シュウテリーア・レッドフレア
王子とシュウテリーアに言葉はない。新しい部屋を与えられたみたいだけど見張りなんかも付いてないし、自主的な軟禁状態って事か……。
「おい」
「もう部屋に入ってるなんてさすがですわね。 お茶でもいかがですか?」
「驚かないんだな」
「あなたならコンゴウで耐える事もできるでしょ」
(いや、できねーよ。 燃え尽きるよ。 金剛をなんだと思ってんだ?)
「その口調も直していただいてよろしいですわよ」
「これが普通だ」
「似合いませんわね。 どうぞ」
「……ありがと」
体格家なら手を合わせたら体格も性別も当然わかる。
うん、美味しい。結構なお手前で。
それにしても可愛い。
背があってスタイルがいいし、かわいいけどキレイって方が合うかな。
「始めに言っておきますが、私はどこにも身を寄せるつもりはございません」
「殺しに来たとは考えないの?」
「あと少しで死ぬ人間を殺す価値がわかりませんわ。 まぁ、ルイーズは残念がるかもしれませんが」
「どこの者でもなく、ただ話をしにきただけなんだけどね」
「酔狂にも程があります。 どうせ予定もありませんし、時間を過ごすには良いかもしれませんわね」
彼女の事、ボクの事、陸奥の事、この国の事。
ムツソウハ流は幼少の頃にレッドフレア家の食客になったムツソウハに師事して、彼女の技がテンハまで届く事はなかったけど、名乗る事と伝える許しをもらっているそうだ。
ソウハ会って話したかったけど三年前にまた旅立ってしまったらしい。
精霊召喚はジン(魔力?)を使ってこのセカイ精霊を顕現させる。ジンが切れたら消えてしまうから魔装機とは根本的に違うみたいだね。
「ねぇ、シュウのいろんな話聞いたけどホント?」
「もう愛称ですか? まぁ、よろしいですけど。 私の幼名はシュアですわ。 どの話でしょうか? …………。 全て事実」
「どうして?」
「必要だったからですわ」
「何に?」
「あなたには関係のない事です」
「シュアの行動の結果、どうなったか……」
「それこそあなたに関係ない事です」
「もっとシュアを知りたい。 ボクにはシュアがそんな女の子だとは思えない」
「もう終わる事……。 話す事は無いわ」
「まだ終わってない。 やり直す事はできないけど、それ以上に返す機会はつくっていける」
「憐れみ? 私はそんな事望んでないですわ。 あなたの自己満足に巻き込まないでちょうだい。 もう終わるのよ」
「ボクは納得できない」
「あなたの許可は求めてないわ。 私の邪魔をしないで」
「でも……」
「話は終わりよ。 出ていって」
そう言って視線を外す彼女の全てを諦めた様な顔がボクの胸を締め付ける。




