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喧嘩をするたび絆が深まる?

 俺に黙っていろと怒鳴りつけたノーラが、乙女隊の意思だという風にして決意の籠った声で宣言をあげた。


「この乗り物は、私達が順番に乗った後は、私達みんなのものになります。いいですね、ダグド様。」


 ノーラの言うみんなとは、乙女達みんなで、他の領民が入っていないことを俺は知っている。


「だめ。それはモニークのものだよ。それに、リリアナにはパイプオルガンをあげたよね。シェーラとアリッサにはダイヤの指輪をあげたよね。ノーラには真珠三点セットをあげたよね。モニークは、まだ何も欲しがった事が無いよ。」


 意地悪になった四人組は見るからにグッと言葉に詰まったようだが、俺の視界の片隅でモニークはエレノーラに囁かれていた。

 すると、モニークが、少々どころかかなり嫌そうな顔だったが、エレノーラの腹話術人形になった。


「飛行機はあたしのだけど、ダグド様とのひと時は皆が順番に楽しむべきだと思うってか、するべきだと、思う。」


 全然思っていないだろうって声音のモニークを少々哀れみ、しかし、やっぱりな鬼のエレノーラに俺は文句を言った。


「君は俺よりも乙女達の方を可愛がるよね。」


 ボンっと音がするくらいにエレノーラは頬だけでなく真っ赤に顔を染めた。


「いいこと!モニークはみんなに譲歩したじゃない。許してあげましょう。そしてね、モニークの飛行機はコントラクトゥスの子供奪還作戦に使う大事なものなの!だ、だから今日はこれ以上飛ばせないわ!」

 わお、驚いた。

 君は俺の脳みそを読んだかのような言葉を乙女達に叫んでくれたね。


「すごい。さすが俺の素晴らしきエレノーラだ。」


「な、ま、えええと。これから夕飯の準備があります。今日は私達と食事してもらいますからね。」


「ははは。いいよ。簡単な説明もあるからさ、アルバートル達の秘密基地でいいかな。そこで食べながら一緒に話し合おう。」


「わかりました。さぁ、行くわよ、みんな!」


 物凄くテンションの高いエレノーラとは反対に、彼女に連れられた乙女隊はがっくりと肩を落としており、俺はその後ろ姿に言ってはいけないことを言っていた。


「シェーラ、リリアナ、ノーラ、アレッサ。ひと時は、あとでね。」


 どんな後でになるか既に後悔しているが、俺の乙女達を悲しませたままではいけないのである。

 俺は一応は納まったからと安堵の溜息を吐くと、明日は命を賭けてもらうだろう男達に振り返った。


「俺達って、ダグド様にとってはいらないものですよね。」


 フェールは子供のように呟くや、首が折れたのではないかと思う程にがっくりと頭を垂れた。

 え?お前らこそ俺を置いて逃げただろうが。


「何を言っているの、フェールったら。」


「仕方ないよ。俺達はデカいだけの不細工だ。」


 そこらの女性よりも美しいティターヌが、日に焼けてくすんだ色の金髪をかき上げながら金色に輝く瞳が涙目なのを隠すように瞬きをしながら、俺の突っ込みを望んでいるような物言いをした。


 つっこんでやらないが。


「はぁ、俺達はダグド様にとっては路傍の石なんですね。」


 石はお前だけだがな、カイユー。


「みんな、仕方が無いじゃないか。俺達はもともと招かれざる客だったんだ。」


 その理論で行くと、お前こそアルバートル隊にとって招かれざる客になるぞ。

 気がつけ、エラン!


「と、いうことで、俺達にも何か愛を下さい。」


「そんなまとめをするな!アルバートル!」


 ああ!とうとう突っ込んじゃったよ!



「ダグド様。お話があります。」


 俺は反射的にアルバートルから数歩下がった。

 何を欲しがろうとしているのだ、と。


 彼は俺の行動に対して一瞬悲しそうな顔をした。

 そして、何もないと言って立ち去ろうとしたのだ。


 俺は彼の肩を掴んでいた。


「あの?」


「いや、えっとあの。あの、あのさ、制服、いる?」


「制服?」


「ええと、軍服か。ダグドの竜騎士なんだろう、君達は。それでさ、俺は君達に制服を作るから、君達はダグドの旗のデザインを考えてくれるかな。」


「俺達も考えてもいいのですね。」


「ああ。君達が背負う旗だからね。で、ええと、君の話って言うのは?」


「もういいんですよ。」


「いいのか?」


「いいです。あなたが俺にそっけないから、俺の妹に手を出したつけって脅してみようかなって思っただけですから、もういいですよ。」


「よくねえよ!」

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