ゲームより…………
アシェの所に戻って打ち合わせをした後はアンを担いでマスチペへと走る。
最初、彼女は眠らされるのを断固拒否したのだが、数秒で思い知る事になる。
下の方が残念な事になっちゃったのは、そっと洗浄して乾かしておく。ソフトウォッシュは便利だなぁー。
今回は遭遇戦はなくまっすぐ戻る事が出来たし、町に変わりもなかった。日暮れまでには戻れなかったけど仕方ない。
給仕係の女性達に彼女を任せて執務室に上がるのだけど、部屋はハーレム状態になっていてイラッとする。
ちなみに女性達はエチュードと行為したのは事実なので彼と一緒になる事が希望らしい。まぁ、操者で責任者のお給金なら全然大丈夫でしょ。良かったね。
エチュードに報告の後は部屋を用意してもらってアンと夕食。
ヤマダが一緒に来ようとするけどお断り。後ろの二人の視線が痛いしね。
獣人のエミュとはぜひとも仲良くなりたいのだけど、無理だろなぁ。
もう起きてたアンと一緒に部屋に入ったらマスクと外套をとる。
「嘘でしょ? ユフィーリア・ファーレンハイト? 信じられない」
「今は、冒険者で学生のユフィだよ。 まだ素性は一部の人しか知らないけどね」
「ラスボスに転生かぁ。 強い訳だ。 チートだね」
「アンのチートはベンケイだけ?」
「魔剣士としてもそれなりだと思うよ。 記憶が戻るまではただの町娘だったけど」
「町娘の生活はどうだったの?」
「あーー、裕福じゃなかったけど幸せだったよ。 でも、日本での記憶があったら耐えられなかっただろうなぁ。 食べ物は美味しくないし、お風呂入らないし。 兵士になってからは良い生活出来てたから、元日本人としては良かったのかもね。 たくさん人を殺す事にはなったけどさ……」
「それは、ボクも同じだよ。 ゲームのセカイも現実は厳しいね」
夕食の後はお風呂に入って……。
「ユフィ……。 ゲームより胸が……」「うるさい」
ベッドの中では日本の事、ドキLOVEや炎翼の事、九郎やベンケイの物語の事で盛り上がる。
「九郎の持ち主、今ここにいるよ」
「うそっ? キリ君?」
「だったら嬉しかったけどブー。 しかもヤマダ」
「ヤマダでも良いじゃない。 L99のヤマダとかカッコ良いよ」
「そりゃそーだぁ。 アンはサイリさんによく似てるよね」
「でしょー。 嬉しいんだけど私はアリスの方が好みなんだよねー」
「かわいいよね」
「ねぇ、終わったら私もファーレンに行きたい」
「うん。 上に伺ってみようねぇ」
「上? 転生者?」
「うん」
「誰?」
「まだヒミツ」
「えー、いいじゃん。 教えてよー」
「ダメー。 兄様に手を出すのもダメー」
「ラインハルトかぁー。 上がるなぁー」
「話ができたらね」
「やっぱりそーなんだ」
就寝前に明日の打ち合わせ。
優秀な戦力はシャルマンペイとマンパエルに集められてるから、シャレードの騎士は強いし、シャレードカスタムも間違いなく出てくる。
アンはカスタムの操者三人は知ってるけど、カスタム自体は見た事が無いそうだ。
そして、少なくない確率でシャルマン王「シャトル・デ・シャルマン」がいる。
アン達の敗北が知られてない前提で作戦は、
①こっそり行って、こっそり帰る
②殲滅
③臨機応変
ベンケイを借りたかったけど、(たぶん九郎も)ユニークで操者の心臓が核なんだって。パスは繋がってるから使えるけど、譲り受ける事は出来なさそう。
ベンケイは逃げる時用に装甲を減らして動力に振り分けるチューニングにする。
レーザーはエネルギー満タンでも2回しか打てなくて、クールタイムも半日くらいかも? らしい。
夜中に音と振動を察知したので、unknownになって城壁へ。
あー、城壁盛ってから寝たら良かった。
城壁にいた軍属の見張りがいきなりのunknownに慌てふためく。見張りはほぼ民間人だからね。
「大丈夫、味方。 それより、司令部に発光魔法、緑」
夜明けまでいくらかある時間に黒塗りのシャレード10体が到着する。
やるねえ。合計20以上は送ってきてるかな?
ほどなく城壁から離れて整列した中から一体が進み出てくる。エチュードはまだなのでボクが下に降りると、シャレードの操者が姿を現す。
「カモミーーーー」
抱きつくのだけど、すごく嫌そうな顔をされる。
「うえっ。 どちら様でしょうか?」
「ひどいね。 過去の女は忘れるんだね」
「え、ええっ? ユフィ様?」
ああ、unknownだった。フードとマスクを外して再会を喜ぶ。
「また会えて嬉しいよ。 ネスタフェじゃ会えなかったからね」
「前回は不甲斐なくて申し訳ありませんでした。 ユフィ様の活躍は耳にしております。 また配属させてもらう事ができて嬉しく思います」
「いーよいーよぉ。 急いで来てくれたんだねぇ。 ボクはもう行くけど、絶対に無理はしないでね」
「はいっ。 ご武運を」
よしよし、日の出くらいに着けるなぁ。




