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22.波への備え②

 森林の中は昼でも暗い。

 今までの討伐場所は、木々がさほど密集していなかったので、

 あまり不自由を感じなかったが奥に進むにつれて、

 どんどん視界が悪くなる。


 回復職なら灯り(ライト)の魔法があるのに......

 比べても仕方がない事だけど、どうしても比較して、

 劣っている事に劣等感を感じてしまう。


「盗賊って最初は違うイメージだったけど、実際すげーよな」

「褒めて貰えるのは素直に嬉しいんですが、いきなりどうしたんです??」


 唐突な賞賛に思い当たるふしが無いようで、大和君は素直に疑問を口に出した。


「いやさ、ここまで木が生えてると、

 暗いとか以前に目の前にモンスターが出て来ないと分かんねーけど、

 大和がいると琴音ちゃんのポーション飲む余裕すらあるからさ」

「ああ、そういう」

「確かに大和が声をかけてきて、盗賊だったのはラッキーだと思った。

 転生直後に出来るだけ情報収集したけど、盗賊職は少なかったし、

 いても性格に難がありそうな奴が多くてね」

「確かに大和君は性格も良さそうだよね、詩ちゃん」

「エエ、ソウデスネ」


 私はナイスパスした事に、ドヤ顔で詩ちゃんを見たが、

 詩ちゃんの目だけ笑っていない笑顔に戦慄した。


 オマエガ ヒミツバラスナラ ワレノヒミツモ バラシチャルケンノー


 まるでそう言っているようだ、コワヒ。

 私はコクコクと頷いた。


「褒め殺して貰って恐縮だけど、前方にモンスターの群れがいます」

「群れ?」


 その言葉に一瞬で私達は気を引き締めた。


「すいません、モンスターの群れと言うと誤解を招きそうですね。

 群れというか群生と言うか、一匹一匹がゴブリンより弱い同種のモンスターが固まっています。

 昆虫類系のモンスターかも」

「どうする蒼?」

「大和、数は分かるか?」

「うーん、固まっているんで正確な数は分からないけど、

 群れの広がりくらいから判断して、十数匹位だと思う」

「よし、やろう。

 琴音ちゃん、詩ちゃんは少し下がり気味。

 大和は、俺の後に敵がきたら頼む。

 竜司は、好きにしていいけど、後衛に敵が流れたらサブタンクよろしく

 各自波を意識して丁寧に連携をしてくれ」


 私達は、各自ポーションを飲みながら、蒼君の指示を確認した。


 蒼君がモンスターを釣って帰って来ると背後には、

 大きなトンボみたいな虫のモンスターが群れで向かってきた。


 (いいいっつやーーーーーーー!!)


 いっきに鳥肌がたった。

 大和君から事前に聞いていた、覚悟も決めていた、だが虫は生理的に受け付けない。


 わたし虫怖いのーアピールとかではなく、

 ガチで苦手だ、あの目が嫌だ、毒々しい色の虫も嫌だ。

 原始的な恐怖が襲ってくる、私の御先祖さんがお猿さんだった頃にきっと虫に襲われたんだ。


 もし冗談でも私の服の中に虫を入れようものなら必ず報復する。

 まずマヒらせて毒らせて額にだんご虫LOVEって書いてやる、それ位嫌だった。


 だけど相手はモンスター、そうも言ってられない。

 私は直ぐに動けるように腰を少し落として身構えた。


 蒼君は、少し弱目の挑発で周囲に群がるモンスターを引きつける。

 この程度のモンスターであれば、全部引きつけても問題ないのだろうけど、

 それでは、波の際のモンスターの群れの対処の練習にならない。


 大和君は、麻痺を付けた短剣で確実に一匹ずつ落としているけど、

 麻痺が効いている感じがしない、耐性があるのかも。


 竜司君は空中のモンスターに対して少しやり辛そうだった。


「くつ、蒼こいつら麻痺毒を持ってるぞ」

「詩さん、俺が集めるから範囲たのむ」

「はい」


 蒼君は、事前に状態異常耐性ポーションを飲んでたし、

 防具もフルプレートまではいかないけど、露出部分が少ない。

 十匹以上群がってきたが、問題無く対処出来た。


『凍結』


 詩ちゃんの範囲魔法、モンスターを凍らせて倒す程の威力はないけど、

 相手を凍えらせることで、一定のダメージと運動能力低下の効果がある。


 トンボモンスターは、単体では弱く、羽ばたきを阻害されたので、ボトボトと地面に落ちてきた。

 こうなったらただの的で、前衛職が淡々と事務的にトドメをさして全滅させた。


「竜司君、ごめんなさい、麻痺を治すポーション持ってないの」

「気にしないで琴音ちゃん、少し噛まれた程度だから直ぐになおりそうだし、

 武器に金かけて防具揃えられなかった俺が悪い」

「.......ありがとう、噛まれた所痛くない?」

「ポーション飲むほどじゃないかな」

「じゃあ、ボトルのポーションかけるね」

「お、ありがたい、頼むよ」

「皆は平気?」


 竜司君の傷口に回復ポーションをかけながら確認したけど皆平気そうだった。


 回復職ならポイントさえ貯めてれば、その場でスキルを覚えて対応できるけど、

 私は素材が無いとどうする事も出来ない。

 複数人を一度に回復する事も出来ない。


 所詮は生産職、回復職の劣化版。

 琴音は、暗い気持ちを引きずったまま、その後の討伐を続けた。


 群れに対する対処は、基本避けられるなら避ける。

 無理なら、蒼君、大和君、詩ちゃんで突っ込み、

 詩ちゃんが凍結をうった直後に、パーティ最速の大和君が詩ちゃんを抱えて後退する。

 竜司君は、流れて来たモンスターを処理しつつ、蒼君に加勢する。

 基本的な対処はこれで行く事になった。


 討伐も終わり砦に帰還して直ぐに、

 状態異常回復ポーション(フィジカル)

 状態異常回復ポーション(メンタル)

 解毒薬作成スキル(中)を覚えた。

 毒に関しては、種類や強さが多岐にわたるせいか、

 錬金一覧では無くスキルでの錬金になるみたいだった。


 素材も砦の売店で売っていたので問題無く作る事が出来た。

 私は、その日から出来るだけ砦の書物を読む様に心がけた。

 臨機応変に対応できないのであれば、事前に備える事が皆を守る。

 錬金術師にとって、知識は力だ。


 だが、錬金術師に乗り越えられない壁もある。

 分かっていても聖職者の魔法で無ければ対応出来ない。


 それがアンデットのモンスターだった。

     

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