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27.第一波祝勝会と表彰

 翌日の砦の広間は大勢の人で賑わっていた。

 波の攻略後には、祝勝会が開かれるらしい。


 前回は、あまりに犠牲者が多くて祝勝会が開かれなかったので、

 久しぶりの祝勝会に皆興奮気味だった。


「今回の攻略お疲れ様、がっぽり国から予算を貰ったんで、

 遠慮なく飲み食いしてくれ。

 後半は、ダンスタイムもある。

 例年通りに初回なんで、最初に新人にステップの練習をして貰って、

 古株は、三曲目から合流してくれ、ちゃんとパートナーは誘ったか?

 意中の人を取られても知らんぞ」


 お前もなー

 詩織ちゃんをとっとと口説けよー


 猛さんの言葉にヤジが飛ばされて、少しひきつった顔をしていた。


「今ヤジ飛ばした奴、後で覚えとけよ。

 さて祝賀会の前に今回のMVPに選ばれた琴音ちゃんの表彰を行う。

 琴音ちゃん前に」


 私はその言葉に従い、皆の前に進み出た。

 討伐後は大事を取ってベッドで寝ていたので知らなかったけど、

 今回の波攻略の功労者に私が選ばれたらしい。


「あー、琴音ちゃん、今回の攻略お疲れ様」


 猛さんは、そう言って箱に入った水晶からのギフトを渡してくれた。


「ありがとうございます、光栄です」


 皆から惜しみない拍手を送ってもらった。


 座学ちゃんおめでとうと言う声に混じって、

 探検隊ちゃんおめでとうと言うと声も聞こえた。


 座学ちゃんは良い、本当は良くないけど諦めた。

 だが探検隊ちゃんは、許すまじ!!


 私は復讐リストを作ろうと心に決めて、何とか皆に向かってお辞儀をした。

 窓際で固まっているパーティメンバーのもとに戻ると、

 皆笑顔でたたえてくれた。


「それじゃあ、これから祝賀会を始めるぞ、

 グラスもったか?

 皆の勝利に乾杯!!」


「「「乾杯」」」


「俺、肉のところ行ってくるわ!」

「行ってらっしゃい、いっぱい食べてきてね」

「おう!!」


 竜司君は、肉に群がる男のひとたちの群れに向かっていった。


「蒼君は良いの?」

「ああ、まだまだ補充されるみたいから、琴音さんはもう平気?

 何なら何か取ってくるよ?」

「ありがとう、全然平気だよ、でもフルーツとデザートコーナーに行きたいかな」

「じゃあ一緒にいこうか」

「うん、大和君、詩ちゃんお願いね、美人さんだから変な人が絡んでくるかもだから」

「ああ、分かった」


 私はそう告げると、蒼君とその場を離れた。


「あ、あれが良いかも」

「あの赤い果物?」

「うん、私の感がお高い果物ってつげているの、テーブルの中央にあるし」

「じゃあ、取ってきてあげるね、ここでまってて」

「え?」


 蒼君はそう言うとスルスルと女性の集団の中に入っていった。

 周りの女の子に軽く挨拶しながらも手際よく果物をゲットしてもどってきてくれた。

 自然でスマートにそんな事が出来るのは流石蒼君だ。


「カットしたのがあったから、そっちを持ってきたよ」

 笑顔で格子状に切り目が入った果物を私に渡してくれた。


「うん、凄く美味しい、蒼君も一個どうぞ」

 私がカットされた果物を蒼君に差し出すとパクリと食べた。


「う、凄くあまいね、桃を更に甘くした感じかな」

「うん、病みつきになっちゃうかもね、蒼君はどんなフルーツが好き?」

「梨かな、みずみずしくて、さっぱりしてるからね」


「よう、お二人さん楽しんでるか?」

「仲いいのね」


 私達がフルーツやらお菓子やらを食べてると、

 猛先輩と詩織先輩が声をかけてきた。


「こんばんは」

「昨日はありがとうございました」


「いやいや、こっちの落ち度だし気にするな」

「琴音ちゃん、蒼君は無自覚たらしだから気をつけてね」

「......はい、でも猛先輩も…」


「おい、琴音ちゃん、酷くね?詩織もそんな目で見てくるな、分かってるだろうに」

「さぁ、さっぱり分かりませんけど、さっぱり」

「ウッ」


「猛先輩、その肉美味そうですね」

「おお、美味いぞ、今日一番の肉だ、焼き上がったばかりだから、

 今ならあるぞ、最初に出すと味わいもせずにガツガツ食いやがるから遅れて出したんだ」


 蒼君の助け舟に猛先輩は、乗ってきた。

「じゃあ、楽しんでくれよ」

 そう言って、離れて行った。


「猛先輩は、そろそろ観念するべきだと思うんですけど」

「まあね、でも色々あったみたいだから、中々ね」

「そうなんですか......」

「まあ、時間が解決してくれるよ......」


「肉取りに行って良いかな?」

 少し重くなった雰囲気を変えるように、蒼君がそう言ってきた。

「はい、行きましょう。

 私の分は良いのでたっぷり取って来て下さい、

 壁際で待ってます。」


 私は壁際につくと、ふぅと一息付いた。

 ちらっと会場を見ると、詩ちゃんも大和君と仲良くやっているみたいだった。


「表彰されたからって調子にのらないでよね」

 いつの間にか聖女の華蓮さんが私の近くに来て睨みながらこちらを見ていた。


「調子に乗ってなんかいませんよ」

「フン、どうだか、あんたも見たでしょ?

 アンデッド何て私には何でもないのよ。

 あんたのせいで蒼君のパーティがピンチになったのよ!

 お情けにすがるのもいい加減にしてくれない?」


 人を突き飛ばして囮にしたくせにと思わずにはいられなかったけど、

 仮にそうで無くても自分には何も出来なかったのは事実だ。


 状態異常系は、毒草などから、

 火風土水などの四属性武器はモンスターの魔石から作れる。

 だけど聖属性は無理だ、聖属性をモンスターなんている訳が無い、

 存在が矛盾している。


 この先もアンデッド系のモンスターと戦う事があるだろう。

 その時に倒せる方法がないのだ。


 私が何も言い返せなかった事に満足したのか華蓮さんは離れていった。


「どうしたの琴音ちゃん?

 今聖女がいたみたいだけど、何か言われた?

 流石にもう我慢の限界なんだけど」

「大丈夫だよ、ありがとう蒼君。

 祝賀会が終わった後にお話があるんだ、時間取ってもらえる?」

「良いけど、俺だけで良いの?」

「うん、皆には後で話すけど、蒼君に最初に話したいから」

「......そうか、琴音ちゃんってこの砦の屋上に行った事ある?」

「屋上何てあるの?」

「うん、今日は晴れてるし、きっと綺麗な星空が見えるよ」

「行きたい」

「猛さんに許可貰っておくから、そこで話そう」

「うん」


 最後の思い出が星空の下ならきっと良い思い出になる。

 辛いけど、離れたくないけど、皆を危険にする訳にはいかないから。

 きっと泣いてしまう、でもそれが星空の下なら。

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