが与えられてるんだけど、ボクのロッカーが荒らされている。
扉は落書きされて、中の教科書類はズタボロだ。
この鍵を破れるのは初等学年では五人ほどしかいない。
心配の声に手で返事をして、魔法でさっと落書きを消して整える。
まっ、いいけど。




