エファ、起きて
6/3 15:30再投稿致しました。
普通の騎士が走れる程度のスピードでマスチペに走り出す。
ん? 気配感知に一人……野営中?
ちょーっと、お話聞きたいかなぁー。
近ずいても反応はない。 生きてるのは間違いないのだけど……、寝てるか死にかけ?
もしもーし。
テントまで来ても動きなし。ちょっと失礼しまーす。
あ、エファ……。
なんでこんなとこで、ぐっすり眠れるかな?
よだれを垂らしたおマヌケな寝顔を見てたら、嬉しさどころか心配してた事すらも馬鹿馬鹿しくなってきた。
「エファ、起きて」
「んっ、んーー」
「ほら、起きなさいっ」
「ダメですぅ。 そんなに食べれませんよぅ」
アニメかっ。 かわいさの無駄遣いだぞ。
ふぅ、朝食でも用意するかぁ。
「クンクン。 美味しそうな匂いと……良い匂いがする……」
「おはようエファ。 朝ご飯出来てるよ」
「キャーーーー。 誰っ?」
あぁ、お面着けたままだった。
誰? じゃなくて攻撃は?
「エファ攻撃っ」
「そうでしたっ」
シャレードのシャムシールが外からボクに向けて降り下ろされる。テントごと……。
テントと中の物を全部アイテムボックスに仕舞ってから、防壁で斬撃を地面へと受け流す。
エファは受け流された事に驚きつつも、次々と斬撃を放ってきて、狙いも乱れてない。
わりと冷静で焦りも感じられないのだけど……、ミサイルランチャー? この至近距離で?
防壁に当たったミサイルの爆風で互いが吹き飛ばされるのだけど、ちゃんと狙いがあったみたいだね。
エファのかわいい目は鋭い。間合いが開いたタイミングでシャレードを召喚してコクピットに収まると直ぐに攻撃に移るから、同装備で通常シャルマン色のシャレードを召喚して対応する。
良い動きだね。操者に選ばれるだけの実力があるし、ヒットアンドアウェイじゃなくて、ちゃんと勝ちにきてる。
エファの斬撃を受け、流し、時折入る防壁バッシュはスピードを合わせて下がって相殺する。
シャムシール二刀流だけど普段は片手剣かな? 左手は防御寄りで、それは良いけど左手の攻撃が欲しいタイミングで出てこない。
魔装機同士の戦闘は面白いけど、相手の表情が見れないのは残念だよね。
しばらくの打ち込みが終わり一旦間合いが開かれる。もうシャレードとしての手札は残ってない。間合いを開けたのも、勝てない事を理解したからだよね。
ミサイルが発射されて爆風により視界を遮って逃げに入るのを、召喚解除して回り込む。
「エファはにげた。しかしにげられなかった」
彼女も召喚解除して生身をさらす。
「ありません、私の負けです」
「頑張ったね。 良かったと思うよ」
「一時、貴方に服從致しますから、許しては頂けませんか?」
「それはなかなか受け入れてはもらえないんじゃない?」
「絶対に満足させて差し上げます」
「顔も良いし、満足できたら余計に離したくないよね?」
「でしたら、このまま自害します」
「そっか」
手袋を外して近づいて彼女の頬に触れる。小さく震えていて目には怯えの色を浮かべる彼女をそっと抱きかかえて走り出す。
マスチペからなんか出てきた。見える範囲で魔装機戦されて反応しない方が無理だよね。
距離をとってから彼女を降ろしてアイテムボックスに仕舞ったテントや朝ご飯を広げる。
「じゃ、ご飯にしよっか」
「ユフィ様……です?」
「違うよ」
「ユフィさまぁー」
違うと言ったのだけれど、美少女に抱きつかれるのは嫌ではない。
「ダメだよ、野営で熟睡したら」
「でも、魔装機が護ってくれますよね?」
「守ってくれるのは攻撃だけでしょ。 起きたら裸で手足縛られてたり、暴行で起こされたらどうするのさ? その後はなんとか出来るけど、ボクなら耐えられない」
「すいません。 でも、暴行は防げるのでは?」
「本気? 殴る蹴るだけが暴行じゃないよね」
「そ、そうですね……。 ユフィ様は、その様な経験が……?」
「どうだろうね……。 そんな場面はたくさん見てきたけどね」
「はい……」
「後、悪い奴は約束なんて守らない。 約束破られた時の相手の顔を愉しむ外道ばかり。 隙を覗う為なら良いけど、そうじゃないならするだけ無駄だから」
「はい、わかりました」
カモミーが去った後、ジャローダ兵と話をしに行ったカシュナッツは戻ってこないままでマスチペの占領の宣言があって、その時点でエファには退避命令が出され、エチュードは責任者として逃げずに残ったらしい。
「エファはここで待機。 何かあれば発光魔法で合図するから、赤なら即時撤退、ピンクなら町に入って。 日暮れまでに発光魔法の合図がなければ、そのまま撤退して報告。 いい?」
「はいっ。 お気をつけて」
「どうしても眠たい時はシャレードの中で眠る方がいいね。 わかった?」
「はい……」
この辺りの掃除は終わってるし、囲まれたりする前に起こしてもらえるでしよ。




