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王たるもの

「ぎゃあああああ。」


「何を!うぎゃああ。」


 カイユー達に投げられたデレクは、投げられた先で身を守るどころか剣を振るい、アーマッドの右腕を落としてから首を撥ね、そして、返す刀でアブドラの胸を切り裂いたのだ。


 倒れたアブドラの懐からポーションが転がり出し、デレクがそれに手を伸ばした所で、衛士の剣がデレクを背中から刺し貫いた。


「かふ、あ、あぁ、デズ!」


 カシャーンとポーションの瓶は割れ、デレクはすまないと呟いたそのまま妻の上に崩れ落ちた。

 デレクに刺さった剣を抜き去ろうと衛士は動いたが、だが、彼は柄から手を離したそのまま人形のように横に倒れただけだった。


 タタタタタッタタタタタタン。


 軽い掃射音は敵による発砲ではなく、両手に短銃を持つカイユーが、体操選手のように飛び上がりながら周囲に弾丸をばらまいている音だ。


「あっぶないなぁ。俺に当たったら切り刻むよ!」


「ひゃはっははあ!凄いね、この補助魔法。俺って超人だよ!」


 一蹴りで二階ぐらいの高さにまで飛び上がった男は銃を乱射しながら階段の手すりに舞い降り、そこからまた舞い上がりながらと、屋内に飛び込んでしまったツバメのように右へ左へ上へ下へと滑空している。

 そして、カイユーの動きに翻弄された地の者は、自分が切られているとも気付かないまま次々と、フェールの舞にも見える剣技によって斃されていった。


 王族だったマホーレン兄弟達など、彼らのお陰で完全にモブの死体となって適当な所で転がっている。


「すごいぞ、カイユー、フェール。だが、雑魚よりも結界師を狙えって。あ、サーチアイがないか。おーい、団長。君の百鬼眼システムで結界師を探してくれ。」


「今はそれどころじゃ無いですけどね。とりあえず、全部殺せと言っておけば大丈夫ですよ。あいつらは殺しても死なないから。アデュー。」


「あ、畜生。」


 しかし、俺よりも部下を知っている男の言う通り、カイユーとフェールの追撃に恐れをなした者達は逃げまどい、結界の術中で動けない者は目立つ格好となり、一人また一人と結界を解いて逃げ出して行く始末だった。

 俺は結界が薄まったとみるや、宮殿の床を攻撃することにした。


 宮殿の周囲に水があるのは、ここは砂漠のオアシスであったからであり、地下には湧水の水脈があるという事実である。


 そして、俺の城が火山エネルギーを抑えている蓋であるように、この王宮はこの下のエネルギーを抑えている蓋なのだ。


「コポポル王。いいですか。あなたの一族が住んでいたかもしれないこの家を、俺が今完全に破壊しますよ。」


「いいじょよ。わしもそのつもりだった。地母神を甦らせよう。わしらが信仰を失って女神を打ち倒して封印したからこそ、今のわしらの不幸だと思う。わしらが一歩踏み出すには、わしらこそ大昔の罪を雪がねばならんと思うぎゃ。」


 俺はコポポル王の潔さに応えるべく、地下水脈に意識を集中させた。

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