第100部記念 閑話 〜王立学院 学院祭〜
これまで読んでいただいた皆様に感謝いたします、ありがとうございます。
第100部記念なので閑話にさせていただきました。
短めの文書なので他の方々に比べたら大したことないのですが、楽しんで読んでいただける方の為にも物語の最後まで書き切りたいと思います。
大変な事になってしまった。
今から実技講義なので初等部が集合してるのは良いんだけど、中等部、高等部の生徒も半数以上が修練場に集まってしまっている。
なぜなら、今日の担当がカトレア&イヴの魔法少女コンビだからだっ。
カトレアはレッドグラント家三女の13歳で、今日は薄いピンクの髪をアップにして巻いてちょっと背伸びした雰囲気の正統派美少女。
講義の時はいつも魔法少女風衣装に身を包んでくる。
そしてイヴは12才のビッテンフェルト家最年少のメイド。
こちらも年齢相応の小柄で華奢な体躯に肩ほどの栗色の髪とくりっとした大きな瞳でお手本の様な萌姿なんだけど、ビッテンフェルト家でメイドになれた事でその強さも証明されている。
二人共こう、かわいさとかわいさの間と言うか? そうそう、少女のかわいさと動物的なかわいさが共存していてとにかく愛らしくて大人気なのだ。
あぁ、かわいい、連れ去ってきゅーってしたい。
カトレアはハグもキスもしてくれるんだけど、イヴにはいつも逃げられる。
カトレアの衣装は、白が基調のフリフリミニスカ魔法少女風ドレスに対して、イヴはリボンを多用したゴスロリ風ミニスカメイド服で「ふたりはピュアピュア」みたいで萌えに拍車がかかちゃってる。
で、何故に始業前からライブを始めているのかな?
「次の曲はぁー、ピュアピュアドリーミン!」
「みんなー、いっくよー」
「……なんにも怖くないからー。 いつも私が傍にいるからー。 みんなの心に夢届けるよー」
「……全力でみんなを護るからっ。 届けきみの胸にもドリーミンっ」
だから、何仕込んでんだよっ。
そして、二人とも歌も振り付けも完璧だよぅ。
どんなけ練習したのよっ?
「あめーぃじーんぐ。 らぶ、みぃ、きゅーと!」
「キミのハートをゲットだよっ!」
訓示台を大きくしたのはこの為かっ。
収集がつかない、どうしよう?
ボクも見たいけど仕方ない、とりあえず学園長んとこ行こ。
「全員ヤル気はある様だな。 今日のプランは? …………。 良い機会だし何か考えよう。 予定が空いているならビッテンフェルトも連れてこい」
「はい」
「えっ、あたしも? いくいくー。 クーン、非番以外は全員よろー」
「畏まりました」
「ねぇねぇ、それなら学院祭とかよくなーい?」
「何も準備してないのに?」
「オーライっ。 ダイジョウブだよー」
「ぴんぽんぱんぽーん♪ えー、学舎に残ってる生徒の皆さんにお知らせいたします。 本日の講義は予定を変更して、ビッテンフェルト家主催 王立学院 学院祭となりました。 全員、修練場に集合してくださーい。」
カトレアとイブのLIVEの間に姉様達と教師陣でプログラムについて協議する。
皆さんのボクに対する不満が凄くて居心地が悪すぎる。
「皆様、申し訳ございません」
「ユフィよ、私が許可したんだ謝る必要など無いだろう。 こんなに楽しそうな生徒達を見る事ができるとは感謝しかないな」
この学園では常に貴族生徒と一般生徒の間に軋轢があるから、これだけの一体感はなかなか無いだろう。
パァーーーーーン。
花火とスモークまで用意してやがった。
ステージのボルテージは最高潮を迎える中、ふたりの間にカッコよくせり上がってくるのはピュアミネルバ。
ミネルバは綺麗とカッコいいのハーモニーだね。
赤の魔法少女風ロングドレスでお姉様感あるけど元から人気があるし、追加キャラは大人っぽい娘も多いもんね。
そして、歌と振り付けも完璧。
「……ららら侵略しちゃうよ、君の事っ。 へいっ。 胸に秘めた気持ちはぁー、あなたを愛してチュッ、チュッ、チュッ」
それ違うやつ。魔法少女だけど魔法少女じゃないからぁー。
ぴ◯様のお声って素敵だよねー。ミネルバは本人かと思うほどの出来栄え。
もう破壊力抜群で生徒達のテンションは怖いくらいヤバい。
ステージは姉様達の歌や踊りに宴会芸、飛び入り参加枠も用意してある。
メインのライブは昼に魔法少女ピュアピュアショー。夕方から第三部をやって夜に魔法でイリュージョンをして締めるらしい(ボクがですか? そうですか)。
「ユフィー、出店の準備してー」
「出店? そんなの出来る訳ないじゃん」
「土魔法でそれっぽくできるっしょ」
「あぁ、なるほど。 合点承知」
修練場を囲う様にして屋台風建物を準備すると姉様達全員で出店を作りあげていく。
出店の店員は講師にしてもらってサポートに姉様達が付く感じみたいだね。
料金は無料で生徒達も楽しそう。
不満を口にしていた講師達も姉様達に出玉にとられて、デレデレのノリノリで大盛りあがり。
みんな美人でかわいいしお客様の扱いのプロだからね。
出店は飲食店に射的やくじ引きなどなど。(どっから持ってきた? お腹のポケットか?)
っても第二騎士団本部は隣だからすぐなんだけどね。(いやいや、そもそも何故準備してある?)
一番の目玉はメイド喫茶だそうだ。
いつも通りじゃんと思ったけど、みんながピュアピュアに変身して給仕してくれるらしくてタキナとマジナ先生もここに参加するそうだ。
あぁ、みんなの心にドリーミン。
ボクは本部運営役。
と言っても、うぐいす嬢以外の仕事はない。
タキナと遊びたい。
「ユフィ様っ」
「タキナぁー。 寂しかったよぅ」
「ほらほら、人前ではちゃんとして下さいね。 講師なんですから」
「ぷぅーー」
「姉様からお暇を頂けたので一緒にご飯に致しましょう」
タコ焼き風を持ったピュアピュア姿のタキナが来てくれてすごく嬉しいんだけど、後ろに行列が出来ていて不愉快だ。
いてっ、ボクの頭を叩くのは誰かっ?
青の魔法少女のピュアカティアさん。
「電撃をまき散らすのは止めなさい。 退治するわよ、この雷っ子」
「誰がペカチュウだっ! 撒き散らされるヤツが悪いっ」
「言ってないし、何よペカチュウって? 悪いじゃないわよ。 みんながユフィ達の事知ってる訳じゃないんだから」
などと話すカティアさんの後ろにも少なくない取り巻きが……。
「代わってあげるから行っといで」
「いーの?」
「もう楽しんだし、ピュアピュアショーも終わったしね」
「ありがとう。 大好きカティアっ」
抱きついてからのほっぺスリスリに彼女も満更ではない(当然ほっぺに電撃はついてない)。
「ほらほら、時間なくなっちゃうよっ」
「うん、行ってくる」
やったねー。
ピュアピュアタキナと学院祭っ。
もー、かわいくてかわいくて、ぴったり引っ付いて歩いて抱きついてスリスリするのをやめられない。
また二人の思い出が増えて嬉しくて幸せ。
途中、アイシャとアレクシアが引っ付いてきて離れなかったり、ティファ姉様とフェルミナに拉致られそうになったり、パウラが問題をおこしたりで楽しい時間は直ぐに過ぎてしまう。
終わってしまうのは寂しいけど、これでまた明日から頑張れる。
途中に何度も落雷があったみたいだけど晴れてるのに危ないね。
「じゃ、また後でね」
「はい。 行ってらっしゃいませ」
二人共まだ仕事があるから、タキナと唇を重ねてから仕方なく運営本部に戻る。
「カティアありがと」
「はいはい、どういたしまして」
カティアが本部でハーレムを作っていたけど、幸せいっぱいのボクは別に羨ましくはない。
一人の時間と共に今日が惜しくなってきて最後の演目を変更する。
ライトエフェクトとサウンドエフェクトで花火やオーロラなんかを映し出す予定だったけど変更して記憶にある映画を映し出してみようと思う。
先に少しやってみたけど印象に残る様なシーンだけが白黒や静止画で妙に良い感じのダイジェストみたいになってる。
知ってる人は気に入らないだろうけど、知らなければ見れるんじゃないかな?
一人の本部で映画の主題歌を聴いていたら、仕事が終わったタキナが来てくれて涙がでる。
「ユフィ様は泣き虫ですね」
「そうだね」
頭を抱いてくれるのが嬉しくて幸せで、やっぱり涙が溢れる。
「大丈夫ですよ。 明日も、明後日も……ずっとお傍にいますからね」
「うん」
「何を聴いていたのですか?」
「知らない言葉だよね。 愛の歌だよ。 ……傍にいる時も離れている時も、君がどこにいてもボクの想いは変わらない。 いつまでもいつまでも……」
「良い歌ですね」
「果たしてこそ……、だけどね」
「ユフィ様は面倒臭い人ですね……。私の前では素直な子供でいいのですよ」
「ありがと……タキナ」
映画は豪華客船で出会った男女が恋に落ちたのに結ばれない物語で、最後は悲しい結末なんだけど、タキナと寄り添って見るラストは一人の時とまた違う感情が湧き上がってきて、やっぱり泣いてしまう。
王都中から見えたはずだから、だれかの心に同じ様に届いてたら嬉しいな。
上映も大盛況。
インスタントカップルも大量発生っ。
みんなの心にドリーミンできたかな?
修練場は夜まで大盛り上がりの大成功で幕を閉じる事ができた。
作品を読んで頂いてありがとうございます
至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります
私はキャラ達を魅力的に表現できてますか?
面白かったな。続きが気になるな。と思っていただけたら評価、ブクマ、感想などお願いいたします
作品は今後も加筆、修正あります
投稿は不定期です
先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね
一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです
本編の執筆が忙しく更新は止まっております
https://ncode.syosetu.com/n2673im/