それ以上言わないでくれ①
俺がアルバートル達の秘密基地の会議室に入れば、会議室には俺の作った飛行機管理用スクリーンの前に団長だけが一人座っている。
彼は俺の入室に気が付くと、振り向いてニコッと笑った。
アルバートルは石膏で作った神様の人形に色付けをしただけのような、日に焼けた肌と白に近い金髪、そして、海のように深い青い眼と言う、見事としか言いようのない美男子である。
「あ、ダグド様。エレノーラだったらすぐに降りてきますから!」
「君は完全に管制塔のお兄さんになっちゃったね。」
自動操縦と言っても、一応飛行機の安全のためには、スクリーンに表示される天候の変化や風力などの情報をもとにして、飛行中は誰かが監視して操縦者に指示などもすることになっている。
「俺こそ乗りたいのですけどね。」
アルバートルは気さくそうに笑いながら答え、ぜんぜん飛行機に俺は乗せてもらえないよ風に肩を竦めたりはするが、俺の腕の中のものには一切言及しない。
真っ直ぐすぎる男は、時として解り易い直球な行動で人をイラつかせやがる。
「あのさ。」
「あ、シロロ様ですね。直ぐに来ますよ。今はかくれんぼ中でして。彼を時間以内に見つけられたら新スキルがもらえると、団員全員が領内を駆け巡っています。あと五分で終了ですね。おやつの時間だ。」
新スキルを既に貰っている男は清々しく笑い、俺はがっくりと首を下げた。
あ。
グリとウィンは俺の下がった頭を喜んで齧りだした。
「ご飯じゃないの!」
「クソマズイ。」
「クソマズイ。」
「その使い方は正しいな。」
「うわ、喋っている。どうしたんですか?」
そして、思わず自分で口にしてしまった言葉をひっこめられなくなった真っ直ぐな男は、真っ直ぐに椅子に座り直した。
「おい!尋ねて置いてそれか!尋ねたんだったら、最後まで聞こうよ!」
「いえ。自分は子育てに向いていない男ですから!いいです。聞きません。聞きたくありません。今は飛行機から目を離せない管制官です。」
俺は大きく舌打ちをした。
「コノクソガ。」
「コノクソガ。」
「それは教えていない言葉でしょう。どこで覚えてきたの。」
俺の腕の中のにろにろ幼女達は、俺から目を逸らすとにろにろとだけ動いた。
「あ、この子たちを救出する際に、俺達色々罵詈雑言唱えています。」
俺ははぁ、と溜息を吐くと、にろにろを手近な椅子に座らせた。




