タキナとギルドへ
うん、今日こそはギルドに行くよ。
ボクはいつもの服装で、タキナは昨日買った服の中から控えめな物をチョイスしてローブを付ける。
それでも当然かわいいー。
もう少し冒険者風の服も買わないとだねぇ。
「ふっふぅ〜。 タキナかっわいい〜」
「ユフィ様……、品がないのでダメですよ」
「朝から廊下で何をしてるのよー? あたしも混ぜなさいよー」
廊下で頬ずりしてるところにミネルバが抱きついてくる。
く、苦しい。
胸に埋めないで。
「もう少しくだけていいって話はしたけど、朝から外でいちゃつくのはさすがにけしからんねぇー。 校則違反にしようかー? あたし以外はー」
「自分はいいのかよっ!」
「ここの主だしねぇー」
昨日、ボクとタキナの行動について少し相談したんだ。
学生や冒険者として生活して行くのには堅すぎるからね。
タキナはミネルバの話なら聞き入れてくれるから。
あれっ、ボクの意見は?
「昨日は遅かったのにしっかり起きるんだね?」
「たまたまかなぁー。 まぁ、昨日は寝てないからねぇー」
うん、後ろのカティアとカトレアは全く身が入ってませんね。
あー、そうですか。
パウラは問題ないのか、いつも通りニコニコしてるね。
馬車を出してもらって、下町の手前まで送ってもらう事にする。
服装もそうだけど馬車に乗ってる人間も十分に魅力的だからね。
馬車は乗り心地が悪くて窮屈だから嫌だったんだけど、車輪を浮かせてみたら大成功!
自分達しか乗ってないし。
タキナはミネルバに拾われてからはほとんど外には出てないそうで、窓から見えるお店をエピソードも付けて教えてあげる。
二人で観光みたいでほんと楽しっ!
ギルドからはまだ距離がある内にフードを被って馬車から降ろしてもらう。
降りた途端に絡みついてくる視線があるけど、今日は無視だっ。
ボクの楽しいを邪魔するなっ。
「タキナー、手つなごっ。」
「ダメですよ……。 あっ、コラッ。」
「ひっひっひー。 タキナの手、柔らかいねっ。」
「もうっ。」
お店に並んでいる物も物色しながら歩いて、学園生活に必要そうな物も購入していく。
本部からの通いだから消耗品は必要ないし、化粧品なんかはミネルバが使ってる物の方が断然日本の物に近い。
ギルドの重い扉を開けて中に入るといつもの様に視線が刺さる。
タキナをジロジロ見るな! ぶっ飛ばすよ!
まだまだ人が多い時間だね。
一応掲示板に目を通して、タキナにもギルドについての説明をしていく。
タキナの冒険者登録もしとくかな?
ボクのギルドに預けてるお金も出せる様にしとかないとだしね。
カウンターにはフリルもみえるけどネネさんの列に並ぶ。
「ネネさん、おはよう」
「おはようユフィ。 あらぁ? 今日はお連れがいるのね」
「お初にお目にかかります。 タキナと申します」
「エヘヘ、ちょっと色々あってねー。 彼女の冒険者登録とパーティ申請に預かり金の管理申請、それとグレンは時間とれる?」
「そっかぁ、ふぅーん、へぇー、ほぉー。 今は忙しいしグレンの予定もアレだから、全部ひっくるめてお昼からでいいかな? フリルの予定も空けとこうか?」
「オッケー、グーグー。 フリルは仕事終わってからで大丈夫かなぁ」
「はいはい。 さっきからチラチラこっちばっかり見てるけどね」
フリルがいる時はいつもそこに並ぶしね。
小さく手を振ってギルドを後にする。
時間ができたから市場を回って熊の居眠り亭で挨拶がてら昼食をとる。
長いことお世話になったからねぇ、ステラは泣いて寂しがってくれて。
もう姉妹みたいな感じだったしねぇ。
お昼過ぎに再びギルドを訪れる。
人は少なくなってるけどネネさんはまだ忙しそうだ。
「あっ、ユフィ。 先に応接室に上がっててくれる? 手が空いたら行くからぁ」
軽く親指を立てて返事を返して、そのまま二階に上がって応接室へ。
しばらくするとグレンとネネさんが一緒に入ってくる。




