表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

151/182

ゼロから始めるダンジョン攻略

 さてさて魔物達の出元を探して東に向かって走る。方向的にはジュノーから離れていって、もうすぐジャローダだと思う。たぶん。

 気配感知には何も感じないのだけど、魔力が濃くなってきたのは確か。

 

「タキナ、何か感じる?」

「空気が淀むと言うか、気持ち悪さはありますね。 魔力が濃いみたいですが?」

「うん。 出元はどう?」

「……わかりませんね」

「おけ。 じゃあ、魔力の色も見えてないね? ボクも気をはらないと見えないから、またがんばろ」

「はい」


 もう少し行ったジャローダとの国境の谷だね。けっこう高さのある断崖絶壁で、下に川が流れてるんだけど、崖の中腹に向かって道ができてる。

 掘ってきたんだろうね、五人並んで通れるくらいの幅の道が出来てぽっかりと大きめの洞窟へと繋がっている。

 これだから油断できない。知能が高い個体が現れなければ、あの集団が出てくる事はなかった。魔力の残滓の感じだったら集団はあいつらだけだと思うけど、ギルドに調査依頼が出てる時点で少し前から魔物達が出て来てたって事だしね。


「ほほぅ、いきなり洞窟発見とは。 二人の初旅で初体験だなんて照れますねぇ」

「はいっ、嬉しいですねっ。 そうそう無い事なんですね? どうしますか?」

「うんうん。 ゴブリン達の巣なら見張りがいるはずだし、魔力が濃いからたぶんダンジョンだね。 騎士団がくる前に攻略しちゃおう。 難易度判定はしとかないとだしね」


 タキナに攻略してほしいから少し時間はかかるかな。シャルマンの事は一応ミネルバに頼んであるから大丈夫だと思うけど、フェルミナの機嫌を考えると悪寒がする。


 入口に狼煙を焚いてから攻略を開始する。安全第一だけど、ワクワクも欲しいからいきなり魔力探知したりはしない。大きなダンジョンなら頭がわれるし、気配はわかるから不意打ちはないしね。

 中は一般的な洞窟形ダンジョン。洞窟形はトラップが少なくて良い。魔法型トラップは構成陣まで見えるボクには効果は低いし、タキナも何か感じるものはあるらしいから練習になる。

 広いけど迷路的な要素はなくて魔物との遭遇も無いままで転移魔法陣まで辿り着く。

 ゴブリン達の生活の痕跡はあったから、一階層の魔物は狩り尽くして外を目指したんだろうね。あれだけの数がいなくなったから、もう少ししたらまたスポーンしてくると思うけど。

 魔法陣は一つだから罠の可能性は低いんだけど、初見は嫌なんだよなぁ。

 「ドキLOVE」で攻略が必要なダンジョンの中に「虫の穴」ってのがあるんだけど、転移魔法陣に乗ったらGの中に飛ばされる場所があって、画面が変わった瞬間にリセットしたから、その先は知らない(アレクシアごめんね)。今のボクなら死にはしないけど、心が壊れない自信はない。

 

「ボクが入るね」

「いけません。 ユフィは後でお願いします」

「タキナ……、ダメ。 譲れない。 ボクだけなら何があっても生きて戻れるから」

「……わかりました。 頼りにしますね」


 優しく抱きしめられる手に寂しさを感じる。

 信頼してない訳でも認めてない訳でもない。


「ごめんね。 タキナを失いたくないから」

「ユフィ……、私もそう思ってるんですよ」

「ありがとう。 ごめんね」


 あれ、自然に頬を涙が伝う。

 涙を溜めるボクを抱きしめる手にギュッと力がは入る。


「すいません。 困らせてしまいましたね」

「違う。 嬉しくて……」

「ユフィは泣き虫ですね」

「うん」

「今日は止めますか? 私達がいかなくても良いと思いますが?」

「ううん、行く」

「はい」

 

 ボク達が行く必要はないけど、仮にこの転移魔法陣が罠で知人が死んだって話が聞こえてきたら後悔するから。

 タキナと一応の取り決めをする。ボクが返ってこなかったら一日待ってからギルドに報告して危険ダンジョン認定してもらう。グレンとネネさんならボクが返ってこれないダンジョンの危険性は絶対に理解してもらえる。

 このルールは今後も同樣。二重遭難なんてあってはならない。

 そしてもし、そんな事になったらタキナはボクを忘れてミネルバの所に戻る事。

 タキナは何も言わない。

 ボクが隠居しない限りは可能性がある事だし、ボクがじっとしていられない事は分かってるから。

 


「ただいま」

「はい、お帰りなさい」

 

 予想通りに何もなく返ってこれたよ。

 なんで過剰にシリアスしてるの? だってそれは結果論だもん。これから旅をするにあたっての話だから、むしろ早いうちに話す機会があってよかった。

 「ドキLOVE」のセカイのダンジョンには無かったけど、転移不能や、嘆きの石のなんてものがあるんだからユフィーリアの力を抑えるトラップなんてのが無いとは言い切れない。

 またしっかり抱きしめ合ってから唇を合わせる。


「いこっか?」

「はいっ」

作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ