この想いをもっと重ねて二人の時間の中で
夕食を伺いに来てくれたクーンから今後の予定の話を受ける。
タキナは今日は戻らないので、フリルが付きたいなら朝まで付いていて良いとの事。
明日は朝からミネルバの部屋に。フリルはこれからの仕事場になるビッテンフェルト家の養児院に入る。当面は朝から夕方までの研修になるそうだ。
「ユフィ様。 くれぐれも睡眠はとらせて下さいね」
「…………はい」
何を言うんだと思わなくもないけど、心あたりもなくはないので黙って受け入れる。
クーンが帰った後は、二人きりでの夕食と入浴に。
二人なのでそこまで豪華じゃない食事だけど、食べた事のない料理に興奮を隠せない表情がとてもかわいい。
嬉しくて幸せだけど、タキナがいない事がモヤモヤする。彼女の自由でいいんだけど、本部の建物にすらいない彼女が何をしてるのか不安になるのは信じきれてないって事? フリルとフェルミナを受け入れちゃって愛想を尽かされるのを想像してしまって苦しくなる。
「?」
気がつくとフリルの顔がすごく近くて、下から覗き込まれていてドキっとする。
「タキナさんの事?」
「ごめん」
「こんなにいい女を前にして、別の女の事考えるなんて、ほんとに悪い奴もいるもんだ」
「ごめん……」
「タキナさんは大丈夫。 ユフィの事しか考えてないから心配ないよ。 ほんとは一番傍にいたいのに、私の為に譲ってくれた。 ずっとユフィと一緒にいてくれるよ。 そして私も。 ふふふっ。 だから、今日はいっぱいユフィを誘惑するの。 タキナさんがくれた時間を無駄にしない様に……」
「フリル……」
…………
ちゃんと寝かせたよ。ちゃんとね。
朝はクーンがフリルを迎えにきたけど、目の下から肌の状態までチェックして、信用されてないのが目に見えて悲しい。
ミネルバに挨拶したら二人は下がっていって、ボクは促されるままソファーに腰を下ろす。
「三人目の花嫁さんおめでとう。 あと何人連れてくるかなぁ? あと二人はいる?」
「どこのアニメだよっ。 もう、ないよ」
「ユフィ。 あたしは四人同時でも大丈夫っ!」
「やだよっ! しないからっ!」
近付いて顔を寄せてくるミネルバへの抵抗が辛い。ストレスが溜まってるのか、強引に押し倒してきてボクの耳にかじりついてもて遊びはじめる。
「ユフィは押しに弱いから心配になる」
「違うよ……、ミネルバだからぁ……んっ」
「ふふふ。 ユフィ……えっちになってる」
「なってない……」
…………
「あたしは、いつもらってくれるのかなぁー?」
「そんな予定はないよ。 そんな形がなくてもミネルバは大切な人だし」
「嬉しいなぁー。 でも、そんな小さな形でも欲しくなる時があるのよねー。 あと、言いたくないけど優先順位はつけないとダメよ」
「それは……、大丈夫。 順位付けとかじゃなくて、みんなかけがえのない人だけど、誰が最愛なのかは自分で分かってるから」
「あたしよね?」
「ちがうしっ。 そんな流れじゃなかったじゃん」
「なら……、もっと染めたげる」
ミネルバが寄せてくる唇は、強引なのに優しく絡んできとろける。離された唇の感触が惜しくて、ねだってしまう。
ほんとに心まで染められそうで……、気持ち良い事は彼女が一番なんだよね。
「やっぱりえっちくなった」
「そんな事ない……」
「ユフィはかわいいね」
二人で入浴して、昼食にして、バカな話をしながらじゃれ合って、また唇を重ね合う。




