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姉様主催のお茶会は……

 講義の時間中なので人気の無い学院の廊下を図書室へと歩くのだけど。


「ユフィーーー」


 後から走ってきた姉様に思いっきり抱きつかれる。


「何も言わずに僕の前から居なくなるなんて、何考えてるのさぁぁぁぁ。 うあぁぁぁぁぁぁぁん……」

「ごめん。 姉様」


 しばらくしても泣き止まない姉様を抱きかかえて兄様の部屋に入る。

 図書室で司書をして女生徒と談笑中のシーズには目で挨拶だけしたら、何も言わずに手で返してくれる。


 まったくボクの体から抱きついて離れない姉様とベッドに座って、タキナには隣を手でポンポンする。

 少し泣いた後、姉様は突然嬉しそうにじゃれついてきて、タキナがいるから抵抗はあるけど、今日は姉様の唇も何も言わずに受け入れる。

 タキナは姉様のする事に何も言わないけど、姉様とそーゆーことする気は無いんだよねぇ。

 


「姉様、講義の時間ではないのですか?」

「ユフィが来たら直ぐにわかるよー」


 ニュータイプかっ?! 姉様にそんな能力は無いはず。

 

「じょーだん。 お兄様が教えてくれたのよっ」


 …………。


「姉様、そろそろみんなの所にも行きたいのですが?」

「タキナごめーん。 シーズ呼んでー」

「はい。 お姉様」


 シーズには食堂でのお茶の段取りと初等部へのお誘いが命じられて、タキナも一緒に出ていこうとするのだけど。


「タキナーは、どこにいくのかなぁー?」

「シーズ様のお手伝いを、と」

「だぁめっ。 あなたも大切な妹なんだから、ここにいなさいっ。 ユフィがいないと来てくれないんだからっ」

「えーっと……」

「おいで……。 ユフィもタキナも逃さないんだからっ」

「はい。 お姉様」


 姉様に抱きしめられるタキナはいつも恥ずかしそうで、でも嬉しそうなんだけど、唇を合わせているのはモヤモヤするから姉様の顔を引き戻してタキナを抱き寄せる。姉様におねだりしている訳ではない。


「やっぱりタキナはズルいなぁ。ユフィの一番を譲ってくれない」

「もうし……」「ズルくないですぅ。 そもそも姉様に対する気持ちとは違いますからぁ」

「おやおや。 じゃあ、どんな気持ちか教えてもらおうかなぁ?」


 姉様が唇を重ねながらボクを押し倒して足を絡めてくる。


「んっ、んーー」「ティファニア様っ」


 タキナが朱い顔で精一杯の抗議を送っている。これには姉様も驚いたみたいで目が大きくなる。


「も、申し訳ございません……」

「いいんだよ。 そんな気は初めからないし。 ふふ、やっぱりズルい」 


 

 講義の終わった初等部は食堂にてティファニア様主催のお茶会となるので、会場の入口に姉様、タキナと並んで立ってみんなを迎える。

 アレクシアや物言いたげなエレノアですら少ない挨拶で入って行くのだけど、他の生徒を押しのけて走ってきたアイシャがボクの前に立ってもじもじしていて、何か言いたげな彼女の手をとって抱き寄せる。


「ただいまアイシャ」

「…………おかえり」


 一歩下がって抱きついたまま離れない彼女の頭を撫で続ける。


 中等部や高等部の生徒が参加を希望するけど、姉様自らが丁寧に断りをいれてくれて、機嫌良く返っていく。

 途中、お茶会希望とは関係なくフェルミナの仲良し三人組が通ったので、呼び止めて彼女と国の無事を伝える。

 フェルミナの所に行きたいと希望するのだけど、移動手段が確保できないし、三人は学業を優先してもらわないといけない。

 夏季休暇なんてのがあるなら全然良いんだけど、フェルミナが戻ってくる方が早いと思う。


 どうしてこうなる?

 席につくのだけど、姉様が真ん中に立って、アレクシア、ボク、追加されたアイシャ、タキナ、エレノア、エリナリーゼ様がぐるりと周りを囲む。

 ボクにひっつくアレクシアとアイシャ、静かにニコニコしているタキナ、ずっと睨んでぶつぶつ口を動かしてるエレノア、普通に振る舞いながらも口元がヒクつくエリナリーゼ様。そしてとっかえひっかえにみんなを愛でる姉様。

 ボクの挨拶のお茶会のはずが姉様の楽園にされてしまった。

 ボクとアイシャは姉様の愛人認定済、タキナは人気急上昇中のアイドルなのでエレノア以外は誰も文句は言わない。

 ボクはお茶とお菓子も頂きながらゆっくり話たいのだけど。 

 そもそも最初は普通の配置だったのに、ボクとアレクシアに挟まれたい姉様に、ボクの隣に座りたいアレクシアが席替えを要求したのが始まりで解決策を探した結果がこの有り様なのだ。


 アイシャも姉様の順番が来ると離れてくれて手が空くと思ったらアレクシアが猛烈アタックしてくる。

 そして姉様が次に行ったら両側から圧縮されるのだ。

 まぁ、今日くらいは仕方ないかな。

 姉様の順番の時以外のエレノアが不満そうな事以外はみんな幸せそうなので嬉しいね。


 姉様の気がそれてる間にみんなに挨拶に行こうとするのだけど、アイシャはかじりついて離れないのでそのままでテーブルを廻る事になる。

 ここ数日間の様子を聞いて、ボクがいなくても問題無い事にほっとする気持ちと淋しい気持ちが湧くけど、何人かが講義と手合わせを要望してくれたのが嬉しい。

 パウラ教官は大人気な様子で、話だけで茹だってしまう子もいるのだけど、まったく何をしてるのやら。


 クロエが男女関係なく集られている。とても儚げな美少女だから仕方ないけど、いつもはアレクシアグループなので近寄り難いんだろうね。でもクロエは硬いから、軟派な態度をしてると、直ぐにそっぽを向かれる事になる。


 挨拶も終わってお茶会の後は着替えの為に姉様の部屋に。

 アイシャもここまではいいけのど、今日は連れていけないから、姉様に説得を任せる。


「アイシャまたね」

「一緒に行く」

「ダメ。 アイシャはいつかボクに追い付くとは言ったけど、まだまだ力が足りないから連れては行けない」

「寂しい」

「ごめんね」


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします

至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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