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光はどこにある②


 ドドドドドドドドドン。


 毛玉卵のシロロが地下に落ちた時のような重い音がアルバートル達の向かう数十メートル先で起こり、彼らは衝撃で足元をぐらつかせ、振動で崩れた天井の破片の小石までもばらばらと彼らの頭上に降り注いだ。


「俺達に襲いかかる敵が一切なかったのは、この島の信者達をゴーレムに変えていたからだったのか。」


 俺はモニークが立てた旗のところまで意識を戻し、そこから島中を見渡した。

 モニークを囲んでいた魔法使いの僧兵達は血の跡だけを残して姿を消し、アルバートルが落ちた穴へと続いている。

 穴の縁には異形のものが立っていた。


 数十体の死体を適当に混ぜ込んで、適当に人型を取った巨大な肉人形である。


「アルバートル。急いでお前の目が指し示す目的地へ向かえ。囲まれる前に人質の奪還を急げ!後ろからも肉人形が来るぞ!」


 俺の叫びと同時に、彼らの後方ともいえる地点から、前方で起きた衝撃と同じようなものがカタコンベ中を響かせた。


 ズズズズズズズズズズン。


「走れ!団員全員走れ!あとは左壁の道なりに走れば目的地、生贄の祭壇がそこにある!」


 俺はアルバートルの言葉にアルバートルが見ていたはずの目的地を見通し、彼が目元を真っ黒な靄で塞いでしまった理由を知った。


 大きな正方形の石造りの部屋の中心には、円形の盛り土、相撲の土俵にも似たものが作られており、土俵の真ん中には石で作られた丸い天板が乗っている。

 丸い天板は魔法陣が深く掘られており、生贄の血はその溝を流れて魔法陣を作り上げ、そして中心に横たわらせられた生贄にさらに苦しみを与えるのであろう。


 生贄の祭壇には既に血潮が流された後だ。

 魔法陣を浮き立たせるどころか、大きな水たまりがべったりと円盤を赤く染めている。

 円盤の上には子供の手足のよすがと思えるような肉片が一欠けら。


 コントラクトゥスの子供は手遅れだったのか。


「急げ!走れ!よそ見をするな!助けられるものを助けろ!」


 全てを見通した男による、部下への再びの発破だ。


 俺はもっと部屋を見通して、その部屋のとなりに小部屋があり、その小部屋の隅にいくつもの檻が置かれている事を知った。

 生きて脅えているだけの、無力で罪のない者達が押し込められた牢獄だ。


「行け!行ってくれ!アルバートル、竜騎士団よ!お前たちは希望であり、この腐った世界を砕く鉄槌なんだ!」


 俺はシロロの言う通りに、この世界の領主となるべきなのかと、血の惨劇の記憶が俺に囁いていた。

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