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淋しくなんてないんだからねっ

 カーニャと少し雑談してガーゼの町を出てから「トマト亭」に行くのを思い出したけど仕方ない。

 アイテムボックスからケロリーメイト風クッキーを取り出して食べながら走る。

 ドリンクタイプがあれば便利だけどそもそも見た目や味だけ真似しても仕方ない。

 このクッキーも風でちょっと柔らかくて飲み物が要らないクッキーなだけで栄養分が入ってる訳ではない。

 夕方には例の場所に着けるかな?


 少し走ってジャローダの警備隊に出くわしたけど、これもファーレンの冒険者証だけで問題なかった。ファーレンとジャローダは仲が悪くはないのか?



 さてさて、ラスボスチートで目視できる距離まできたよ。

キャンプの北側は森で抜けると川があってその向こうはシャルマンになる。

 壁は柵じゃなくて木材や土でしっかりと作られていて、平地だけど少し高さのある場所だから中は見れない。

 近くに良さげな高台はないから考えて作ったのかな?

 森を利用して気配感知の出来る範囲までもう少し近づけると良いんだけど、そんなに甘くはないか。

 森の中は三人組が五グループ以上はいるね。

 今回も友好作戦でいこう。戦いに来た訳じゃないしね。


 

 見張りがこちらを発見して動きがある。

 見た目はわかり難いけど伝令が走ってキャンプの中で九人、森の中でも九人が配置についた。

 ジャローダ軍は三人単位みたいだね。


「そこの者止まって顔をみせろ」


 少し離れた所で声がかかって、フードをとると一人が近づいてくる。

 ここまできたら気配感知の範囲には入ってる。

 構成なんかは分からないけど三百人規模のキャンプだね。

 操者に特徴とかあったら良いのに。

 ただ大きな気配は二十程はある。


 見張りは普通の兵士っぽいけど、いくつかある物見台からは鋭い視線を感じて大きな気配の出元も何人かいる。

 殺気に値踏み……嫌な視線……。

 あれがジャローダの騎士か。


 

 兵士の対応にはカーニャのレクチャーのお陰で問題ない。

 この場所を知らない体でガーゼから川と森沿いに次の町まで歩きで三日程の予定と説明する。


「もうすぐ日が暮れるな。 休ませてやりたいけど、一般人は入れないんだよ。 壁から離れて野営するのは良いけどな」

「ありがとうございます。 お気になさらず」


 壁の近くで野営なんかしたら絶対に違う問題がやってくるに違いない。

 キャンプから見える範囲は歩いて西へ、そこから森に入ろうと思ってたけど……なんか来るね。


 後ろからいきなり切り付けられるのを、見ずにステップで躱して左手に普通のレイピアを取り出す。

 黒の騎士服を着た細身で高身長の男前の眼鏡君。

 グレーの短めの髪をきっちりセットして、町にいたらキャーキャーなるに違いない。


「いきなり斬り掛かられる理由は無いと思いますけど?」

 「お前はネズミだよ」

「何か根拠が?」

「俺ががネズミと言ったらネズミなんだよ」

「そうですか……後悔しますよ」


 ステップで距離を取りつつファイヤーボール三連。

 きっちり二発を避けて一発を斬り伏せた処に密集&時間差ファイヤーボール五連……にも対応するねっ。


「フンッ、この程度でジャローダの騎士がやれるとでもっ」

「なら、これではどうですかっ」


 ファイヤーボールと思ったけどファイヤーニードル二十連……も大丈夫。

 まぁ、大丈夫と言うか防壁で防いでるだけだけどね、主に魔装機が。

 火球の連弾の処理中に対応出来ずに空間から防壁が展開されるのが見えたよ。

 ファイヤーニードル乱れ打ちっ。


「ハハハハッ。 どうだっ? 手も足も出ないでしょ」

「何を勝ち誇っている? お前の攻撃はまだ一発も当たってないんだぞ」


 騎士は防壁を魔装機に任せて構えすら解いて挑発してくる。


「くそっ、どうなっているの? 防壁だって魔力は消費するはずなのにっ」

「お前の敗因は操者と対した事がなかった事だな。 魔装機乗りなら、この程度で魔力切れなどならねーよ」

「くそっ…………。 ファイヤートルネードっ」 



 ファイヤーニードルの数を少しずつ減らして、最後とばかりにファイヤートルネードをリリースして膝を付く、けど防壁により騎士は無傷のまま。


「もう終わりだな? ただの冒険者としてはバカみたいな魔力量だったけどな」

「もう許してもらえませんか? 私はただの冒険者ですよ」

「まぁ、そーかもな。 悪かったな。 飯でもどーだ?」


 騎士が手を伸ばしてボクを立たせる。

 初手も殺意は無かったし悪い奴ではないかも?


「ナンパなら他所でどーぞ。 これで付いていく方がネズミじゃないですか?」

「それもそうか。 なら、ここで飲むか? そろそろ野営だろ?」

「身の危険を感じますから遠慮致しますっ」

「女には困ってねーの。 もう、同じ顔ばっかで飽きたんだよー。 女の子連れて来るから一緒に飯にしよーぜー」

「二人で確実に取り押さえる訳ですか……?」

「騎士の誇りにかけてそんな事はしねー」

「そこまでゆーなら付き合いましょう。 準備しときますね」

「うっし。 酒は持ってくるからよっ」


 こんなキャンプの近くで、このタイミングで戦闘したら、ボクお尋ね者になっちゃうからね。

 さすがにそれは避けたい。

 

 

 テントを張ってぇ、机と料理を準備してぇ。


「ふっふっふふん、ふっふっふっふんふん」


 うふふ、まっだかなぁー。

 別に男前だからじゃないよ。

 ボクにはタキナとフェルミナって言う超絶美人がついているんだっ。

 そこらの男前なんてお呼びじゃないぜっ。

 でも、最近もてなされてばっかりで、もてなしてないなぁーってねっ。

 まぁ、ちょっと単純っぽかったし情報くれないかなぁーみたいなのも。

 防壁の構成はもらったしぃ。



 ………………こない。

 ………………料理を一旦仕舞って。

 ………………お風呂入って。

 ………………淋しくなんてないんだからねっ。


 もう朝じゃん。

 バカヤロウ。


 さっ、シャルマン行くかぁ。


作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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