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失礼なっ

 通行料を払って町に入るけど、変わった処はなくて途中に軍人達と遭遇する事もなかった。

 ギルドの重い扉を開けた先は先日と同樣に人は疎らだけど、カーニャの姿は無い。


「こんにちは。 本日はどうされましたか?」


 話しかけてくれたのは、小柄でブラウンの髪をお下げにしたかわいい受付さん。まだ新人に見えるけど、侮ってはいけない。見た目に騙されると、簡単に命を落とすセカイなのだから。


「こんにちは。 ファーレンの冒険者のユフィです。 カーニャに会いに来たんだけど居るかな?」

「ファーレンから……、マスターのお知り合いですか? ギルドカードをお願いします。 ……。 マスターは執務室に籠もってますから、聞いてきますので少しお待ち下さい」

「うん。 ありがとう」


 確認後に執務室に通されて受付さんは下がっていく。

 机に座るカーニャは髪はボサボサで前髪はチョン括りにして、目にはクマが……。

 扉が閉まると駆け寄ってきて、ボクをキツく抱きしめてくれる。

 お風呂も行ってないのだろう彼女の匂いに少し酔いがまわる。


「ユフィーーー。 無事で良かったぁ」

「カーニャ……」 

「心配したんだ……んっ……ああっ」


 腰を抱いて顔を引き上げ、深く唇を絡めながらゆっくりソファーに押し倒す。


「こらっ、ユフィ……。 やめ……んっ……んん」


 聴かない、聞こえない。

 朱に染まり唇を濡らして目を逸らす彼女はとても魅力的で……。


「ん……はぁ……はぁ」

「カーニャ……キレイ」

「エロ娘……」


 …………。


「お風呂入ろうよ」

「宿舎にあるからいっておいで。 あたしは忙しい。 話が聞きたいから、終わったらまた来て」

「やだ。 ここで一緒に入る。 ほらほら」

「だから、あたしは忙しいのっ」

「入らないと匂うよ」

「慣れてるからいーの」

「襲われちゃうよ」

「お前だけだよっ! 準備すんなっ!」


 話ながらまたカーニャの下着を脱がしていく。彼女だって冒険者、ほんとに嫌ならボクを振りほどくのは難しくない。


「良い石鹸を持ってるな。 良い気持ち」

「なら、もっと気持ち良くしてあ・げ・るっ」

「いや……、あたしは忙しいんだよ……」

「だめぇ。 今日は逃さないんだからっ」

「はぁ……。 先に話をさせてくれ。 こないだは話すなって言ったけど、今日は勝手に選別するから話せる事は話して良いから」

「ほいさっ」


 内容はボクがシャルマンで何をしたか、何があったか。 そしてジャローダと何があったか。

 

 特別にジャローダの情報を少しくれて、ボクが半壊させた分と今朝方のビビレヨワとの戦闘で第三帝国の戦力は半分程度を失っているから、シャルマンへ再侵攻するにしてもしばらく時間がかかるだろうとの事。

 ビビレヨワの名前を彼女は知っていた。エミルルシリアはエミルとルシリア二人の女神が治める南方の大国。その国の伝説の剣士で古い記録に載っていただけで、生きてる事は知らな無かったらしい。

 先日にボクが話したフェルミナとの事は公に発表はされてないものの正式な婚約として周知されつつあるとの事。


「助かったよ。 報告書を書こうにも情報が足りなくてなぁ」

「ボクにも責任あるしねー。 ねー、王政と元老院制ってどっちが良いと思う?」

「それは難しいなぁー。 ギルドは議会制だけど、議員には私腹を肥やしてる奴もいるし。 時折、偏った要求があるのも事実だな。 一番平和な国はまともな神様が自分で治めてる国だけどなぁー。 神器があるから、攻められねーし、神罰が怖くて悪い事も出来ないんだけど、ほとんどの神様は気まぐれだし、だんだんとまともな神様が減ってきてるのは事実だよな」

「フィーネ聖王国は?」

「平和なのは平和なんだけど、若い娘を要求されるから選ばれた家族は不幸だわな」

「ごめん。 入浴中にする話じゃないね」

「ユフィは良くやってる。 責任を感じる事じゃないよ」


 なぜか濡れていた瞳に彼女は口を付けてそのまま唇を重ねてくれる。優しさに自分の弱さを意識して、強く温もりを求める。



「…………良い匂いだな」

「おはよ、カーニャ。 朝ご飯にしよーよ」

「もう朝かよ。 ありがとうな、ゆっくり休めたよ」

「ボクもたっぷり充電させてもらったからねぇ。 ありがと」

「充電ってなんだよ」


 唇を重ねてから抱き起こして、服を着せながらずっと絡め続ける。

 今日は髪を編み込んでアップにしよーねー。キレイな顔がもったいないからねー。

 変な顔でされるがままになってるけど、度々さみしそうなお口のお相手をしてあげる。


「ユフィ……。 いっつもこんなにしてんのか?」

「ふふふ、どーかなぁー」

「そりゃ、バカに育つ訳だ……」

「失礼なっ」

「言いながら手をのばしてくんじゃねぇ」


 冗談だよ、冗談。神ジョーク。ヨホホホホホホ。


 二人で下に降りて行くと、受付嬢達の好機な視線が刺さる。おめかし気味のカーニャの受けも良い。


「おはようございます、カーニャさん。 昨日はお楽しみだったんですかぁ?」

(くぅ~、これだよこれ)

「お前達も変な事ばっかり考えてるとバカになるぞー」


 囲ってくる受付嬢は散らされて、買い取りカウンターでこれから不足しそうな素材を出していく。

無料で良いと言ったら怒られた。

 月に何回か顔を出せないか? と、聞かれたけど約束はできない。走っても半日はかかるしね。まぁ、タキナと観光がてらに来るのは良いかもしれない。

 各地に募集を出すけど、このギルドには冒険者が足りないから、しばらくはカーニャとギルド付きの冒険者で対応する事になる。

 軍による悪獣討伐がなくなれば、町の危機になる事も考えられるからね。


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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