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24.悪意

 スケルトン、白骨のアンデッドモンスター。

 有効な攻撃は、聖属性魔法。

 強引に物理で倒す場合は、斧などの打撃武器で頭蓋骨を粉砕する。


 剣や他の魔法が効かないわけでは無いが、

 中途半端に攻撃しても再生してしまう厄介な相手だ。

 蒼のパーティには、有効な攻撃が出来るメンバーがいなかった。


 だが、何故スケルトンがここにいる?

 アンデッドの上位種に使役されたようにも見えない。


 食欲や生殖欲が無く怨念により行動するスケルトンは、

 通常一定のエリアに留まる。

 群れで行動する場合も歩みが遅く、率先して群れの先頭に出て来るモンスターではない。

 今回の様に突出して襲ってくるのは、明らかに異常。


 撤退したいが、メンバーはバラバラに散って包囲されてしまっている。

 前衛の物理職はまだしも後衛が逃げきれるとは思えない。


 ヒューバンと笛の音の後に空で何かが爆発した。


「救援信号弾を打ち上げました、直ぐに応援が来てくれるはずです、諦めないで」


 琴音さんの声が聞こえた。

 今回の波の討伐に備えて琴音さん、詩織さん、街の職人の人で開発して試験導入した道具だ。

 俺は何を諦めようとしていたんだ、情けない。


 蒼は琴音に笑いかけようとした、その時だった。


「えっ?きゃあ」


 琴音は、誰かに突き飛ばされて、二、三匹のゴブリンに囲まれてしまった。


「何遊んでるのよ、この役立たず!!」


 そこには聖女が立っていた。


「琴音!!」

 蒼は叫んだ、今すぐにでも駆けつけたい、だが散々挑発でモンスターをひきつけてしまっていた為に、

 モンスターに立ち塞がれてしまって、駆け付ける事が出来ない。


 琴音は、ゴブリンに木の棒で殴られていた。

 この距離でできる事は何も無い。

 両手で頭と顔をガードしてしゃがみこんで丸まって耐えた。

 どうせ探検隊だからとリュックを背負って中に薄い鉄板を入れていたのが功を奏した。

 打撲はするが暫く持ちそうだ。


 琴音を囮にした聖女は、浄化魔法でアンデッドを倒していく。

 あぁ、私はやっぱり足手まといか。

 蒼君が焦って私の名前呼び捨てにしてたな、嬉しいな。


 痛い、凄く痛い、でも前衛の男子はいつも体をはって守ってくれてるんだな。

 皆ありがとうね、痛い思いさせてごめんね、私が回復職なら良かったのにな。


「琴音!!」


 泣きそうな声だよ、蒼君。

 平気だから、無理しないでね。


 気が遠くなる中、馬のいななきが聞こえた様な気がする。


「すまん遅れた、ダブルタンクでいくぞ蒼」

「猛先輩!!」

「スケルトンは俺にまかせろ、お前はゴブとオークを」

「はい、お願いします」


 猛は、大盾にバトルアックスを装備してスケルトンの群れに突っ込んだ。

 その腕力から繰り出される斧の一撃は、スケルトンを粉々に砕いていく。


「大和、琴音さんにポーションを頼む」

「了解」


 そこから先は、今までの苦戦が嘘のように一方的だった。

 現世代のリーダーと次代を担う未来のリーダー、苦戦する方が可笑しい。


「こちらに随分モンスターが集まったんで、ここら辺は大丈夫だ。

 蒼、琴音ちゃんを砦で介抱してやれ、傷は治ったがメンタルが不味いかもしれん。

 優しくしてやれ」

「勿論、馬をお借りしても?」

「ああ良いぞ、俺は歩いて持ち場に帰る」


 あたりの敵を一掃したために、蒼パーティは砦への帰還許可がおりた。


「なら私も」

「お前は駄目だ、聖女。

 俺と一緒に付いてこい、波の討伐が終わったら色々聞きたい事がある」

「お前って何よ!」

「黙れ」


 聖女は癇癪を起こしたが、猛の迫力で一気に顔から血の気が引いて、

 それ以降は黙って従った。


 まるで揺りかごの様に揺られて私は目を覚ました。


「平気?琴音さん」

「あれ?蒼君?」

「そうだよ、馬に乗ってるんで暴れないでね」

「え?」


 蒼君は私を片手で抱いて、片手で馬の手綱を操っているみたいだ。


「あ、あのもう平気だから」

「うん、だけどもう直ぐ砦に着くから、このままで」

「ありがとう、重くない?」

「全然」

「ごめんね、私途中で気を失っちゃつて、皆は無事?」

「ああ、琴音さんが直ぐに救援弾を打ち上げてくれたから、先輩が駆けつけてくれたよ。

 ありがとう、琴音さん」

「うん、皆無事で良かった、そう言えば華蓮さんもいたような」

「琴音さんは気にしないで、俺が直々に文句言いたかったけど、猛先輩が本気でおこってたからね、

 恐らくただでは済まないよ」


「あ、でもいっぱいスケルトン倒してくれたし」

「琴音さん、今色々考えなくて良いから、少し休んで」

「.......うん、そうする」


 冒険者と言ってもここに来る前は戦った事などあるはずもない可憐な少女。

 ゴブリンに囲まれて散々叩かれてさぞや怖かっただろう。

 腕の中に眠る琴音を起こさないように、馬の速度を落として蒼は慈しむように琴音の頭をなでた。


 もう少しゆっくりでも良いか。

 蒼達を乗せた馬は、ユックリと砦に向かう。

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