綺麗だね
許可をとって門までパレードをするのだがフェルミナも一緒に、と事が大きくなってしまう。
フェルミナはエンパイアスタイルの真っ白のドレスにベールで顔を隠しているけど本当に美しい。
ボクは隣に並ぶ事を許されて、ジュノーの騎士服を着用する。
タイプⅢはホワイトカラーに変更して、ちょっとウエディングパレードちっくでなんか恥ずかしい。
特に告知はしてないけど町の人達が次々出てきて大通りは直ぐに人が溢れる。
ボクとフェルミナは肩に載って手を振るけど、マスチペと違ってすごい大声援を送ってくれる。
フェルミナ王女がいて普段は秘匿されている魔装機二種類の四体での行進は一大イベントだと思う。
町を出てしばらくしてから足を止める、彼女が顔を寄せてくるので、ベールを上げて唇を合わせる。
やっぱり結婚式みたい……。
「綺麗だね」
見惚れるボクに唇が合わせられて、彼女がゆっくり絡んでくるのを受け止める。
「お、おほんっ、失礼します。 陛下、見ている者もおりますのでその辺りで」
「仕方ないですわね」
「ユフィもよっ。 何処でもかんでもするんじゃないわよ」
失礼な、ボクはされただけだ。
残念、護衛のエストアさんが上がってきてしまった。
「じゃ、行ってくるね」
「はい。 お待ちしております。 お早く帰ってきて下さいね」
「エストア、フェルミナをお願いね」
「任された。 行ってらっしゃい」
もう一度唇を合わせてフェルミナをエストアに預ける。
名残惜しいが仕方ない。
タイプⅢからオルトロスに乗り換えるけど、三人ならボク要らなくない? 先に一人で行ってもいいかな?
何かあったら大変? そうだよねぇ。
上位機がいたら相手にもならないけど、ボクがいても逃げの一手かもしれない。
ボクが抱えて走る方が速いんだけど、二人の訓練の一環だしね。
行程は順調。
走るだけならローラーダッシュの方が個人の能力による影響が少ないかもしれないね。
食事の小休止のみで夜明け前までは頑張って、そこからはボクが担いで朝には到着でいっかな?
魔装機同士は短距離通信が使えるから便利だね。
オルトロスによると上位機体はシャレードカスタム。
名前的にはシャレードだけど形も装備も違うらしい。
オルトロスの装備はパイルバンカーとロングトンファーにナイフを追加で頂いてきた。
魔装機の武器は装備不可もあるけど大体は共有で各部の形状変形で装着可能みたい。
右手のパイルバンカーはシールドとナックルにもなるからチョー便利。
シングル〜三連まで選べたんだけど、当然威力重視のシングル。
ただ最大ダメージを狙うなら反動対策が必須で腕が保つかもわからない。
国境が近づいてきたのでオルトロスをしまって走ってエチュード機に取り付いて中に入れてもらう。
「どうされました、何かシャレードに問題でもありましたか?」
「少し先行して哨戒してきますね。 一応の合流地点はこの先の国境で、何かあれば発光魔法をピンクでお願いします。 確認したらピンクで返します」
「わかりました。 ご武運を」
コクピットから出たら大雑把探知を使って全力で走る。
ん? 戦闘中な動きが二箇所……、ちょっと活発になってる?
おじゃましまぁーす。
先日と同様後ろからこっそり近づいて後ろから膝関節を破壊する。
最後のシャレードについては実験の為にパイルバンカーを使用するけど……、これはやばい。
膝関節部分がバラバラに破壊出来た上に、別空間からの直接攻撃だから当然、反動はない。
どこかでオルトロスが謎に吹き飛んでたら迷惑極まりないな。
別のシャルマン二人組からシャレードを回収して合流地点に向かうけど誰もいない。
探知によるともう少し西側に移動中の三人組があるから、きっとそれに違いない。
エチュード機に取り付いて声をかけて入れてもらう。
「ただいまっ」
「走ってる魔装機に追い付けるなんて非常識ですね。 味方で良かったです」
「まだジュノー領だよね? そろそろ夕食にしようか?」
「わかりました」
ここは特に特徴の無い草原地帯なので、その場で止めてシャレードをしまう。
「今日はボクが準備するから、みんな座って」
「そんなとんでもない。 私達が準備致します」
「いいから、いいから。 遠慮しないっ」
だっていつも持ってるし。
椅子や机を準備して、更に皿に盛り付けられた状態の温かい料理を並べていく。
料理は買った物もあるし、本部で料理が余ると声をかけてくれるからサッと頂いて収納している。
「美味しそう」「便利ぃー」「どうやるんですか?」
「出来ないでしょ。 残念ながら出来るから出来るとしか言えないから、教えてはあげられないね。 さっ、どうぞ」
「はいっ。 いただきます」
うんうん。 みんな美味しそうで何よりだね。
ご飯を食べながらエチュードと打ち合わせをして、朝までの行軍を了承してもらう。
「みんなぁ。 朝まで休憩無しだからねー」
うんうん。 二人が目を大きくしてかわいくて何よりだね。
魔装機の戦闘は長くなるしシステムのサポートもあるから頑張ってねっ。
エチュードは朝から仕事になるだろうから、どちらかのセカンドシートで睡眠してもらおう。
ほうほう、セカンドシートって横にもなるんだ。
ボクは掃除に出る可能性があるから後ろで眠れないと思うし忘れちゃうからね。