お願い……、お願いします
「いっつーーーー」
痛い痛い痛いばかばかばかばか。痛覚遮断無しの痛みに言葉も出ない。
何やってんだよー。
痛い。熱い。自分のお腹からズルリと中身が落ちるのを感じる。
ほんとになかなか死なないな……。
体から繋がった物を切り落として、アイテムボックスから直接喉に水を流し込む。
ヒール……。ヒール……。効かない。
あぁ、これ、もう無理。もう無理、もう無理。
ヒール……。ヒール……。ヒール。ヒール。ヒール。
お願い……、お願い……。お願いします。
だめ……、限界……。意識が切れる……。
お願い……。
半分以上意識がなくなって、その場にドサリと倒れ込んだ。
「憎しみ……巫女姫……ユフィ……リア・ファーレン……ハイト……名に……於いて……われ……いやせ……エクス…………ヒール…………リリース」
意識は切れた。でもボクの体を柔らかい魔力が包み込むのを感じる。
間に合った。
くっふっふっふっふっ。
血に染まった服と自分から出たとは認めたくない気持ち悪い塊。……絶対に許さん。
お待たせ……、行こうか。
包囲はされたままだけど、シャレードは残り八体。
まだ砂煙は収まってなくて、薄くはなってるけどオルトロスの姿が見えないから余計に警戒してるのかもしれない。
ミサイルとか撃ち込まれなくて良かった。さすがに助かる自信はない。
もう一丁派手にミサイルをばら撒いて、再度爆煙と砂煙で視界を奪う。
彼らは出会った事あるのかな? 戦った事はあるのかな? 止められるなら、止めてみろ。
煙の中から気配だけで、とりあえず持たせてみたブーメランを投げてみる。
おお、当たった。でも、当たったら返ってこないぞ。
使えん。なんで陛下はこんなしょーもない物ばっかり作るかなぁ。 ロマンですか? そうですか。
漆黒のカラーリングで、装甲を薄くした細身の体に反りの良い曲刀を両の腰に携える。
チューニングはもちろん力とスピード。
こちらは、かの名工スターク公の物ですじゃ……。おっと失言。
ブォン。
「ジャローダ三式改、鴉。 参る」
ブーメランが当たったシャレードに気が向いてる奴に一気に肉薄して抜刀と同時に切り捨てる。
体が軽い。思ってる様に動く。
シャレードの斬撃を刀で流して防壁ごと一刀で切り裂く。
シールドバッシュ? ヒールを立てて押し返す。パワーとスピードが足りんよ。弾き返されてどうするのさっ。
ほう、残りは同時にきますか。シールド構えて詰めて来るのは良いけどさぁ、パワーで負けてたら押し込めないよねぇ。囲めなかったら各個撃破するだけじゃん。
ほらぁ。後ろ取るなら、もっと踏み込めよっ。中途半端は萌えないぜぇ。
最後の奴……逃げんな。
あぁ? 機乗解除して降参……。
仲間の死を無意味にしてんじゃねーよ。クソがっ。
シャレードを片付けたけど、カスタムがいない。
シャルマンペイに引いていくみたいだけど、追いつけないね。
そーですか、そーですか。
「鴉。 お疲れ様。 少し休憩だね」




