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女の子は怖い①

 大き目のタライにグリとウィンをぼちゃんと放り込み、そこに買って来たばかりのタラの干物を二枚投げ込んだ。


 走っているうちに腕の中のグリとウィンがしわしわしている感触がして、動転している俺は海水濃度を考えるよりも真水に彼女達を放り込み、海のものを一緒に放り込んでしまったとそういうわけだ。


 しかし、そのパニックが良かったのか、彼女達はタライの中で変異した。


 にろにろの足は消え、その代わりのように胸元まで髪の毛と同じ色合いの鱗がびっしりと生えた上に、なんと二股になった魚の尾風の足が出来たのである。

 なお、胸元から上の肌色部分は今までと同じドールフィギュアのような幼女体という、変異する意味がわかんねぇよという変形であったが。


 しかし、目を爛々と輝かせて、小さかった口をがま口のように大きく開けてタラの干物を蛇のように丸のみしようと頑張っている姿は、俺が今夜トイレに一人で行けるだろうかと考えてしまった程の恐ろしい姿である。


 怖いよ、この子達。


 彼女達は俺と目が合うと、魚を口に加えたまま、変なメロディを出しながら無表情に近い顔をぐりぐりと振った。

 ポポーポポポーという感じに聞き取れる、変な器官から空気が漏れているって感じでしかない、メロディというか音の重なりだ。


 ポポポーポポポポポーポポー。


 やめて!耳に残るだろ、その恐怖のメロディは!


「わぁ、大きくなったのですね。」


「大きくっていうか……。そうだね、ノーラ。うん。大きくなったんだと俺も喜ぼう。君の適当に流す所は尊敬だよ。」


「あら、ひどい。」


「ハハ、今日はお疲れ様。大変だったでしょう。」


「いいえ。町の人との友好関係はモニークが担当してくれましたから。本当にモニークは誰とでも仲良くなれていいですよね。誰をも惹き付ける。」


 そこでノーラが少々遠い眼をしたので、俺は彼女に掛けてやる言葉を失った。


 モニークがイヴォアールを振ったのは、ノーラが彼を好きになったらしいかららしいのである。


 イヴォアールは今や醜態しか俺に見せないが、実のところは部隊をまとめる副官だけあって実務能力も抜群だ。

 彼はモニークに気に入られようと頑張りすぎたのか、兵士として兵法の将を射んとする者はまず馬を射よの実践をしたのだ。

 つまり、モニークの親友のノーラと親しくなって彼女の仕事を手伝ったりしたことで、ノーラの心こそイヴォアールが射ってしまったらしい。


 カイユーとフェールの会話を横聞きしてしまった事によると。

 あいつらの会話って高校男児だよな。


「君は君で人を惹きつけるけれどね。君は自分が魅力的だって忘れてしまったのかな。」


 彼女はぼっと音がするぐらいに顔を耳まで赤らめると、だってと五歳児のように呟いた。


「だって?」


「だって。私はダグド様に可愛がられていないもの。」


 はい?

 イヴォどこに消えた?

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