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良い腕だ……

 ジャローダの規模は五十程度って事だけど、大事なのは魔装機の質と数だよねぇ。

 一応、敵対なのは間違いないとしても、カモミーとエファが無事だったから、エチュードさえ戻ればマスチペなんてどうでもいい。

 

 あら、エファが寝てたポイントには、既にタイプⅢが二体もいるのね。

 タイプⅢもがっしりして美しさは足りないけどカッコいい。ジャローダは重装型なのかな? 頂けるのなら、少しは遊んで差し上げてもよろしいのですけれども?

 ボクを発見して警戒体制をとる手前で一旦停止する。


「お前達、何をしている? マスチペは一時的にジュノーが預かると書状も送ってあるはずなのだけど?」


 タイプⅢ二体と兵士が三人。服装はみんな一緒でカシュみたいな黒の騎士服はいない。


「お前はジュノーの人間か? ここはジャローダ第六軍団が占拠した。 即刻立ち去れ」

「ジュノーの兵士が一人残っていたはず。 返していただきたい」 

「私はその質問には答えられない。 一緒に来るか、ここで待て」

「わかりました、そちらの指示に従い同行させていただきます」


 生身の兵士はタイプⅢの手に乗って移動するけど、ボクを乗せてくれるつもりは無いらしく、移動を始める彼らの後ろを走ってついていく。

 町自体に変わりはないけど、人の気配が北門に集まっていくね。五人と合流して、門の前に十人、城壁の上に十人。

 さてさて

 

「止まれ」


「ここまで一人で来たのなら、操者なんだろう? 大人しくこちらに下れ。 今なら自由と地位を保障してやる、どうだ?」

「まず答えて。 ジュノーの責任者は?」

「どうだろうな。 もう死んでるかもな」

「真面目に答えて」

「牢屋でお楽しみの最中だろうよ。 生きていたらな」

「会わせて。 話はそれから」

「拒否する。 お前の要望を聞く必要はない」

「解放してくれたら、ボクが回収したシャレードを差し出しても良い」

「気前がいいじゃないか? でも殺して奪う方が早いよな。 ほら、どうする?」

「興味無いですね」

「なら死ぬんだな」


 男が手をあげると共に、男以外は全員がタイプⅢを喚び出し展開して、前から上からボクに狙いを定める。

 良い場所だよねぇ。

 手が降ろされるのだけれど、そこにボクはいない。一気に脇をすり抜けて壁に手をつける。


「揺らべゆらゆらと揺らべ。大地の神よ、その力もって全てを砕け。 アースクエイク、フォーミダブルストーム……リリース」


 強い地震で崩した城壁を強風でこちら側に倒す。

 みろ、魔装機がゴミのようだ……こほんっ。

 魔装機は飛べないから悪手だよねぇ。大質量の落下で叩き付けられたら防壁を展開してダメージを減らしても衝撃はそうはいかない。全員動きは無いけど死んではいないみたいだね。


「ショックウェーブ……リリース」


 瓦礫を衝撃波で粉砕して、杭でとどめを刺していく。トドメと回収は魔法で出来るものじゃないから自分でやるしかない。

 おや? ずっと話してた男の魔装機はタイプⅢじゃない。シモーネ……。検証は後だね、新手が迫ってきてる。


 壁の崩壊のお陰で近くの町の人達は避難してくれてるけど、壁の外に出て少しはなれてからオルネロスを出してフォールディングガンを展開して待つ。

 キュピーンっ。

 見えたっ、ファイエルっ!

 エア構えの銃の引き金を引いた先、射出された弾丸はタイプⅢの左半身を吹き飛ばす。

 次弾っ、命中。オルネロスチェンジ。

 フォールディングガンは左右肩に一基づつだから、オルネロス二番機に乗り換えて射撃体制をとる。

 乗り換えの間に先の残骸が移動されたみたいだけど、パスは繋がってるからどうにでもなる。

 次っ、弾丸が防壁とベイルの二段構えに弾かれた処をもう一基の射撃で射抜く。


 次っ、オルトロスいっくよー。

 オルネロスはもう一機用意してるけど、こっちに駆けてくるのがいるから、オルネロスを戻して走りながらシャムシール両手持ちのオルトロスで接敵する。

 タイプⅢのシールドバッシュを防壁バッシュで当てて……よし、打ち勝った。よろめきながらの勢いの無い横薙ぎの斬撃を左手のシャムシールで弾いてから右手で胸部を穿つ。

 シャムシールに刺さった機体を力任せに次の相手に向かって投げつける。

 当たって距離を詰めようと動く瞬間に周りがミサイルの爆風で包まれる。ダメージは無いけど視界が妨げられる。気配だけで後ろから真っ向に降り下ろされる斬撃を振り返らずに機体をローラー回転でずらして避けて、その回転のままで横薙ぎの二連撃で真っ二つにする。

 先のタイプⅢは既に迫ってきててシールドバッシュは避けれない、防壁を展開して受けて飛ばされるままに間合いの外まで……とは、許してはもらえない。

 あー、ミサイルランチャー付けときゃよかったなー、爆風でどうにかできたのに……。


「良い腕だ……」


 拳を握りしめ歯を食いしばって衝撃に備える。

 ドッ、バキャァァァァァ。

 爆音と共にオルトロスは激しく地面に打ち付けられて、防壁関係無しに衝撃でダメージが入る。

 バラバラになるぅー。ヒール……リリース。ヒール……リリース。ヒール………………。

 体制を立て直して見据えるタイプⅢは、上半身が完全に吹き飛んでいる。

 

「おーい、タイプⅢ、生きてるぅ?」

「Yes Master. 問題ありません」


 よかったぁ、パイルバンカーの杭が届かなかったら危なかったから、角度まで気にしてる余裕無かったんだよね。


 周りに敵さんの気配はないし、一旦終了。

 オルトロスを全回復して戻して、タイプⅢを回収して近くの建物で休憩をとる。

 魔力だいぶ使ったしなぁ……あれっ? 日暮れまでに終わる?

 仕方ない、牢屋の場所知ってるかもだし、エファのとこ戻るかぁ。


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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