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烏天狗三兄弟

「こんな翼を貰った時には、あのおっさんは何を考えているのかと思ったけれどね。ほい、バンバン。」


 窓から顔を出してカイユー達を狙う銃を持った衛兵にカイユーは短銃を連射し、実はとても爽快だと思っているという風に笑い声をあげた。

 がっかりした姿を見せる事によって、この偽翼を使える機会をこの先も率先して与えられると踏んでの先ほどの自分の演技に、カイユーは自画自賛だ。


「堕天使の翼だからルシファーだって、知らないよ、そんな神様。」


 彼の隣に黒い影が近づいた。


「飛行機よりも楽しいけれど、飛び降りるまでの一分てところがね。」


 カイユーと違って剣士のフェールには空中に現れる敵がいなければ何もできず、地上に降りるまでは飛ぶだけしかできない。


「じゃあさ、あの回廊に飛び降りるってどう。あそこで暴れて、また、あそこから飛び降りる。風を捕まえれば少々の上昇も出来るじゃない。」


「あははは。さすが、カイユー。どれだけ飛んでいられるか競争だ!」


 フェールはカイユーの先に飛び出し、カイユーが提案したとおりに宮殿の塔の上階を繋ぐ回廊に舞い降りると、彼らに銃や弓を向けていた兵士たちを流れるような動きで切り捨て、それから再びふわっと、彼は先へと飛び立った。


「あ、全部片づけるなんて!」


「はははは。どっちが多く敵を倒して、どれだけ長く空にいられるか競争だ!」


「あ、待て!フェール!」


 青年達は回廊を次々と襲う怪鳥となり、四つ目の回廊、これを攻略すれば次は地上だろうという最後の地点に舞い降りた。

 そこで、回廊は仕掛けてあったらしき爆薬が破裂し、彼らは回廊ごと地上に落とされたのである。


「うわあ。」


 驚きに叫び声をあげてしまったが、フェールは翼を閉じるや友人に突進し、そのまま彼を抱えるとぴょんと大きく瓦礫を蹴って飛び上がった。


「この、間抜け!君のサーチアイはどうなっているの!」


「俺はだってそんなの磨いていないもの。」


「もう。俺が補助魔法を持っていなかったら、二人とも瓦礫と一緒に落ちて死んでいたよ!五メートルはあるからね、衝撃は来るよ!」


「君には来ないの?」


「魔法で強化中だって。」


 カイユーを抱えたフェールは地上に落ちたが、細身で軽そうな青年とは思えないズウンという重い音を周囲に響かせ、彼が落ちた先の地面は大きな鉄球を押し付けて出来た様に陥没していた。


「ありがと。でもさ、敵さんが上で俺らが下って、めっちゃ不利よね。」


「悪かったね。はぁ、囲まれているのはわかるけれど、どのくらいかなって、サーチアイスキルのない君にはわからないか。」


 カイユーは翼をようやく閉じると、ガッチャンと重たい金属音を響かせた。


「ごめんねぇ。ショットガンの連射機能の為に、最近の俺は経験値をそっちに全部突っ込んじゃっているのさぁ。」


「サーチアイスキルの封印なんて縛りプレイは、お一人様の時だけにしてほしいね。剣騎士が銃騎士と一緒に行動する意味が無いじゃない。」


「でもさ、デレクみたいにサーチアイスキルだけでヨワヨワってのもねぇ。あいつ、ショットガンを持っていないどころか、短銃なんか初級程度だって、知っていた?弓矢から銃に移行できたって程度のランク。」


「うっそ。あ、そういえば、デレク、どこ?」


「あ。」


 俺は彼らを見守りつつ、あちゃーと頭を抱えていた。


 そして、以後は彼らに警護なんて役割を持たせずに、彼らだけで突撃ぶっこみだけさせる役割だけをさせようと、余計なお世話かもしれないがアルバートルに伝えようと思った。


 なにせ、彼らが口にしたヨワヨワデレクは、遊び始めたカイユーとフェールから離脱して一足先に宮殿前に舞い降りて、今や、敵と交戦真っ只中なのである。

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