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ダメですよ

 一緒に走れる人がいてくれるっていいね。寂しくないし頑張れる。

 通りすがりに強そうな害獣はタキナにお願いして駆除しながらレクチャーしていく。

 彼女の強さはまったく問題ないし、町から近い所はだいたい間引きされてる。

 そのへんに湧く獣は力任せな奴が多いから大丈夫だけど、毒や特殊スキルなんてのもあるから油断してはいけない。知ってるだけの事は教えていく。


 んー。んー。んっんー?


「タキナぁ、気配感じてる?」

「はい。 複数体……二十以上五十はいない程度でしょうか?」

「魔力感知は?」

「魔力感知ですか……?」

「そっ。 こう、魔力を薄く拡げて、周りの空間を包み込むんでいく様に」

「こうですか?」


 タキナの体から魔力が糸状に拡がっていくのがわかる。でも糸状だと距離が離れると密度が薄くなるよねぇ。


「もっと空気と言うか風みたいなイメージは出来ない?」 

「空気……、風……」


 空気をイメージすると霧状の形、風をイメージすると糸がふわふわ漂う形。

 糸が触った物の形や魔力は感じれるけど霧状の魔力が触った物は何も伝わってはこないらしい。

 気配を感じて、気配の方に魔力の網を伸ばすって感じがいいのかな?

 まぁ、いいや。

 

「数は三十三。 種類が単一でも、複合でも二十程度以上の群れはおかしいから群れを率いる上位種がいると思う。 群れは可能なら殲滅。 優先は上位種の駆除。 相手に出来ない時は逃げてギルドに報告だよ」

「わかりました」

 

 上位種までいる群れだとしてもボクとタキナを相手取れるほどじゃない。

 森の中を気付かれる事なく視認できる距離まで接近する。

 ゴブリンか……。村や巣穴じゃなくて移動中、率いてるのは上位種じゃなくてオーガだね。


「人型の魔物は初めてだよね?」

「はい」

「どうやって戦う?」

「平地なら魔法での殲滅でしょうか? 森の中なので炎系や雷系は使わないとして氷系風系での殲滅や土系、水系の足止めからの斬り込みですね」

「そうだね。 遠距離で殲滅できるならそれが一番かな。 ゴブリンはバカじゃないから、人間がしてくる事は出来ると思って。 毒や罠、人質や待伏せ、搦め手も注意がいるからね」

「わかりました」


 そう。ゴブリンはバカじゃない。向こうだって命懸けなのだ。倫理観が違うから人間以上にたちが悪い。


「今日はボクもいるし、タキナの動きが見たいから、土壁で逃げられない様にしたら身体強化無しで斬り込んでくれる?」

「出来るでしょうか?」

「大丈夫。 ボクが護るよ」

「はいっ。 お任せいたします」


 集団全てを土壁で囲んで、足場になりそうな木は風の刃で切り刻んで吹き飛ばす。オーガだけ更に別に囲った後、集団側にタキナが舞い降りる。

 いきなり土壁に囲まれて狼狽えていたゴブリン達も彼女が一人で降りてきたのを見て、下卑た獰猛な顔つきに変わる。

 背筋がざわついて黒い物が湧いてくる。彼女があんな視線で見られる事に耐えられない。

 お前等、全員八つ裂きにしてやる。無意識に体が動きかける。

 リィィィィン、リィィィィン。

 澄んだ音色が心に届いて我に返る。

 音は彼女の取り出した長刀の鍔飾りからだ。

『ダメですよ、ユフィ』一瞬絡んだ視線にそう言われた気がする。

 刀? 刀だけど日本刀じゃない。鍔じゃなくて一体型のガードに円環の飾り。 あの形……もしかして朱雀刀? なのかな?

 懐かしい。中古本漁りしてる時にすごく気に入った作品の武器に似てる。

 何冊か読んで、続きを待ってたんだけど発売される事は無かった。

 キレイな絵で魅力的なキャラクター達と心躍る物語。あの先生の作品は、なにせ顔が良い。そしてちょっとえっちぃ。

 もう読めない作品達がいっぱいだなぁ。


 その刀はしまっちゃうんだね? 確か斬れないんだっけ?

 彼女の手には愛剣のレイピアが握られてる。あれもボスドロップ品。

 持ち味が良くて切れ味や耐久力もそうだけど、透き通る様な刀身の模様が芸術的で美しくて彼女にピッタリなんだよ。

 そして彼女の動きはその刀身よりも美しくて見惚れてしまう。

 身体強化無しでもゴブリン程度では相手にならない。攻撃を避け際に丁寧に一突きで片付けていく。


 半数になって慌てふためくゴブリン達は撒菱を撒いたり、油を撒いて火をつけたりするけど問題はなく処理も丁寧。火は斬撃で吹き消して、撒菱は切り刻んで炎魔法で消滅させる。どうせ麻痺か致死の毒が塗ってあるから放置する訳にはいかないのだ。

 大半を失って、今度は命乞いを始めるけど、タキナの心は揺らがない。彼女達、戦闘メイドの本質は無でなくてはならない。自分達の感情で主人を危険に晒す訳にはいかないから、ボク以上に冷酷にもなれるんだろう。

 ゴブリンが片付いて、解き放たれたオーガは全滅した群れを見て怒り狂う。

 低級冒険者では太刀打ち出来ない力と速さだけど見るものはなく、あっさりと心臓を一突きで終わりを迎える。


 討ち漏らしはない、ボクの知覚範囲内に他の反応もないっと。

 発光魔法を上げてみるけど反応はない。近くに騎士隊や冒険者パーティーがいれば応えてくれるはずなのだ。

作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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