俺の乙女を誘拐するとは①
5/22 空白と文章改定も行いました。
スペース開けると文章の悪さが本気で目立ちますね。
こんな悪文を読んでくださっていて、本当に感謝がたえません。ありがとうございます。
11/2 多すぎる文章、分割しています!
トレンバーチでの上客の扱いは、エレノーラ達の警戒心を解くためでしかなかったようだ。
俺なんかより実はエレノーラにこそ乙女達が惚れているのではないかと思う程の頼りになる彼女は、数字に強いノーラと生まれついての販売員であるアリッサを連れていつもの行商の旅に出た。
ところが今回はいつものように、とはいかなかった。
トレンバーチにて彼女達はいつもよりも良い部屋へどうぞと案内され、そこで閉じ込められて虜囚となったのである。
今のところ身の上に危険が無いと分かるのは、俺が彼女達に与えた服が彼女達の危機を教え、さらには彼女達から服を剥げないという働き迄してくれたからである。
すごいな、俺の作った呪いの服は。
誘拐を知ってすぐさま彼らを集めれば、概要を聞いただけでアルバートルは部下を二人トレンバーチに向かわせた。
スクロペトゥムであるエランとカイユーである。
この二人は実際に奪還する行動を取る前の情報収集も兼ねた工作員となる。
「ダグド様、では、行ってまいります。」
二人は俺に頭を下げて颯爽と出て行ったが、お前らが計画したのか、と、この行動までが早すぎるために俺は勘繰りたくなったほどである。
そして、二日後の今日、トレンバーチからの誘拐したという戯言の書とエラン達からのトレンバーチ内の地図や情報を同時に受けた。
そこで、アルバートルの副官だったらしきイヴォアールが議長となり、エレノーラ達奪還のための攻撃とそこから引き揚げる時の段取りの相談を、俺をそこのけて始めたのである。
俺だって会議室のテーブルについているのに、だ。
仲間外れの俺は、発言がしたいと手をあげて彼らの注意を引いた。
あ、畜生、無視しやがった。
「おい。」
「すいません。ダグド様。ここは全部俺達に任せてください。ここで結果を俺達だけで出せなければ、俺達の存在価値が無いも同然では無いですか!」
鉄と言う名前のためか、金属疲労でぽっきり折れた鉄の棒になったかのようなフェールの情けない声と物言いである。
彼は童顔で高校生にしか見えない外見だからか、本気で情けない風情だ。
彼らは鈍感だと思ってはいたが、彼らなりに領内で寄る辺が無い居心地が悪い思いを感じてはいたようである。
「安心してください。俺達が半分に減っても、絶対にエレノーラは奪還します。」
アルバートルは壊れた石膏像のようだ。
いや、お前はラスボスと戦えるはずの戦力だろうと思ったが、兄として妹の支配する領地で小さくなっていた日々で、彼は自信を喪失していたようだ。
彼らが立てた作戦は、どれも堅実だが、彼らの実力には見合う気がしないのだ。
お前らはもっとやれるだろうって程に。
俺はもう一度手をあげた。