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助けてほしいって顔してたから

 次はルイーズとバルトリアかな。

 夕方の城の中を走り回るけど強い隠匿って疲れるんだよね。

 目的があるから引き出しを覗いたり壺を割ったりはしない。

 業務時間は終わってるって事なのかな? 偉そうな大きな部屋には衛士しかいない。

 匂いを頼りに厨房に向かって豪勢な食事を運ぶメイドさん達についていく。運ばれる前にいくつか皿が足りてないのは気にしてはいけない。

 うん。んまっ。


 むむっ。メイドさん達の流れが二つに分かれた。ここは何も考えずについていこう。

 おっと、ハズレた。

 着いたのは国王陛下夫妻の食卓だったよ。

 一応情報収集するけど、面白い話はない。普通の王様の日常会話。王様の日常会話ってなんだ?

 隙をみて退室したら王子達がいると思われる方向に。

 おー、いそういそう。出入りのメイドさんと一緒にそっと入室するけど……これ、だれ?

 ルイーズがイチャイチャしてデレデレなのだが? シュアの所で見たイメージとずいぶん違ってイライラする。

 隣は聖女バルトリアであってるかな? このセカイの上流階級はロングヘアーのイメージだけど、彼女は青い髪をショートにしてキレイな顔立ちがより強調されてる。

 たいした話はしてないし、ずっとイチャイチャしてるし、人の恋路なんて見たくない。

 うわぁー、食事中でメイドさん達もいるのに始めちゃったよ……。

 あー、ボク何やってんだろ。なんかドロドロした感情が湧き上がってくる。

 ぐすっ。タキナに会いたい。

 他人の行為には興味がないから、ドアが開いたタイミングで一緒に退室して、またシュアの部屋に戻る。

 こちらには廊下から部屋の中まで人気はない。堂々と何度かノックして、返事はなかったけど入室する。


「入るよ」

「またあなたですか? 無礼ですわね」

「だって返事してくれないでしょ?」


 食事は終わってるみたいで、テーブルには空のプレートが一枚。料理の想像はできないけど、質素なのは確か。


「甘い物は好き? デザート一緒しない?」

「嫌いではありませんわ。 しかし、あなたほどの方ですとやりたい放題ですわね。 強くて自由で……師匠を思い起こしますわ」

「それは光栄だね」


「美味しい……」

「料理には自信あるんだよね(作ったのはユリちゃんだけど……。いや、作れるよ。ちゃんと自信あるよ) ……シュア?」

「美味しい……。 美味しい……ですわ……」

 

 涙をこぼすシュアの傍に寄って仮面は外してそっと抱きしめる。彼女の涙がしばらく止まる事はなかった。

 

「シュア。 シュアの事、もっと教えてくれない? まったく関係のないボクなら、話をするのにはちょうどいいんじゃないかな?」

「…………」


 了承はもらってないけど、ベッドをどけてお風呂セットを広げる。

 

「一緒にお風呂なんてどう?」

「…………」


 返事はないけど服を脱いで、シュアに手をだすと全力で拒否された。

 仕方ないのでシェードを立てて一人で入浴する。

 ずっとボクの事を話し続けると気になる事には言葉が挟まれる。

 一緒はできなかったけどお風呂は気になるみたいなのでお湯は洗浄して次を勧めてあげる。

 一緒に入る方が若いエキスがでて良い。なんて思った事はない……事もない。


「どうしてまったく縁のない私などにそこまでするのですか?」

「……君が、助けてほしいって顔をしてたから」

「そうですか……。 もう大丈夫ですから来ていただかなくてもけっこうです」

「来るよ。 明日も明後日も」

「ドアは開けませんわよ」

「勝手に入るから大丈夫……ってか、泊まっていく。 宿とってないし、夕食もまだなんだよねー」

「誰かきても知りませんわよ」

「まだ食べれる? デザートもまだまだあるよ」

「ちょっと聞いてますの?」


 けっこう食べるのね?

 そのまま居座ってベッドを並べて寝るんだけど、人肌恋しくなってシュアの布団に潜り込んだら、しばらくしてから目を覚ました彼女に真顔で追い出されてしまった。

 テヘッ。


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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