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29.錬金術師のすすめ

 街から魔物が住む森の手前にその砦はあった。

 少女は希にこの砦へ訪れる。


 嘗てこの砦を拠点に始まりの冒険者達が魔物と戦っていたらしい。

 今やその役目を終えて、森に向かう中継地点の宿泊施設として利用する人達がいるくらいだ。


 国の貴族は、盗賊のねぐらになると、一度砦を取り壊す計画をたてたが、

 冒険者達の強い反対で計画は中止になった。


 確かに常駐の拠点としては、利用されていないが、

 冒険者になる人達は必ずと言っていい程、この砦に一度は来るのだ。


 砦の広間に本当の意味で冒険者を開放した、始まりの冒険者達の絵が飾ってある。

 皆、その志しを胸に刻むのだ。


 絵画の中央には、立派な装備をした男性がしゃがみこんでいて、

 その横には、冒険者らしからぬ装備の可憐な少女が寄り添うように微笑んで座っていた。

 この少女の冒険者らしくない格好を見て、

 冒険者ではなく国の役人ではないかと言うのが通説だ。


 だがそうは思えない、絵画の中の少女が持っている本の装丁が、

 薬や魔導具など現在の錬金の母と言われる人物が残した本と一緒だから。

 確かに色々な知識がのっている本だけど、読む人が読めば分かってしまう。

 この本は大切な人を魔物から守る為に残された本だ。


 だからきっと、彼女は冒険者者で恐らく隣の立派な鎧を装備している男性を守りたかったのだろう。


 その本のタイトルは......


『錬金術師のすすめ』


 現代の錬金術師の原点にして、到達点。

 しばらく絵画を眺めて少女は満足したのか街に戻って行った。



 Fin


ご愛読ありがとうございました。

応援頂きありがとうございます。

本話にて完結となります。


最後に出来るだけ多くの人に読んで頂きたく、

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