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150/182

銀麗剣姫

短めの文字数の投稿ですが、150話まで続ける事が出来ました。

楽しんで読んでいただいている方々に感謝いたします。

もっと良い作品になれるように頑張ります。

ご意見アドバイスあればよろしくお願いします。

 ネスタフェに向かって間引きしながら走っていく。

 誰も知らない冒険者達の活躍によってご近所の平和は守られるのだ。

 ラブ&ベリーと別れて一時間ちょいくらいかな? 小さな魔力の反応に足を止める。タキナもちゃんと感じたみたいだね。


「ユフィ?」

「うん、行こう。 来て」


 彼女をひょいと抱えて全速力を出す。

 魔力は発光魔法。速さと距離を意識して、かなりの魔力を込めて撃ってる。近ければ魔力持ちなら誰でも気づくけど、ボクに気付いてもらえると願って撃ってるって事だ。


 気配を捉えた。木々の間を並じゃない速さで走る八人だけど、その後方にそれ以上の速さの気配が四十? 二つ一組だから騎兵が二十か。討ち漏らしはしたくないけど横に広く展開している。


「タキナどうする?」

「エアバレットなんていかがですか?」

「よろしく。 足まで全部ね。」

「畏まりました」


 タキナを降ろしたボクはエメローラをおんぶして走ってるベリさんにの傍に。

 タキナは敵に姿を晒して細剣を構える。

 敵はやはりゴブリン。


「エメ怪我したの?」

「大丈夫。 魔力欠乏」

「りょ。 殲滅、おけ?」

「おけ」


 タキナを発見した先頭の合図で全体が真ん中に寄る形になる。うん、さすがはタキナだね。

 

 おぉ、タキナの魔法って初めてじゃん。ちゃんと記憶に留めておかないとね。

 マエストロのタクトの所作さながらに細剣を振り上げると、銀色の魔力が身体の周囲を螺旋状に凝縮されて構成陣へと置き換わっていく。

 ヤバい、美しくてかっこいい。

 組み上げられた構成陣が細剣を包み込む。


「全ての障害を貫き屠れ。 エアバレットオロチ……コール!」


 瞬殺。

 速くて正確な空気の刃の連撃で、ゴブリンと騎乗されてる獣達は一撃で心臓を貫かれているだろう。

 オロチで空気の刃を飛ばすイメージだね。魔法じゃなくて剣速のソニックブレードでも似た技ができそうだけど、爆音が出るし周りの木々にも被害が出るからね。自然に対する気配りが優しい。


「お疲れ様」


 軽くハイタッチして抱きしめてから唇を合わせる。気が昂ぶってるのか、伺ってくる舌先をそのまま受け入れる。


 ………………


 ラブさん達忘れてた。

 視線に失礼な感情が入ってる気がするけど、きっと気の所為だね。


「タキナ、片付け任せるね」

「はいっ」 


「嫌なコンビだぜ」

「なにかなぁ?」

「何でもねぇよ。 なんであの姉さんまでそんなに強いんだぁ?」

「フッフッフッ。 そう彼女こそが我らがトキワダイのエース。 タキネイリアナエンタレイアお姉様ですわ」

「おおぅ、なんだか凄そうだな。 で、トキワダイってのは?」

「それはぁ……」

「それは?」

「ひ・み・つ」

「秘密かぁ。 けっ、まぁいい。 ありがとうな、助かった」

「近くに居て良かったよ。 で、どう?」

「確認した集団は百くらいだな。 今のやつら除いて六十から八十ってとこか」

「りょ。 出元は?」

「わからん。 この先にでかい巣が出来てるか、新しいダンジョンか……」

「だよね。 ラブさん達はどする?」

「一度ファーレンに戻って報告だな。 これ以上の数は相手に出来んし、騎士団も手配してもらわないとな」

「りょ。 ボクも一筆書くよ。 あと、第二騎士団長ミネルバ宛の手紙を預かってくれる? ギルド経由でも良いよ」

「早い方がいいだろう? 直接持っていこう。 嬢ちゃん達はどうすんだ?」

「その集団は殲滅する。 出元に走ってみて後は成り行きかなぁ」

「はっ。 心配ないだろうけど、無理はするなよ」

「合点承知!」


 ラブ&ベリーが足早に去った後、騎獣はアイテムボックスに入れるけど、ゴブリンの死体どうしようかなぁ? いつもは燃やすけど煙と匂いは出したくないしアイテムボックスには入れたくない。土に埋めると嫌な事になる予感しかしない。

 放置って選択肢は基本的にはない。獣でも魔物でも死体を食べて体内魔力が増えると強くなるから。これだけ死体があれば上位種になる個体も出てくるかもしれない。

 タキナも考えてくれたけど、良いアイディアは無かったので凍らせてフローズンゴブリン・オブ・ザ・デッドをアイテムボックスに収納する。

 食べる人もいるかもだけど、ボクは要らない。市場でもオーク肉、オーガ肉はあるけどゴブリン肉は見た事はない。


 さってと、少し前から新手の集団の気配は感じてる。まだ百いるんじゃない? 

 タキナと二人なら全く問題はない。 まぁ、多少の討ち漏らしは仕方ないかな? 明日、明後日には騎士団なんかが派遣されるだろうし、上位種さえ残ってなければいいか。


「ちょっと数が多いけどいける?」

「問題ありません。 My Master」


 かわいい、鼻血でそう。

 まだ気の昂ぶりが治まってないのか、目線と唇から妖しい色気を感じる。本物の美少女はエグいね。

 才色兼備。才色剣美……、銀色……、紫色……、剣帝……、剣姫……。ダメ、ハマらない。

 中空を見てるボクに優しく唇が重ねられる。

 イタズラっぽく微笑む視線は更に妖しさを醸し出す。


「推して参ります」

「はい…………」

 

 ダメだ。ボクは完全にやられてる。

 今更か。


「タキナ」

「はい」

「タキナに、剣帝『銀麗剣姫』の名を与える」

「はいっ。 謹んで拝命いたします」


 彼女がかしづいて頭を下げ、あの時の刀を両手に持ってボクに捧げる。

 刀を受け取って刀身を彼女の肩につけて戻すと刀を受け取った彼女はボクの前から消える。ほんとに消える。一瞬とはいえユフィーリアの認識能力から。

 ふふふ。このセカイの格ならタキナの方が上だもんね。


 剣帝の称号は剣帝によって授けられる。勇者と同じでセカイ共通ではないから、正式にはルシルルシアの剣帝ユフィ、剣帝タキナとなる。

 タキナには今回の件で二つ名が付くと思うから、先に決めておいた。なにやら失礼なボクの二つ名は変えてもらわないといけない。

 さっ、追いかけよっと。心配はしてないから追いつく必要は無いけどフォローの用意はしとかないとね。


 ん。ちょこちょこ強いのもいるけど全く問題なし。中央突破だと散って逃げられる心配があるから、右翼から左翼に、そして中央後方を殲滅だね。

 中央後方は上位種ハイゴブリンとジェネラルにオーガとハイオーガ。

 ハイオーガってハイドロポンプとか根源の波動とか使ってきそう。ボクは使えるけどねっ! ふふんっ。

 ちょっと成長してる個体は魔法は使えると思ってないといけないし、もしかしたらギフトやユニークスキルなんてのもあるかもしれない。

 雑魚を殲滅中のタキナに向かって同士討ちも気にせずに魔法が殺到するけど、防壁を張る必要すらなく華麗に避けて敵を屠る。

 それを木の上から見守るボク。うん、実に闇の実力者っぽい。

 だってフォローの必要無いし。新手も討ち漏らしもない。

 上位種も大丈夫。ハイオーガの防壁はちょい硬かったみたいだけど正確無比な連撃で心臓を穿つ。

 しゅたっ。

 地面に降りると瞬時に距離を詰めてくる彼女に抱きしめられてまた唇が重ねられる。


「おつかれ、タキナ」

「はいっ」


 タキナってハイになると抑えられないタイプなのかな? 当然、嫌ではない。


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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