18. 魔法使いと錬金術師の恋話と街への買い物②
私達は、朝一番の馬車に乗って砦から街へ向かう為に
だいぶ早い時間に乗り合い場で馬車を待っていた。
まだ日が昇りきらず、少し薄暗い。
何故こんな早い時間帯の馬車に乗ろうとしているかと言うと、
単純に混雑を避ける為だ。
冒険者に特定の休みなど無いのだから、
そんなに混むことはないだろうと思っていたんだけど、
実はそうでも無いらしい。
冒険者に決まった休みが無くても、
街の人は飲食店などを覗いて土日が休みみたいだ。
冒険者は冒険者で、波のくる直前までお金を稼いで良い装備を揃えたいらしい。
それに付け加えて装備購入後、波の前に討伐でお試しをする日が必要だ。
そうするとおのずと、街に向かう日が絞られてしまう。
一応波が近づく直前は馬車の増便をしてくれているらしいのだけど、
大抵が宿泊場所で食事を終えた時間に偏るので、あまり意味がない。
私の横にはフラフラと体を揺らして、何とか立っている女の子がいた。
勿論、詩ちゃんである。
彼女は凄い低血圧だ。
一緒に住んでいたけど、最近は起きてから覚醒する時間を考慮していたらしく、
私もうっかり失念していた。
小さい女の子の面倒を見る母親の気分だった。
いっその事、大和君に押し付けてしまえば、
一石二鳥じゃないかと思ったのだけど、
流石にそれは彼女の名誉の為に辞めておいた。
「あの、相席良いですか?」
私達が馬車を待っていると後ろから女の子の声が聞こえた。
馬車はつめればニパーティまで乗れるらしいし、
砦発なので既に誰かが乗っていることも無いので問題ない。
蒼君は、私達の顔を見回して、反対意見がない事を確認した。
「はい、良いですよ」
「ありがとうございます」
「楓さんパーティですね」
「ご存じですか?お話をするのは始めてだと思いますが?」
「ご存じという程ではないですが、食堂のテーブルに楓さんの名前を見かけて、
女性でリーダーなのが珍しくて覚えてました」
「ああ、そういう事ですね、確かに女子がリーダーなのは、
うちのパーティともう一組の女子だけのパーティですね」
楓さんは、納得したようだ。
「女の子だけのパーティがあるんですか?」
「ええ、そのほら、あれじゃないですか」
「??」
「討伐で長時間行動すると色々あるじゃないですか、
最初は男女混合パーティだったのを再編成したみたいですよ」
すいません、お花摘みとか、お花摘みとかですよね。
うちのパーティは、大和君が探知出来るんで距離おけるけど、
それでもそうなったら辛いですよね......
一人っきりの座学訓練が終わった後は、直ぐに今の住居に移った為、
私は他のパーティの事をよく知らないのだ。
後、楓さんに聞いて始めて知ったんだけど、
何故か聖女の華蓮さんを砦で見かける事が多かったのは、
どうやら男性メンバーからお金を徴収して自分だけ砦の部屋を借りているらしかった。
装備を整えなければいけない時期に男性メンバーは平気なのかと思わなくもなかったけど、
他のパーティに不要に干渉するのは、トラブルのもとだし、
知っている人もいないので本人達が良いなら良いかなと思っている。
「そう言えば、蒼さんはリーダー会議に出てないですよね」
「リーダー会議?」
「ああ、毎週末に任意でリーダーが集まって情報交換するんだけど、
うちのパーティは少し特殊だから色々とね。
必要な情報は、仲の良い猛先輩から聞けてるから。
でもそろそろ全体の連携も考えないとだから、来週くらいから顔を出すかな」
きっと特殊なのは、私の職業や売店におさめているポーションとかだろう。
ご迷惑おかけします......
同じくらいの年なのに色々助けて貰えて本当にありがたい。
パーティリーダーが蒼君で良かった。
その後、乗り場についた馬車に乗って雑談しつつ街へと向かった。




