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不幸だわ……

 タイプⅢや一般兵士の対応をしてると、またタイプⅡの防壁に砲弾を弾かれる。

 今度の相手も紋章付き。貴族なのか、選ばれたら紋章を掲げる事を許されるのか?

 立ち姿は良い。防壁を抜ける攻撃を集中して浴びせるけど、しっかりベイルを使って弾いてくる。

 十分に接近からのビームカノンっ。ベイルでガッチリガードされて、改めて敵と認識されたようで雰囲気が変わる。

 でも、こちらもさっきと同様に周りに足止めと目眩ましをしてからタイプⅢの回収に入る。時間は限られてる。不確実な楽しみより数を減らして実利をとる作戦は変えられないのだ。

 ってか、ジャローダ軍ってどんなけいるんだ? 今相手にしてるタイプⅢだけでもシャルマンの全軍より多くないか? シャレードを大量ゲットする前のボクなら、魔力欠乏で負けるぞ。


 ありゃ? 気が付くとタイプⅡ四体に囲まれている。 同じ事を繰り返すけど、向こうだってプログラムを繰り返すロボットじゃなくて、自分で考えて動く同じ人間……。


 シャレードカスタムなら相手取れる? 中距離支援型のカスタムに対して、相手は近距離戦士型。ビームカノンはベイルで抜けないとして、スピードも鴉よりも速いだろうし、あの斧はカスタムの装甲を抜けると考えたら相性が悪い。

 問答は無いらしい。三体に動きはなくて、さっきの弁慶のマネマネさんの斬撃が走る。

 速いし、重い。受ける、弾くは出来ないし、流せるのはほんの僅か。防壁や斬撃を真横からぶつけて、少し軌道が変わる程度でオルトロスや鴉での斬撃は、防壁は抜けるけど、ベイルと斧で処理される。

 強い。

 数分に渡る応酬、ボクの実力が判って決めに来たと思う強めの斬撃が増えてくる。

 斬撃の打ち終わり、隙とも言えない様な間にオルトロスと鴉の同時連撃を打ち込むっ。


「取ったっ」


 ズバシャァァァァァ。

 連撃を放つ瞬間に後からの斬撃の対処に意識を持っていかれる(チッ)。

 そりゃそーだよねっ。タイマンのつもりのボクがバカだったよ。様子見は終了って事か……。それなら、ボクだって合わせてやる必要もない。

 全砲門展開。


「このボクの主砲は伊達ではない。 いくぞっ!」

 

 この距離で、ボクのハリネズミから逃げる手段はないっ(あるけど)。大人しく蜂の巣になってもらおうかっ。

 んっ?

 キィィィィィィィン。

 違和感を感じた瞬間に鳴り響く高音。

 どこから? タイプⅡの肩が盛り上がってる。 今?

 くそっ……、間抜けにも程がある。副腕じゃないっ、可動式ベイル。

 この音は……? 追加防壁かよっ。

 見た目に騙された。タイプⅡは斧とベイルを捨てて曲刀二刀持ちで構えてる。同時に四体から繰り出される斬撃に、短距離転移でズレて躱して風の動きに繋げる。


「如嵐剣舞……千手」


 前面は抜けない。後背からなら……こっちも無理かっ。ビームカノンっ……も、良い線だけど抜けない。

 無理……、勝てない。

 ミサイル斉射、アースクエイク、アーススワンプ……リリース。

 一度見せてるから読まれてて、一体がくい付いてくる。完全に捉えられて、逃げられないっ。



「不幸だわ……」


 そうだね……。タイミング悪くてごめん。

 でも、君となら負けない。

 迫る斬撃を防壁と腕の装甲で払い退けて、空いた懐をオルトロスのパイルバンカーで穿つ。

 轟音と共に砕け散るタイプⅡ。

 勝ちを急いだね……。

 完全に姿を現す漆黒の重装機体。


「不幸? わたしが? 違いますからっ。 シャレードカスタム重装型、山城。 出撃しますっ」


 タイプⅡは機体は良い、パワーも速さもある。でも見た目が似てても、目の前にいるのは四大MHじゃない。僅かだけど、音が小さくなってきてるから、あの防壁は時間制限があるんだ。そして斧の斬撃は自信ないけど剣撃なら山城の装甲で止められる。


 タイプⅡの判断は早い。防壁の残り時間も気にしてだろうね。すぐに退却を始めて、残存の兵達も共に下っていく。


 ありがと。全然、不幸じゃないよっ。君と戦えて嬉しい。嬉しい。嬉しい。

 

 敵さんが去った荒地を戦利品を回収して廻る。沢山のタイプⅢにタイプⅡと斧とベイルの予備まであるのはありがたい。

 ジャローダ軍も自国まで引いていく様子なので、短時間での再進行は無いと思いたいね。


 ジャローダ軍の退路とは別方向に川へ向かって水をアイテムボックスに収納していく。

 やってみたら川を寸断もできるけど、なんだこれ? どれくらいなら減らしても影響ないんだろ? 収納止めたらすぐに水位戻るから大丈夫だよね?

 時間あったらカーニャの所も行きたかったんだけどなぁー。今から行って朝に戻ろうとしたらたどり着けない気がする。


 疲れたなぁ……。淋しい。

 異世界転生だからといって、都合よく誰かが現れたり、新しい出会いがやって来たりはしないわけで。

 なら、好き勝手暴れるかぁ、なんて精神崩壊キャラにはなりたくない訳で。

 一人は嫌。誰か傍にいて欲しい。抱きしめて欲しい。口づけが欲しい。


 結局、夜明け前まで悶々とした時間を過ごす事になる。

 この体に睡眠は必要ないし、眠くもならない。でもタキナやフェルミナ、兄様達やフリルとなら自然と眠りに落ちる事ができる。それがどれだけ大切な事なのか、今更ながらに再認識させられる。

作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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