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チャンネルは、そのまま①

 会議室の大型スクリーンが映し出した映像は、カーキ色の飛行服を着ているが、癖のある真っ赤な髪の毛に水色の瞳、そして小さな鼻の頭にはそばかすが散るという、可愛らしいが先に立つ美女のアップが映し出されているというものだった。


 彼女は、俺への生贄として十二、三歳の時に俺の領地に捨てられて、俺の娘のようにして育ったという、乙女隊五人のうちの一人である赤毛のモニークだ。


 また、俺の作った試作飛行機第一号に誰も乗ってくれないというところで、自分が乗りたいと志願したという得難い人間でもある。

 彼女はその時の功労で、その一人乗りの飛行機を我がものとせしめ、今ではダグド領を守る空のお姉さんとなっている。


 ちなみに、乙女隊を本当の意味で育てたのは、エレノーラだ。


「どうだ、モニーク。街の様子は?」


「ダグド様!おっしゃってた通りに、ただの大しけによる浸水被害だそうです!クラーケンのクの字もありません。クラーケンって、街の人も見た事がないけれど、タコそっくりだって言っていましたよ。」


 彼女の言う通り、彼女の後ろには確かに台風被害のような家屋も見えるが、軒並み無事そうな白塗りの木で組まれた家々が並んでいる。

 今は灰色の海だが、通常時の青い海を背景にした時にはその家々の白さが際立って美しい港町なんだろうと簡単に想像できる風景である。


 そんな映像ににゅうっと横から別の美女も顔を出した。

 その美女は桜色のスーツ姿という淑女風だ。

 髪はモニークと違い真っ直ぐな毛で、彼女はアッシュブラウンの肩下ぐらいの美しい髪をさらりとゆらした。

 美しい髪に縁どられた綺麗な卵型の輪郭の美しい顔に輝くのは、緑がかった琥珀のような瞳である。

 その輝きは彼女の顔形の美しさに華を添えるどころか、彼女の知的さこそを際立たせるかのように凛と輝いているのだ。


 彼女もやっぱり元生贄的捨て子の乙女隊の一人で、数字にとにかく強いことから、差配人であるエレノーラの秘書として現在は収まっている。

 ノーラは俺仕込みでもあるが、フラッシュ暗算ができる凄い奴なのだ!


「ノーラ。被害状況を聞いたか?」


「もちろんです。加盟している通商云たらからは何の音沙汰も無いのに、交流のないダグド様からは災害見舞が贈られたと大喜びです。勝手な濡れ衣に憤慨もしてくれていますよ!私達は無事だった商品を購入して戻ればいいのですね。」


 俺は聞いたかという顔をして、ふふんという風にデレクに目線を投げてやった。

 おや?

 彼は悔しいという顔よりも、なんだか憧れを見るような目で見ている。

 ノーラもモニークも美人だものな。

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