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さぁ、着陸だ

 飛竜の第二陣は来なかった。


 よって島までは安全飛行の旅だったのだが、そのお代替わりのように、海岸には凶暴な狂信者達がずらりと並び、モニークに向かって魔法攻撃を放ってきたのだ。

 炎を纏った石つぶてに、氷の塊などを、次々と投げつけて飛行機を陸地に寄せる事だけは死守しようとしていた。


「すごいな。神の家は魔法使いの巣だったのか。」


 俺の領地に二度も来襲した魔女が、ガルバントリウムの僧兵と一緒にいた事が今まで不思議であったのが、司祭と言う名の上位者が魔法使いであり、修道院が魔法使い養成所だったのだと考えれば納得のできるものである。


「いや、納得は出来ない。そうしたら、ヒーラーが消えてしまう。ヒールや蘇生魔法などの白魔法は教会の司祭にしか使えないという制約があったはずだ。」


「ヒールを使えるのは、今やパラディンだけです。教会の教えは大病も大怪我も神に祈れとそれだけです。不幸は神の与えた試練だと。それで俺はパラディンの道を選びました。みんなを守れるために。」


 俺はイヴォアールの告白に、好意的な一瞥を与えるだけに留めた。

 俺を篭絡して飛行機に乗りたいのかモニークに乗りたいのかと、邪推してしまったからでもあるが、俺は危機に陥っているモニークにこそ集中すべきなのである。

 モニークは機体を攻撃から逸らす事に集中しており、巣に帰れないツバメのようにぐるぐると島の上空を回遊するだけである。


「ダグド様!あたしにはボタンを押せません。」


「うん。俺も君にそこまでさせたくないから大丈夫。一度島から離れよう。」


「え、それじゃあ諦めるのですか。あたしがボタンを押します。」


「違う。一回離れて、それから低空飛行で彼らに突っ込むんだ。あれぐらいの魔法攻撃は俺には通用しない。さぁ、いけ。」


「はい!」


 飛行機はきらっと太陽光を反射させて回頭すると、俺の言う通りに海方向へと推進し、そして、海面ギリギリに機体を保ったまま海岸目指して速度を上げた。


 人は自分に向かってくるものには反射的に逃げ出してしまう。


 太陽電池で真っ黒な機体が弾丸のように向かって来たのならば、当り前だが魔法使いだろうが走って逃げるはずなのだ。

 ロケットランチャーを構えていても、真正面に迫ってくるダンプカーに向かって構え続けられる馬鹿はいない。

 運動というエネルギーはそう簡単に方向を変えないものなのだから、映画の一場面のようにロケットがぶち当たったその場でダンプカーが炎上して終わりの訳が無いのである。


 よって、本能通りに避難行動を取ることこそが正解の行動だ。


 俺の想定通りに魔法使い軍団は一斉に左右に分かれて道を作った。

 あとは、モニークが着陸目的地点へと進むだけだ。


「木が邪魔です。」


「薙ぎ払え。」


「はい!」


 島の一角はモニーク機によって炎の海となり、モニーク機はその炎を煙幕にして、目的地点へと飛び続けた。

 目的地点は教会墓地ではない。

 建造物から離れた森の中にある丘に決めた。

 飛行機を離着陸させやすい場所がそこにしかなかった事もあるが、飛行機を着陸させたモニークには飛行機から降りてやって貰わなければならないことがある。

 そのためには敵陣のど真ん中、と言うわけにはいかないのである。


「アルバートルの準備は整ったか!着陸まで一分無いぞ!」


「準備万端です。」


 アルバートルの返事の声はスクリーンからだ。

 スクリーンの右下部に別映像を映す四角が出来ており、それは城門前で馬に乗るアルバートルが旗を構えた姿を映しだしている。

 旗に描かれるのは、昨晩に俺達が決めたダグドの紋章だ。

 まず、着陸したモニークが飛行機に乗せていた旗を機体のすぐ横に立てる。

 すると、旗の半径五メートルは俺の領地となる。

 次に、アルバートルをホームタウンの魔法で俺の新たな領土に飛ばすだけだ。


 後はわかるだろう。


 馬で出来る限りに敵本拠地に近づいたアルバートルが第二の旗を立てるのだ。


 そうしたら、俺のピーキーな竜騎士達の地獄の独壇場となる。

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