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アルバートルってさ

 南方の島に降り立った、我が探検隊。

 俺は一応は寄生虫やらの心配の為、虫よけの薬と急遽作った長袖長ズボンの探検隊の服をアルバートル達に送ったが、アルバートルは不要だと言い張った。


「あっっっっついんですよ!」


「お前は輝く太陽を背負った海男じゃ無かったか?」


「俺は寒いのも暑いのも苦手だって、いつも言っているでしょうが!」


 自称虚弱らしいアルバートルがダグド領という高山気候から外に出たばかりなら分かる物言いだが、お前は散々にコンスタンティーノというフロリダ的な場所ではしゃいでいなかったか?


 さて、彼等が降り立った小島は、どう見てもグアムな小島であるからにして、アルバートルが熱いと騒ぐのもさもありなんな熱帯雨林気候のグアム島である。

 学生時代に友人と初めて行った海外旅行の思い出の地であり、そこを愛するばかりにゲーム地図内に勝手に書き込んでいた隠し設定の島である。

 ベタだが、失われた文明の遺物が残る忘れ去られた島って奴だ。


「熱いのはわかるよ。だけどさ、虫に刺されてその虫に卵を産み付けられたらどうなるんだろう~。」


 俺は自分が意地悪な事は知っている。

 アルバートルもそんな俺のことは知っており、俺の言葉の中にあった虫害なんか嘘かもしれないと疑っている事も知っている。

 しかし、俺がそんなアルバートルが知っているだろう事も知っている事をアルバートルは知っているのであって、彼は嫌々ながら服を体に纏い出した。


「僕がふわふわガードオーラで虫よけぐらいしてあげるのに!」


「そうだな、シロロ。だけどな、アルバートルは興味のあるものを見つけたら走り出しちゃう男でもあるんだよ。」


「俺は犬ですか!まあ、心配は受け入れますよ。ええ、心配して下さるって事は俺をあなたは深くふか~く愛して下さっているってことですよね。」


「何をいまさら。」


 おや、アルバートルはかっと頬を赤らめると、なんとまともな指揮者の顔になって、子供達の気替えまで手伝い始めたではないか。


 ツンデレ?

 ツンデレだったの?彼は?


「ああ、団長の扱い方が上手くなりましたね。あの人は褒めて走らせるのが一番ですよ。」


「おお!我が領土に残ってくれた我が息子よ!」


 会議室に入って来た副団長のイヴォアールに両手を広げると、イヴォアールは物凄く嫌そうに顔を歪めた。

 結婚前だったら俺に虐められたと落ち込んだ顔を見せたというのに、六月にモニークと結婚式を挙げて俺の娘婿になった途端に、堂々図太く振舞うようになったとは!


「俺の腕に入って来ないのか?俺の息子よ!」


「全く。あなたのその揶揄いで、団長が臍を曲げているというのに。」


「どうして?」


「あの人は何でも自分が一番じゃないと嫌なんです。そこはご存じでしょうに。」


「あいつにはちゃんと、僕のお兄ちゃん、て甘えているのになあ。」


「あの人こそ、あなたに息子って呼ばれたいのではないのですか?」


 イヴォアールが指先を動かすと、カイユーとフェールが無言のままホワイトボードをカラカラと引き出して来た。

 アルバートルの命令にはぶうぶう抗議するフェールも、カイユーだっても、彼等が素直にイヴォアールに従うのは、普段優しい副団長こそふざけてはいけない相手だとよく知っているのである。

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