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転生先が物語分岐の中ボスという微妙な立ち位置だった  作者: 蔵前
文伐(ぶんばつ)の法は十二はあるらしい
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巨大怪獣との戦い

 ダグド領の見張り台の会議室、今の時点では地球防衛軍的な前線基地のような具合になっているなと、俺はモニターを見返した。


 巨大着ぐるみウサギの攻撃は、ダグド領の紋章が描かれた庁舎の屋根を破壊し、俺はそれによる第三者視点(TPS)を失ったが、俺にはアルバートルという一人称視点(FPS)が残っている。一番大きなモニター画面は臨場感あふれるアルバートルによる怪獣大戦争的な映像がアップされた。


 ウサギの大砲は次々にアルバートル隊に向かって打ち出され、彼等はそれを必死になって交わしているという状況らしい。


「畜生!俺はFPSは酔うんだよ。」


「意味が解りません。バックアップはありますか?火力が違い過ぎます。」


「水圧だろうが!とにかくその攻撃を受けたら内臓破裂は避けられない。しっかりと避けてくれ!」


「そんなの言われんでもわかってますって!」


 宙返りしての視線だろうかと思う場面展開もしているが、敵が視界から外れる事が無いというのはさすがのアルバートルである。動きながらも俺に交信できるところも褒めるべきであろうが、俺は彼の視界のせいで本気で酔いかけている。

 エレノーラの悪阻の辛さを経験しているようでもあり、俺の脳みそはエレノーラという存在に逃げかけた。


 逃げたくもなるだろう。


 今の俺の現状たるや、水鉄砲しか持っていない部下に、巨大な怪獣と戦えと命令しなければいけない司令官だ。


「ダグド様!追加武器を!」


「それは駄目です!これは水鉄砲大会です!」


 クッソ、良い子の魔王様はどこまでも公正な奴のようだ。


「ああ面倒だな!シロロ!ルシファーの装着はお前の中ではルール違反か?あっちは巨大化って想定外の事をしたぞ!空を飛びながら怪獣と戦うのはとっても楽しくはないか!」


「きゃう!許可します!」


「お父さんですね。ほんと―にお父さんです。こんなに上手に言い聞かせが出来るなら、こーんな状況になる前に子供を言い聞かせておいて欲しいなって、俺はいつも思いますよ。」


「いいから飛んで狙ってこい。あのウサギだって急所ポイントに液体肥料は塗ってあるんだろうからな。」


「急所って、やっぱり心臓ですかねぇ。」


「さあ、異世界の生き物だし、足の裏って時もあるんじゃないかなぁ。それにさ、ほら、自分が弱点だって思い込むところも急所じゃないか?」


 会議室にはアルバートルが喉を鳴らしての低い笑い声が響いた。


「悪竜ダグド様。善処しますよ。」


「頼んだよ、ハハハ。子供の遊びに大人が参加しちゃ駄目だねぇ。子供以上に熱くなる。」


 ズルだってしたくなるくらいに。


 カイユー達が液体肥料を塗り直したりもしていたのならば、アルバートル隊の誰かは液体肥料しか入っていない水鉄砲ぐらい持っているだろう。

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