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転生先が物語分岐の中ボスという微妙な立ち位置だった  作者: 蔵前
ダグドと乙女と押しかけ騎士団
32/335

トレンバーチ攻略③

 アルバートルの想定通り、彼の銃弾は結界に穴を開けて狙った柱の一本を倒し、それにより周囲の結界は大いに乱れた。


「エラン!お前の鷹の目で馬車の車軸を撃て!」


 エランは自分の隊長の神業にようやくいつもの自信をも蘇らせたのか、すぐさまライフルを構えてエレノーラ達の乗る護送車の車軸を撃ち壊した。

 馬車は大きく道を外れながら横転し、それで終わらずに、街道内ではなく、街道の柵を壊しながら街道外へと転がり続けたのである。


「急げ!救出だ!イヴォアール!フェール!ヒールをあいつらに頼む!」


 彼等は壁の大穴から馬ごと外に次々躍り出て、横転した護送車の残骸に駆け付け、俺の乙女達を救ったとのことである。


 俺は笑うしかない。


 俺は中ボスでしか無いのに、どうやって今後この無駄に戦闘力の高い阿呆どもを抑えなければならないのだろうか、と。


「で、無事なのね。」


「はい。ヒールをかけまくりましたから。無事に生きてます。」

 清々しい笑顔のフェールが嬉しそうに答えた。


「全然無事じゃねぇだろうが!お前らもうちょっとあの子たちを大事にしてよ!」


「すいません!ですが、ダグド様の言いつけを守り、ちゃんと慰謝料は請求して受け取ってもきています!」


「おぉ、すごいじゃないか。それは、よくやった。」


 しかし、先程迄自分達は凄い自慢をしていた騎士達は、出撃前と同じくらいにしゅんと萎み、俺は一体どうした事かと頭領に先を促した。


「俺をこれ以上追い詰めないでください!」

「え?」

 両手で顔を覆ってしまったアルバートルにどうしたらいいのかと逡巡し、しかし彼以外もお通夜状態になっている事で、俺は彼らを労って下がらせようと決めた。


「この馬鹿に金勘定は出来ないと言ったでは無いですか!」


 俺はもう少し早くアルバートル達を下がらしてあげれば良かったと、久しぶりに力自慢だけの彼らに憐憫の情が湧き出ていた。


「もう!見てください、この姿!私はボロボロですのよ!」


 アルバートル達の秘密基地内の会議室に現れたエレノーラは、彼女の言葉通りに本当にボロボロという体中が包帯塗れと言う姿で、俺は慌てて彼女の元に走ると、自然に彼女を抱き上げてしまっていた。


「あぁ、大丈夫か。痛くないか?駄目じゃないか、こんな姿でふらふらしたら。」

「だ、ダグド、さ、ま。」

「しばらくずっと安静にして大人しくしていなさいよ!」


 とにかくエレノーラをベッドに戻して安静にしなければ、そんな風に考えるのは領主として当たり前の事で、俺は彼女を抱えたままアルバートル達の元から飛び出て、エレノーラの居住棟へと走っていた。


 腕の中のエレノーラがとても小さく感じ、さらには、全くもって無体な俺に抗議もしないという元気の無さなのだ。


 俺がとても不安で一杯になってしまっているのは仕方が無い事だろう。

5/22 アルバートルのライフルはM24 カイユーの小銃はミニマシンガンという小銃型のウジ


「ねえ、アルバートル。エランのライフルもM24?」


「なんですか?M24て。」


 俺は口元を押さえた。

 ゲーム世界では銃器の名前なんてぼかしまくりの適当な名前を付けていなかったか、って奴。


「ハハ、あいつはまだまだですよ。それにあいつは拘るからレミントンですね。」


 俺はこの好青年風の男にツッコミを入れてやりたい気持ちをぐっとこらえた。

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