怒られた
あけましておめでとうございます
2025年一話目でございます
今まで読んでいただいた方々、楽しみにしていただいている皆様に感謝いたします
物語の最後まで頑張りますので、今後もよろしくお願いいたします
ぷぅ。真夜中なのに追い出されてしまった。
バシュウッ。
ドアが閉じた瞬間にボクに向かって飛んできた水の刃を手刀で弾く。これが金剛の使い方だけど、筋肉を硬くして弾くだけだからけっこう痛いのよ。防壁で弾く方が楽よ。
「お前……なんや? なんでお嬢の部屋から出てくんねん?」
ぐはぁ。
長身、黒髪の目つきが鋭い超美男子。かなり危ない印象だけど、そこも良い。前世のボクならコロッといってしまう事間違いない。兄様? 兄様は当然好き。でも系統が違う。ボクがヒロインで兄様とこの男との三角関係、はたまたもつれて兄様とこの男のなんて妄想ができる事だろう。ただ、今はタキナが一番なのだ。そこに入り込む余地はないっ。
水の刃に合わせて一気に間合いを詰められる。寝間着の女の子なのにずいぶんと容赦がない。
普通の女の子はこんな時間に部屋を追い出されたりしない? そりゃそーだ。
これはケンカだ……。体術はやってそうだけど、頭にきてるのか、スタイルなのか型もなにもなく殴りかかってくる。でも隙が大きかったりするわけじゃなくて強い。
「お前、どこのモンや?」
は? あなたこそ、どこモンですか? まぁ、無関係な人間はこんなとこにはいないわな。
しかし、ホントに容赦ない。寝間着掴むな、破けるだろがっ。
「女の子の胸ぐら掴むなんてそれはないんじゃないですかね?」
「あほぉ。 そないにちっさい胸、目にはいるかい」
「あぁ?」
殴る手を絡め取って関節を極めて投げる。
ミシッ、バキィ。
手を通して嫌な感触が伝わってくる。
関節極めて組み伏せるつもりが自分から腕を折って抜け出して、投げの勢いを利用して蹴りを入れてくるなんて怖いなぁ。
「お前……、ムツソウハの知り合いか?」
「知り合いじゃないけど、シュアの敵でもないんだけど」
「そんなもん関係あるかい。 味方以外は敵や」
水の刃が数を増やして襲いかかってくるけど、それで形勢はかわらな……。水の中に何かいる? ボクをそれる刃の中からさらに斬撃が……、そしてボクに向かって突っ込んで、目前に迫って口を開く。
「貪れ、フォルネウスッ」
フォルネウス? 大鮫か。防壁を展開しつつ鼻の頭を殴るっ。
ベキィィィィ。
フルアーマーね。パワーは魔装機並。素手ならボクの拳がぐちゃぐちゃになるね。
攻撃は派手だけど建物に被害は出てない。ちゃんとセーブしてコントロールしてる訳だ。
さて、どうするか……。
鮫の突進を弾きながら頭を整理していると、ドアが開いて目が据わったお嬢が顔をだす。
ピタッと止まる時間。急な沈黙。
ギロッ。
「うるさい」
「すんません」「ごめんなさい」
バタン。
「お前のせいで怒られたやんけ」
「ちょっと、あんたが攻撃してきたんじゃん」
「怪しいヤツがおるんが悪い」
「わるないわ。 ちょっとおかしい……」
ギギィィィ。じー。
ピタッ。
…………。
パタン。
「とりあえず部屋くるか?」
「な、なんですか? 今もしかして口説いてますか? 年上のイケメンは結構好きですけど、好きな人がいるので無理です。ごめんなさい。」
「誰がぺったんこ口説くねん?」
「誰がぺったんこですかぁーーー?」
「お前しかおらんやろ」
ギギィィィ。ギロッ。
「何度も言わせないで」
バタン。
「とりあえず連れてって」
「おう」




