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変な奴と学院長先生

 アイシャが食べ終わるまで、部屋でタキナとゆっくり……ダメ?

 そうですか。


 ミネルバと三人娘も学院のお茶会に出席してるらしい。


「美味しかったよ。 ごちそうさま。 お貴族様の食事はいいね。 うん、飼ってよ?」

「要らないし。 主じゃないから、勝手に決められないしねぇ」

「わかった。 聞いてみるから紹介してね。 手合わせしよ」

「ふぅ。 まぁ、いいけど」


 アイシャは強い。

 多様な武器と魔法を使いこなす上にケンハマカー戦よりも更に強くなってる?

 正統派? 我流? 良い所が合理的に混じってる。

 剣技だけなら今のボクより上だね。 勉強になるぅ。


「いいね。 殺し合いはこうでないと」

「殺し合いはしてないかなぁ……」

「ねぇ、ユフィの血ちょうだい。 啜りたい。 ……? すっごい温かくて、美味しいんだよ。 ちゃんとあたしのもあげるからさぁ」


 恍惚の表情で舌なめずりする様子は、非常に淫美な魔力を放っている。

 ねぇ、ほんとに犯罪してない? 

 

 アイシャは孤児で貧民街での暮らしはとても辛いものだった。

 襲ってきた男を返り討ちにして、その血で温まっていた所を騎士団の人間に拾われる。

 孤児達が集まって、お互いの血を啜りあって飢えを凌ぐ事も少なくなかったらしい。

 血を啜って生きてる訳じゃないけど、啜ると心が満たされるそうだ。


 …………。

 やだよっ!



「ユフィ、ラーニング持ってるよね」

「勉強になったよ、ありがとう。 ギフト? ラーニングは持って無いけどねぇ」

「ラーニング無しでそれ? 天才か……? 強い訳だ」

「そろそろ終わろっか? 門限でしょ、送るよ」

「今日は帰りたくないの」

「そーゆーのはいいから、とっとと行くよ」


 ギフトって天才の事だと思うけどね。

 


 夕暮れ前の石畳を壁沿いに二人で並んで歩くのを、タキナは後ろから付き添ってくれてる。

 門まで送って、帰りはタキナと手を繋いで歩きたかったのに、拒否された。

 貴族区じゃダメだって。

 

 でも、みんな帰ってこないから、夕食は給仕も断って、タキナと二人っきりで頂いた。

 静かな二人の時間がとても心地良い。



 ミネルバ達が戻ってきたのは日も変わった後。

 これからの事を相談したかったんだけど、タキナからダメが出る。

 夕食会や晩餐会の後のミネルバはストレスが溜まってるから、無事に帰っては来れないって。

 ブルブルブルブル。



 次の日の朝は誰も起きて来なかった。

 クロエも学院は休むそうだ。

 一人だし歩きでいこっと、エスコートしてくれないから恥ずかしいしねー。



 学校の門をくぐり庭園に入ると、肩に小さなフクロウが舞い降りる。

 かわいい。

 フクロウってほんとに羽の音小さいんだぁ。

 この子学院長の遣いなんだって、小さい愛らしい姿に『のじゃ』言葉ってヤバい。

 しずは、相変わらず音沙汰なしだ。

 我慢できずにこねくりまわしてたら逃げられてしまった。

 あぁ、もっと。

 朝から学長室に呼び出し、なーんだろっ?


 

 コンコン。


「誰か?」

「新入生のユフィです。 お呼びですか?」

「入りたまえ」


 あ、自動で開いた。

 学長室の扉は大きくて頑丈。 部屋自体に物理的、魔法的防御結界が張ってある。

 

「そこで止まれ」

「?」

「この部屋でもそれか? なんて強力なギフトだ。 それで学院生活やっていけるのか?」


 椅子に座ってるのは学院長のクリフ・アーモネストだ。

 見た目年齢、中学生のちっさい男の子。

 小顔にショートの銀髪で深い翠の瞳。 女子がキャーキャー言うやつだ。

 だから、髪をいじるなー。

 ゲーム中はいつも髪をクルクルしている。

 その仕草で辛辣なセリフを吐かれるとイラッとくるんだよぅ。

 

「実技査定の結果は見せて貰った。 あと、ギルドの資料もな。 お前……、魔人か? だとしたら、この国で何をするつもりだ?」

「ストレートですね。 答えはノーです。 ボクは完全に人族ですし、特に何をするつもりもないですが?」

「まぁ、聞いてみただけだ。 ビッテンフェルトが後見だしな。 で、用向きだが…………」


 話の内容は実技に関して教師になって欲しいとの事。

 生徒達を鍛える事と冒険者としての知識と技能を叩き込んで欲しいとの事だった。

 報酬も貰えるし目的とも一致するから断る理由はない。

 

「もう一つ報酬を追加してほしいのですが?」

「いいだろう言ってみろ」

「『永遠の王墓』に入る許可をいただきたいのです」


 『永遠の王墓』はこの学院の地下にある未踏破ダンジョンだ。

 むしろダンジョンの上に学院を作ったのかな?


「入ってどうするつもりだ?」

「どうするって、攻略ですが?」

「死にたいのか?」

「まさか。 ちゃんと生きて攻略したいと思ってます」

「命知らずだな。 それに関しては保留だ。 王の許可がいる。 今度伺っておこう」

「ありがとうございます」


 『永遠の王墓』はユフィーリアがアレクシアを嫌がらせに放り込むイベントダンジョン。

 まぁ、そんなに癖はないんだけど、難度は高くて最下層が辛いんだよねぇ。

 ゲームイベントでいくつかダンジョン攻略はあるけど、アレクシアの神器があるとしたらここだよね。

 お約束的に!

作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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