まち、クラフト ③外敵から町を守ろう
サンドサーペントは雑魚キャラでも小ボスクラスのものであったが、最終ボス対応レベルのアルバートル達には小物程度でしかなかった。
彼らは俺に六匹もサンドサーペントを倒して捧げ、俺がその供物をありがたく受け取った所で、俺は身の内の敵がいたことを知った。
リリアナとシロロである。
彼らは巨大なゴーレムを呼び出して戦っていたのである。
バケツに砂をぎゅうぎゅうに淹れて作った山がいくつも重ねられて人型にされた、建物の三階ぐらいの大きさはある、そんな感じの巨大なゴーレムだ。
リリアナが高音の歌を歌うと、ゴーレムの外殻がぼろぼろと砕かれ、あるいは彼女の歌によって緑色の草がゴーレムの体表から生えて全身にヒビが入る。
シロロは俺が以前に与えた勇者の持つような剣を使い、ゴーレムの脆くなっていく個所をガシガシと突いて壊している。
「どうしたのよ、それは。それはこの砂漠にはいないはずの敵でしょう。」
シロロは俺の疲れた様なぼやき声を聞き取るや、きゃっほい、という風に応えて来た。
「西の団体様のゴーレムとそれを扱う魔導士さんだけ連れてきました。うふ。魔導士さんは邪魔できないように拘束の魔法をかけましたので、制御不能となっているゴーレムとの戦いです!この場合は経験値が三倍掛になります!」
俺が「待てよ!」と声をかける間もなく、当り前だがアルバートル隊は宙を再び舞っていた。
この事態は俺が自分でサンドサーペントを狩らずに彼らに任せたことが悪いのか、経験値馬鹿なあいつらが悪いのか、ゴーレムと嬉々として戦い出した阿呆どもにがっくりとするしかなかった。
俺の肩はポンとイヴォアールに叩かれ、俺は俺を元気づけてくれる六月には義理の息子になる男に微笑もうと顔を上げた。
イヴォアールは血走った目で「転送を!」と俺に訴えた。
「シロロ!イヴォアールもそっちに送る。あと二、三体ほどゴーレムがいたら引っ張って来い。」
「きゃう!あと四体いたので全部持ってきます!」
アルバートル隊は砂漠のバトルフィールドに全員勢ぞろいしたが、五体のゴーレム相手では少々劣勢になり始めた。
「まあ、いいか。シロロいるし、ぎりぎりの戦闘の方があいつらは喜びそうだし、西の敵には、うん、ゴーレムが消えたことで浮足立って統率が乱れているだろうし、いいかなあ。」
「よくないです!俺っちには五体はちょっと手に余りますって!」
「そうですよ!音を聞きつけてサーペントもやって来ちゃったし!」
「うわあ。カイユーとフェールの方が冷静にものを見ているね。よし、シロロ、二体は元の軍団へ返しちゃって。返す駄賃に目標テトゥラステスってゴーレムの命令系統に入力できるかな。」
「できます!」
シロロが叫ぶやひゅんとゴーレムが二体消えた。
とりあえず、ダグドを目指している二団体様の足止めと混乱を招いているようだし、たった一日でかなりの戦果だったと言えよう。




