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シロロという異形

 異形の姿となったシロロは、可愛いから美しいに変化していた。


 十代後半の成長期の終わりかけの子供のようなすらりとした肢体に成長しているだけでなく、顔も体に合わせて大人びたものとなっていた。

 例えば大きくて丸っこかった瞳が、怪しい雰囲気を持った流線形に変わった上に、目の色が真っ黒から紫色に変化しているという有様だ。

 また、銀色の髪は腰まで伸び、髪から突き出た耳は大きく、しかしエルフのようにではなく、キツネか猫のような獣の耳なのだ。


 くすくすくす。


 これは獅子身中の虫だったのかと、男達がざわつく中、シロロはボヨンと煙と一緒に爆発したようになって、いつものシロロの外見に戻った。


 彼が淡く光を纏っているのは変わらないが。


「ことりばこはたのしかったー。ことりばこ、僕にも作って下さい。僕は飛ばす原理を覚えました!これならば、ことりばこを一人で飛ばすことも出来まーす!」


 俺の飛行機を、縁起の悪い都市伝説のコトリバコ呼ばわりをするとは何事だ。


「お前はそれで静かにモニーク機に乗っていたんだ。」


「はい。でも、すごいですね、ダグド様は。僕の狐さんかくれんぼは、今までに見つかった事が無いという技なんですよ!」


 俺は赤外線センサーというものが俺の前世には存在していたという事を、魔法世界の人間に説明するのが面倒だからと教えることを避けた。

 まぁ、赤外線センサーをかいくぐる技をシロロに編み出されたらお手上げだから、という常識外の子供を管理しなければならない父親の目線的思考回路からのアラームに従っただけであるが。


「あぁ、それで狐みたいな姿だったんだ。」


「はい。あの技を使うとあの姿なんですよ。しっぽも付きます!」


「そうか。それじゃあ取りあえず、アルバートル達に光を上げてくれ。このままじゃあ暗すぎて、ゴブリンとだって遊べない。」


「はい。」


 俺はシロロに周囲を照らす光を生み出すリュミエールを唱えさせたつもりだったが、彼は潔く服を脱ぎ、俺のトラウマになった大きなふさふさ卵にどんと変化して天井となる地面に大穴を開けた。


「シロロ!そういう灯りじゃない!」


「ふぇ?もっと?」


 次に起きることに気が付き、俺は自分が悪かったと諦めを持って受け入れた。


 ドドンともっと大きくなって天井をもっと破壊しようと頑張った彼は、その重量にて現在の地下一階ともいえる床を崩落させた。

 ドドドンと地下二階に落ちた彼は、落ちた衝撃もかかった重量によって地下二階の床を崩落させた。

 そして、ドドドドンと三階の床も崩落させ、最終フロアに間抜けな声を響かせながら落ちていったのだ。


 ああああああああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


 ドドドドドンと、シロロが地下四階に落ちた衝撃で地面が揺れた。


「アルバートル。すまない。本気ですまない。みんなは大丈夫か?」


「はい。かろうじて。」


「それじゃあ、あの馬鹿を追ってくれるか?」


「え?」


 俺は有無を言わさずに、アルバートル達をシャボン玉のような防御壁に入れ込むと、シロロの落ちた場所へと彼らを落とした。


 うわあああああああぁぁぁぁぁぁ。


「はい、リュミエール追加。」


 彼らが落ちた先に、ぱあっとオレンジ色の灯りが広がった。


「もともと四階に目的地があるんだ。さぁ、頑張れみんな!」

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