愛されてる?
「フェルミナ。 朝からユフィをいじめましたね? あまりいじめるとユフィがこわれてしまいますよ」
「申し訳ありません。 あまりの喜びに抑える事ができず……。 それに、まだまだ治まる事がなく……。 このままご一緒に……?」
フェルミナが馬車で一方的に責め立てていた時とはまったく違う照れたかわいい顔でボクとタキナに目線を送ってくる。
はははは。それは楽しそうだね……はぁ。
「ふふふ。 またかわいい義妹ができてしまいましたね。 私はお勤めに戻りますから、今日はユフィをよろしくお願いしますね」
「わかりましたお姉様」
「タキナ……。 えっと……。 その……」
視線を合わせられないボクにそっと唇が合わされて、ゆっくりと重ねられる。
「はい、いってまいります。 私も義妹もちゃんと愛して下さいね」
嬉しい。胸がキュッってなる。
「はい」
「お姉様……。 私も……」
おねだりするフェルミナにもタキナの唇が合わされて、重ねられる。ボクの前なんだから合わせるだけでいいと思うんだけど?
傍で見せられると、自分がされている時よりも濃厚に絡み合う様に見えて体が熱さを覚える。でも同時にさみしさも感じてしまうのはボクが悪いんだろね。
そんなボクでも二人が一緒に包んでくれるけど、温もりに癒されるのに満たされない事を知ってしまう。
「いじめていまいましたね」
「うん。 だから……おかわり」
結局、昼食まで三人で過ごしてタキナを送り出した後はくっついて離れないフェルミナを抱いて屋上から屋根をつたって部屋まで戻る。
「フェルミナは、学院はどうするの?」
「本日はユフィ様をいただく一日ですので参りません」
「そうだね……。 いつからいくの?」
「数日は登城の予定になっておりますが、ご一緒いただけませんか?」
「ごめん。 いろいろ任せていい? 王族にはまだ会いたくないんだ……」
「承知いたしましたが、何か都合の悪い事がございましたら私も力を尽くしますが?」
「気持ちの問題だよ。 堅いの苦手ってわかってるでしょ」
「そうでございますね。 当たり障りの無いように対応しておきます」
夕方になるとぐったりと意識を失ったフリルが部屋に運び込まれてくる。意識はないけど傷は癒されてるし、既にキレイにされて寝間着を着せられている。
「ユフィ様、くれぐれも夜の手合いはお控えくださいね」
「はい……」
「あと、騒ぐのであれば別室を用意いたしますので」
「はい……」
なんだよ、みんなして。自分の信用の無さに涙が出そうだよ。それに、そんなに騒がしないわっ。
「この方はギルドの職員では?」
「知ってるの?」
「ええ。 何度か公務で訪れておりますので。 美しく、場違いなほど品がございましたのでよく覚えております」
「そっか。 フリルは、ボクの恩人なんだ。 そして……ずっと想い人だった……」
「だった?」
「うん……。 ごめん。 フリルとも一緒になった」
「私は問題ございません。 お姉様と同樣にユフィ様の幸せを望んでおります。 お心のままになさってくださいませ」
「ありがとうフェルミナ」
重ねる唇はゆっくりとしてて優しい。
食事と入浴を済ませて部屋に戻ったのだけど。
「ユフィ、襲うなよ」「ほどほどにね」「自重下さい」「ダメですからね」「バカ」「脳筋」「発情娘」
度々、姉様達からお声をいただく事になる。ただの悪口じゃねーかっ。フェルミナの前だぞ慎めよっ。
恥ずかしくて顔が熱くなるわっ。
「ユフィ様は愛されていらっしゃいますね」




